チキンな私はブラックを断れない
筆者はブラックコーヒーが飲めない。
正確に言うと、まったく飲めないわけではないのだが、できればミルクを入れさせてほしい。いわゆる子ども舌で、いまだコーヒーの苦味に適応できていないのだ。
「コーヒーの旨味が分かる大人はカッコイイ」という、偏見まみれの憧れに翻弄された思春期はとうに過ぎ、すっかり自分に甘い大人に育ってしまった。苦いのは、現実だけで充分なのだ。
とはいえ、ブラックを飲まざるを得ないこともある。
例えば仕事で取引先とかにお邪魔して「ブラックでよろしいですか?」と言われた時。
本当なら「ミルクを」と言いたいところだが、初めて会う人にそんなに細々と要望する度胸、筆者にはない。飲食店ならいざ知らず、相手は一般社員だ。こちらが提供する側だったら絶対に「ブラックであれ」と願う。
会社はホワイトであれ。
ある程度の関係が構築できていて、筆者の好みも知ってくれているのなら「ミルクありますか…」と言えるだろうけれど、その場限りの対応で自分のために“ミルクを用意する”というひと手間をかけるのは忍びない。サッと飲んでスッと退散するだけなのだから、余計なことで手を煩わせたくないのだ。
だからいつも「大丈夫です。ありがとうございます」と言って、ブラックを受け取ってしまう。
「よろしいですか?」と聞かれているのだから、よろしくないのなら、そう言えば良いだけの話である。
そんなことは百も承知なのだけれど、「ミルクを」が出かかったところで、あの小さな小さなコーヒーフレッシュを1つもらったところで、大差ないのではないか?という考えがよぎる。筆者的には3つくらい持ってきてほしいところだけれど、1つのミルクでもだもだしている筆者にそんなワガママ言えるわけがない。
そうしてミルクをためらう一瞬の間に、「迷ってないで早く答えなきゃ」な自分が登場して、「(ブラックで)大丈夫です」と言ってしまう。考えるより先に、口が動いている。それはもう「あなたは口から生まれてきたのよ」と言われれば、何の疑いもなく信じるほどに。
何度となくブラックに挑戦してはいるのだけれど、飲む度に「やっぱり苦いなぁ……」という感想を抱く。
以前よりは飲めるようになって、出されたコーヒーはきちんと完飲するのだけれど、正直まだ心から「おいしい!」と言える領域には達していない。
コーヒーの香りは大好きなので、ひと通りその豊かで深い香りを楽しんだ後、家ではどばどばと牛乳を入れてカフェオレにすることをお赦しいただきたい。
そういえば、以前の勤め先を辞める時。コーヒー好きの同期から「酸味があるから飲みやすいと思う」と、オリジナルブレンドのコーヒーをプレゼントされたことがある。
ごめん同期。私はコーヒーの酸味もニガテなんだ……。
#なんのはなしです珈
同期にいただいたコーヒーは家族でおいしくいただきました。
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