山の彼方の空遠く――蝉が誘い、蛍が導く夜
山の彼方の空遠く
幸い来ると人の言う
夕方に暗くなりかけ、鳴く蝉に
心を寂しく記憶を辿る
何故、夕方鳴く蝉に切なさを感じるのだろうか
人恋しくて、ちょっぴり寂しくて
独り暮らしの痩せ我慢
冷えたワインをグラスに注ぎ外に出る
辺りはすっかり闇に染まり
もうすっかり少なくなりし蛍に、心奪われる
何か冥土への道案内
異世界への扉を開く光の灯火
蝉が誘い蛍が道先案内人
グラスのワインが赤く揺れる
ほのかに香る芳しき薫り
ああ、いずれ
向こうの世界へ行くのだな
独りでの旅立ち
見送りなしは少しだけ寂しいかも
でもまだまだ許しは出そうにない
天命全う
それだけが私の義務
他には何もない
執着はとおに手放した
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