レコード男子|棚からひとつかみ|Sade『Promise』|またUKへ戻ってしまった夜
※この記事には、プロモーションが含まれています。※記事の作成・構成には生成AIを使用しています。内容は筆者が確認し、加筆・編集しています。
棚からひとつかみ。
今回取り出したのは、Sadeのセカンドアルバム『Promise』である。
Richard MarxでアメリカのFMロックに戻ったと思ったら、またUKへ戻ってきてしまった。
UB40。
Simply Red。
Elton John。
そしてSade。
やっぱりUKが強い。というより、僕の好みがかなりUK寄りなのかもしれない。
Sadeという静かな存在
Sadeは、シャーデー・アデュのソロ名義のように見える。しかし実際には、シャーデー・アデュを中心としたバンドである。
この点がとても重要だと思う。
あの音は、単に歌姫が前に立っているだけでは生まれない。
スチュアート・マシューマンのサックスやギター。
ポール・スペンサー・デンマンのベース。
アンドリュー・ヘイルのキーボード。
そしてシャーデー・アデュの声。
この4人のバランスが、Sadeという静かな空間を作っている。
派手ではない。
でも、すぐに分かる。
大きな声で名乗らないのに、部屋に入ってきた瞬間に空気が変わる。
Sadeには、そういう存在感がある。
『Promise』という一枚
『Promise』は、1985年に発表されたセカンドアルバムである。
デビュー作『Diamond Life』で世界的な成功を収めたあとに出された作品だが、勢いで押し切るようなアルバムではない。
むしろ、さらに音を絞っている。
ジャズ。
ソウル。
ボサノヴァ。
カリビアンの空気。
都会の夜。
そうした要素が、過剰に混ざるのではなく、静かに溶けている。このアルバムには、音楽であると同時に、照明のようなところがある。
部屋を明るく照らすのではない。
必要なところだけを、淡く浮かび上がらせる。
「The Sweetest Taboo」の浮遊感
代表曲は、やはり「The Sweetest Taboo」だろう。
軽やかなパーカッション。
少し南国的なリズム。
涼しいキーボード。
そして、あの声。
曲そのものは軽やかだが、決して明るいだけではない。
どこか秘密がある。
どこか危うい。
どこか遠い。
タイトルにある「Taboo」という言葉が、曲全体に薄い影を落としている。
甘い。
でも、手放しの甘さではない。
この微妙な温度がSadeらしい。
「Is It a Crime」の夜
もう一つの聴きどころは「Is It a Crime」。
これは、かなりドラマチックな曲である。
サックスが入り、歌が大きくうねる。
感情が表に出る。
ただし、それでもSadeは叫ばない。
普通ならもっと泣かせにいくところを、どこかで温度を抑えている。
そこがいい。
感情をそのまま爆発させるのではなく、きれいなグラスに注いで差し出すような音楽。
だからこそ、かえって深く残る。
引き算の美学
Sadeの音楽を語る時、「引き算の美学」という言葉はよく似合う。
音を詰め込まない。
歌いすぎない。
飾りすぎない。
けれど、何もないわけではない。
むしろ、必要な音だけが選ばれている。
ベースが動く。
サックスが少し鳴る。
ギターが空間を作る。
キーボードが夜の色を足す。
そこにシャーデー・アデュの声が置かれる。
その声は、強く押してこない。
しかし、後ろに下がりもしない。
ただ、そこにいる。
それがとても強い。
若い頃より今しみる音楽
Sadeの音楽は、若い頃に聴いてもお洒落に感じたと思う。でも、今聴くと少し違う。
お洒落というより、余白がしみる。
音を詰め込まないこと。
言葉を言い切らないこと。
感情を見せすぎないこと。
そうしたものが、若い頃よりも分かる気がする。
大人の音楽という言い方は少し便利すぎるけれど、Sadeにはたしかに大人の時間がある。
夜に聴ける。
ひとりで聴ける。
少し疲れている時にも聴ける。
それでいて、決して薄くない。
UKの奥行き
Richard MarxでアメリカのFMロックに戻ったあと、Sadeを聴くと、UKの奥行きを感じる。
アメリカの音楽がまっすぐに広がっていくとすれば、UKの音楽は少し斜めに光を当てる。
レゲエをUB40が再構成する。
ソウルをSimply Redが洗練させる。
ポップスターとしてElton Johnが劇場化する。
そして、Sadeはジャズとソウルを夜の空間に変える。
UK強い。
というより、僕はこういう再編集された音に惹かれているのかもしれない。
もともとある黒人音楽やラテン、ジャズ、ソウルを、そのまま真似るのではなく、英国的な距離感で磨く。
その距離感が好きなのだと思う。
今日の一枚
Sade『Promise』。
1985年のセカンドアルバム。
「The Sweetest Taboo」の軽やかな影。
「Is It a Crime」の静かな情熱。
そしてアルバム全体を包む、夜の温度。
作り溜めは、この一枚までにしておく。
このあとは、じっくり棚から選びたい。
棚からひとつかみは、急いで数を増やすより、レコード棚の前で少し迷う時間が似合う。
Sadeは、その迷う時間にぴったりの音楽である。
音を急がない。
言葉を急がない。
感情を急がない。
だから、こちらも急がずに聴けばいい。
またUKに戻ってしまった夜。
でも、この戻り道は悪くない。
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