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3. 完璧な契約

2017年後半、ベンチャー企業を経営していた私は事業資金を抽出すべく神奈川県にあった個人所有のリゾートマンションを売りに出すことにした。しかし2017年中は1件も問い合わせがなかった。中も片付けていなかったので良い写真も撮れず、仕方ないだろう。
 
2018年1月になってシンガポールから日本行きの飛行機を予約し、部屋を片付けて、よい写真を撮り、本気で売ろうと決心。
 
ところが。
 帰国一週間前にエクスペディアからメールが入った。Subjectは
 【緊急! 下さい電話】
 どうせ  ”Emergency! Please Call”  を機械翻(直?)訳したのだろう。

要件は航空会社の要請により飛行機を変更してほしいということだった。日本のエクスペディアページから予約したので、電話すると案の定「片言」の日本語で対応された。確かにWebページを見るときは日本語で見ていたから日本語対応するというのは当然か。

「いまならこの飛行機に無料で変えられます。」

変えなくていいと主張しようとしたが、日本語で何を言っても通用しそうになかったので、あきらめて「無料で」変更してもらった。電話を切った後気づいたが、聞いていた出発時間がおかしい。聞いていた便名で検索して、最上位に上がってきたページをクリックしてみると、あらま、333だらけになっていた。
 
飛行機の機種名がボーイングのB7xxからエアバスのA333に変更になっていたのだ。その発着履歴が機種名とともにそのページにはずらりとならび、333だらけになっていた。それはまるで
 
「すべての準備がととのっているから333でお帰りなさい」
 
とでも言われているようだった。帰国後、部屋の片づけを始めたら、不動産屋からメールがあった。
 「複数のお客様から内覧希望が…」
 もちろん不動産屋は私の帰国日程など知っているわけがない。 が、2組目のお客様に値引き交渉もなく決まってしまった。私が6年前に購入した価格の4割増しで。
 
売買契約が終わってから気が付いた。契約書の中で、不動産屋の手数料が"333"で始まって、その後の数を全部足すと「9」になるということに。
 
完璧な契約。鳥肌が立った。

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