【読まないと後悔する】復讐を赦しに変えた奇跡。ネルソン・マンデラ自伝『自由への長い道』が今こそ必要な理由
そうえいば、ネルソン・マンデラを紹介していないではないか!と思ったので、今日は彼の自伝を紹介したいと思います。
『自由への長い道』って知ってます?
南アフリカで初めてすべての人種が参加できる選挙が行われ、マンデラが黒人初の大統領になった1994年に出版されました。
この本は、人種によって差別されるアパルトヘイト政策に立ち向かい、27年間もの苦しい刑務所生活を耐え抜き、最後は話し合いで平和な国づくりを成し遂げた彼の人生を描いた壮大な物語です。
ノーベル平和賞を取ったことを知ってる方は多いと思いますが、どんな本か知ってる人は少ないように思えたので、今日はこの本を紹介!
獄中でこっそり書かれた世界的ベストセラー
この本が誕生したエピソード自体が、まるで映画のよう。
マンデラは、ロベン島という孤島の刑務所に閉じ込められていた1974年に、看守の目を盗んでこっそりと自伝の原稿を書き始めました。
過酷な環境の中で綴られたその原稿が外の世界に秘密裏に持ち出され、大統領就任と同じ1994年に正式な本として出版されると、たちまち世界中で大ベストセラーになりました。
人間・マンデラが伝わる名訳
日本では、1996年にNHK出版から翻訳版(上下巻)が出版されました。
翻訳を担当した東江一紀(ひがしえ かずのり)さんの文章がとても素晴らしく、第33回日本翻訳文化賞を受賞しています。
政治家の自伝というと堅苦しいイメージがありますが、この日本語版はとても読みやすいのが特徴です。
生い立ちから闘争へ
① 田舎の少年時代から政治の世界へ
1918年、豊かな自然の中で生まれたマンデラは、テンブ人という部族の王族の血を引いていました。
幼い頃、長老たちが「全員が納得するまで意見を聞く」という会議の様子を見て育ちました。
これがのちの「とことん対話をする」という彼のリーダーシップの基礎になります。
若き日は無理やり結婚させられそうになって家出をするなど、情熱的で人間臭いエピソードも数多く描かれています。
やがて弁護士となった彼は、黒人を苦しめる差別に立ち向かうため、本格的な政治活動を始めます。
② 非暴力から武装闘争への苦渋の決断
当初、マンデラは話し合いや平和的なデモで抗議していました。
しかし、1960年に丸腰の黒人民衆に対して警察が発砲し多数の死傷者を出す「シャープビル虐殺事件」という悲惨な出来事が起きます。
平和的な手段の限界を感じた彼は、苦渋の決断としてウムコント・シズ・ウェ(民族の槍)という軍事組織を作り、自ら司令官として地下活動に身を投じます。
③ 逮捕と「命がけの演説」
1962年に逮捕された彼は、国家反逆罪に問われ、裁判で死刑になるかもしれない危機に立たされます。
しかし法廷で「私はすべての人々が平等な機会のもとに共に生きる社会を理想としている。その理想のためなら死ぬ覚悟ができている」と堂々と演説し、世界中の人々の心を打ちました。
結果的に終身刑となりますが、この「命がけの覚悟」がのちに南アフリカの民衆や国際社会を動かす大きな原動力になります。
27年間の過酷な刑務所生活
その後、彼は孤島のロベン島などで27年間もの過酷な刑務所生活を送ります。
石切り場での重労働、手紙の細断、そして家族への迫害など、心身を壊すような毎日でした。
最悪の時期には、一つの部屋に315人もの人々が収容され、仰向けで寝ることすらできないほどの過密状態だったといいます。
しかしマンデラは決して人間としての威厳を失わず、自らの孫が白人をからかった際にも「たとえ相手が白人であっても礼儀正しく接しなさい」と優しくたしなめるなど、相手を選ばない礼節を重んじていました。
そして長い孤独の中で、「差別をして他人の自由を奪う白人たちもまた、憎しみや偏見という『心の檻』に閉じ込められている。抑圧される側と同じように、抑圧する側も解放されなくてはいけない」という深い哲学にたどり着きます。
自分を迫害した相手を憎むのではなく、赦す(ゆるす)という偉大な境地に達したのです。
釈放、そして虹の国へ
1990年、ついにマンデラは釈放されました。
当時の南アフリカは黒人の怒りが爆発し、凄惨な内戦になりそうな危険な状態でしたが、彼は感情に流されることなく冷静に白人政権と平和的な交渉を進め、1993年にはノーベル平和賞を受賞します。
1994年、ついにすべての人種が参加できる歴史的な選挙が行われ、マンデラは初の大統領に選ばれました。
彼は白人を追い出すのではなく、すべての人が共に生きる虹の国(レインボー・ネーション)をスローガンに掲げます。
特に有名なのが、1995年のラグビーワールドカップです。
それまでラグビーはアパルトヘイトの象徴として黒人から嫌われていましたが、マンデラ自らが南アフリカ代表チームのユニフォームを着て応援し、スポーツを通じて国民を一つにまとめたエピソードは、彼の和解の政治を象徴する出来事です。
映画や音楽になったマンデラの人生
この劇的な人生は、2013年(日本公開は2014年)に『マンデラ 自由への長い道』として映画化され、大きな話題を呼びました。
主演のイドリス・エルバが、マンデラの圧倒的なカリスマ性だけでなく、大義のために家族を犠牲にしてしまったという個人的な葛藤や悲哀を見事に演じています。
また、この映画の主題歌としてU2が書き下ろしたのが『Ordinary Love』です。
U2のメンバーは以前からマンデラと親交があり、自身のアルバム制作を中断してまでこの曲を作り上げました。
この曲では、歴史上の偉人としてではなく「普通の愛を求める一人の人間」としてのマンデラが歌われています。
読まないと後悔する
自由への長い道は、激しい差別や苦しみを乗り越え、復讐を和解へと変えた奇跡の記録です。
他者の尊厳を認めることが、結果的に自分自身の自由と解放につながるというマンデラの考え方、いま、必要じゃないですか?
彼の言葉を忘れた愚かな政治家たちが、またもや対立や戦争をしているのだから。
平和や思いやりについて深く考えるために、ぜひ一度手に取ってみてほしい不朽の名著です。
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