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【超入門】カントの三大批判書をわかりやすく解説!純粋・実践・判断力とは

今日はカントの三大批判書を紹介します!

18世紀のドイツ(プロイセン)を代表する哲学者であり、近代哲学の歴史を決定づけた超重要人物です。

フルネームはイマヌエル・カントで、1724–1804まで。

カントが出現するまで、当時のヨーロッパの哲学界は、大きく2つのグループに分かれて激しく対立していました。

一つは、人間の頭で考える論理こそがすべてであり、頭の中だけで世界の真理にたどり着ける!と主張する合理論(大陸系)のグループです。

もう一つは、いや!見たり聞いたり触ったりする『経験』がすべてであり、経験できないものは信じられない!と主張する経験論(イギリス系)のグループでした。

カントは、この両極端な意見をまとめ上げるという途方もない作業に挑みました。

彼は大学教授になってから、「沈黙と模索の10年」と呼ばれる長い期間、論文を発表せずにひたすら考え抜き、50代後半になってから歴史的傑作『純粋理性批判』を世に出しました。

いわば遅咲きの哲学者です。

カントは、人間の理性(考える力)には何ができて、何ができないのかを考えたわけですね。

その集大成が、人間の認識能力を解明した三大批判書です。

第一の『純粋理性批判』では、人間は世界をどうやって知るのか?(科学と知識の限界)を問い、第二の『実践理性批判』では、人間はどう生きるべきか?(道徳と自由)を探求し、第三の『判断力批判』では、これら2つの世界をどうつなぐのか?(美しさと生命の謎)を解き明かしました。

今日はその三大批判書を紹介します。


赤いメガネとコペルニクス的転回

カントの考え方を理解する上で一番大切なのが、コペルニクス的転回と呼ばれる大発見です。

天文学者コペルニクスが「太陽が地球の周りを回っている」という常識をひっくり返し、「地球が太陽の周りを回っている」と視点を変えたように、カントも哲学の常識を根本からひっくり返しました。

昔の哲学者は、人間は外にある世界をカメラのように受動的にそっくりそのまま写し取っていると考えていました。

しかしカントは、人間が自分の頭のフィルターを通すことで、世界を自ら組み立てている(構成している)のだと考えたのです。

これを色付きメガネに例えると分かりやすいかもしれません。

もし全人類が、生まれつき絶対に外せない「赤いメガネ」をかけているとします。

すると、世界はすべて赤く見えますが、世界そのものが本当に赤いのか、それとも自分のメガネのせいで赤く見えているのかは、誰にも分かりません。

カントは、私たちが世界を捉えるときの空間(縦横高さ)や時間(過去から未来)、そして原因があって結果がある(因果律)といった枠組みは、すべてこの「生まれつきのメガネ」だと考えました。

この考えに基づき、カントは世界を二つに区別しました。

一つは「現象」と呼ばれる、私たちがメガネ越しに見ている科学で証明できる世界です。

もう一つは「物自体(ものじたい)」と呼ばれる、メガネを外した時の本当の世界の姿であり、これは人間には絶対に認識できない謎の領域とされました。

『純粋理性批判』

第一の批判書『純粋理性批判』のテーマは、正しい知識はどうやって生まれるのか?という問いです。

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カントは、知識を手に入れるには「経験」と「理性」の両方が必要であり、この2つは車の両輪のような関係だと言いました。

五感で集めた材料である経験がないのに頭の中だけで考えても空っぽですし、それを整理する力である理性がなければ、材料はただのゴミの山になってしまいます。

人間がこの経験(メガネの届く範囲)を無視して、頭の中の論理だけで宇宙や神について考えようとすると、理性が暴走してバグを起こすことをカントは証明しました。

これを二律背反と呼びます。

例えば、「宇宙の広さは有限か、無限か?」という問題について考えると、「宇宙は無限だ」という主張も、「宇宙には果てがある(有限だ)」という主張も、どちらも論理的に完璧に証明できてしまいます。

正反対のことが両方とも証明できてしまうのは、人間の理性が経験できない領域にまで無理に踏み込もうとしている証拠なのです。

カントは、人間の理性で確実に証明できるのは、メガネ越しに見える現象の世界だけだと限界を引きました。

しかし、神や魂を科学的に証明できないからといって、それらを否定したわけではありません。

むしろ科学の領域を限定することで、道徳的な理由から神や魂を信じるための安全なスペースを心の中に作り出したのです。

『実践理性批判』

第二の批判書『実践理性批判』のテーマは、正しい行い(道徳)と人間の自由です。

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カントは、行為の「結果」ではなく「動機」こそが道徳のすべてだと考えました。

ここで有名賢いパン屋の例を紹介します。

お店に小さな子どもがパンを買いに来た際、店主は子どもを騙して高いお金をぼったくることもできます。

しかし店主は、もしズルをして悪い噂が立ったら、お客さんが減って商売あがったりだ。だから正しいお釣りを返そう、と考えました。

この店主の行動は、結果だけを見れば正しい行いです。

しかしカントは、これは自分の利益のための計算にすぎず、道徳的な価値はプラマイゼロになると書いてるんです。

本当に道徳的な行動とは、損得勘定を抜きにして「それが正しいことだから」という純粋な理由だけで行うこと。

カントは、私たちが従うルールの性質を2つに分けました。

一つ目は仮言命法(かげんめいほう)と呼ばれるもので「もし他人に嫌われたくないなら、優しくしろ」といった条件付きの命令です。

カントはこれを、自己利益が隠れたニセモノの道徳とみなしました。

二つ目は定言命法(ていげんめいほう)と呼ばれるもので、損得に関係なく「無条件に人に優しくしろ!」と絶対的に命じるものです。

カントはこれこそが真の道徳であると考えました。

カントによれば、本当の自由とは欲望のままに生きることではありません。

誰かに押し付けられたルールや、自分の欲に振り回されるのは、実は不自由な状態です。

自分の理性で「これが絶対に正しい!」と考えたルール(定言命法)を自分自身に課し、それに従うこと、つまり自律こそがカントの考える本当の自由なのです。

『判断力批判』

ここまでの2つの本で、カントの世界は真っ二つに割れてしまいました。

第一批判書で描かれた「自然の世界」は、すべてが原因と結果でガチガチに決まっている機械のような科学の世界です。

一方で、第二批判書で描かれた「自由の世界」は、自分で決めたルールに従って自由に生きる道徳の世界です。

もし人間が「自然の世界」の単なる物質にすぎないなら、道徳的な自由など発揮しようがありません。

そこで、この自然と自由という2つの世界に橋を架けるために書かれたのが、第三の批判書『判断力批判』です。

カントは人間の心の働き(判断力)を大きく2つに分けました。

「規定的判断力」は、すでに分かっているルールを目の前のものに当てはめる科学の思考法です。

一方の「反省的判断力」は、目の前にある特殊なものから、後付けでルールや意味を見つけ出そうとする力です。

この反省的判断力が活躍するのが、生命(目的論)と美しさ(美学)について考えるときです。

科学的な原因と結果の法則だけでは「なんで植物は種を作るの?」「なんで動物は自分の怪我を治せるの?」といった生命の不思議を完全に説明しきれません。

そこで私たちは、あたかも神様が明確な目的を持ってデザインしたかのように自然を捉え、無機質な自然界の中に意味を見出します。

さらに重要なのが美しさと崇高(すうこう)の概念です。

限界のない巨大な山や荒れ狂う嵐など、人間の想像力を超える圧倒的な大自然を目の前にしたとき、怖さと同時に崇高な感情を抱きます。

カントによれば、身体的には自然に太刀打ちできなくても、私たちの心はそれに屈しない強さを持っていることに気づき、人間自身の精神の可能性への尊敬が湧き上がるのだと言います。

美しい芸術や大自然に触れて感動するとき、人間は損得勘定を完全に忘れます。

カントは、この損得を離れて美しさを感じる心は、損得を離れて正しいことをする道徳と構造がそっくりだと考えました。

そのため「美は道徳の象徴である」と書いています。

このように、私たちが自然の美しさや生命の目的を感じ取る力こそが、冷たい機械のような自然界の中に、温かい道徳や自由が存在する可能性を示してくれる架け橋になるのです。

すべての問いへの答えがここに

カントの三大批判書は、人間にとって最も大切な3つの大きな問いへの答えとなっています。

「わたしは何を知ることができるか?」という第一の問いに対しては、人間特有の認識のフィルターを通した経験の世界だけを知ることができると結論づけました。

次に「わたしは何をすべきか?」という問いに対しては、損得勘定を捨てて、自分の理性が決めた絶対のルール(定言命法)に従って生きるべきだと説きました。

そして、「わたしは何を希望してよいか?」という最後の問いに対しては、美しさや生命の神秘を通じて、この決定論的な世界の中にも道徳的な意味と自由の実現を信じてよいのだと示しました。

カントは、科学の限界を厳密に見極めることで、逆に人間が人間らしく自由に生きるための道徳と希望の居場所を守り抜きました。

できるだけ分かりやすく紹介したつもりでしたが、もしかしたらいつもより難しくなっちゃったかもしれません。

何回も読んで、理解する本だと思うで、ぜひ手に取ってみてください。

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おすすめの本を紹介しまくる人 これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。

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