【要約・解説】アリストテレス『エウデモス倫理学』|幸福・中庸・友愛から学ぶ本当の幸せ
生きていれば誰でもきっと「本当の幸せってなんだろう?」って思ったこと、あると思います。
この悩みというか疑問って、実は何千年も前からある。
そして、それの答えを何千年も前に書いた(というか口頭で答えた)人がいます。
アリストテレスです。
アリストテレスといえば『ニコマコス倫理学』が有名ですが、今日紹介するのは『エウデモス倫理学』という本。
こっちの本は、より私たちの日常生活に近い視点で「善く、美しく生きること」を語りかけてくれる、隠れた名著として最近注目を集めています。
ということで、今日はこの本を紹介!
幸せは手に入れるものではなく活動である
多くの人は、お金や名誉、あるいは一時の快楽を手に入れれば幸せになれると考えがちです。
しかしアリストテレスは、それらはあくまで「道具」に過ぎないと言います。
彼によれば、幸福(エウダイモニア)とは、何かのゴールに到達して止まってしまう状態ではなく、人間が持っている最高の力を存分に発揮し続ける「活動」そのものだ、と言っているんです。
ちょっと難しいですよね。
例えば、ただ「知識を持っている」だけでは幸せとは言えません。
その知識を使って誰かを助けたり、新しい発見を楽しんだりする活動の中にこそ、幸せが宿るのです。
彼は、私たちが日々行うあらゆる選択や行動が、最終的にこの最高に善い活動に向かっているかどうかを問いかけます。
「ちょうど良さ」を見つける知恵
では、どうすればその善い活動ができるようになるのか。
ここで登場するのが、有名な「中庸(ちゅうよう)」という考え方です 。
アリストテレスは、私たちの性格や感情において「やりすぎ(過剰)」と「やらなさすぎ(欠乏)」の両方を避け、その時々でちょうど良いバランスを見つけることが大切だと説きました。
例えば、危険に飛び込みすぎるのは無鉄砲ですし、逃げてばかりなのは臆病です。
その真ん中にある勇気こそが、私たちが目指すべき徳なのです。
このバランス感覚は、一度本を読んだだけで身につくものではありません。
日々の生活の中で繰り返し正しい選択をし続ける習慣によって、少しずつ私たちの性格として定着していくものだとアリストテレスは励ましてくれます。
友人は「もう一人の自分」
『エウデモス倫理学』の後半で、アリストテレスは友愛(フィリア)について非常に熱く語っています。
彼によれば、人間は一人では幸せになれません。
彼は友だち付き合いを三つのレベルに分けました。
利害関係だけでつながる「役に立つ友」、一緒にいて楽しいだけの「快楽の友」、そして相手の素晴らしい人柄を愛し、互いに高め合おうとする「徳による友」です。
特に「徳による友」は、自分自身の良さを映し出す鏡のような存在であり、アリストテレスは彼らを「もう一人の自分」と呼びました。
良い友人と共に活動し、互いの成長を喜び合うことは、人生の幸福をより確かなものにしてくれる不可欠な要素なのです。
善美(ぜんび)なる人
この本の最後のほうで語られるのが、善美の徳という不思議な言葉です。
これは善い(アガトン)と美しい(カロン)が合体した言葉で、アリストテレス倫理学の到達点とも言えます。
単に「正しいからやる」というだけでなく、その正しい行いを美しいと感じて心から愛し、楽しみながら実践できる状態を指します。
さらにアリストテレスは、人生を迷わせるお金や地位といった外側の善をどの程度追い求めるべきか、という問いに対して、一つの明確な基準を示しました。
それは、自分の中にある最も高貴な部分(理性)が、神的な真理を思うことを邪魔しない程度というものです。
すっごくかみ砕くと、なさ過ぎもダメだし、ありすぎもダメって意味です。
やりすぎだなって思わない程度ならいいよってことですね。
もっと深く知りたい方へ
『エウデモス倫理学』ですが、アリストテレスが書いた元の本を読んでほしいところですが、なんせ数千年前の本なので、解説書とか、関連の本も紹介したほうがいいのかなーって思いました。
なので、原書と原書以外にも読みやすい本をいくつかご紹介します。
まず、実際にこの本を読んでみたいという方には、『光文社古典新訳文庫 エウデモス倫理学(上・下)』が最適。
これまで専門家向けで難解だったこの古典を、初めて現代の私たちが普通に読める言葉で翻訳した画期的な一冊です。
豊富な解説が付いているため、一人で読み進められる。
あとなぜ今日このタイミングでこの本を紹介したかたというと、日本語訳で史上初めて電子書籍化されたからです。
昨日かな?はじめてなりました。
アリストテレスの考え方全般をやさしく学びたい方には、『アリストテレス 倫理学入門』(J. O. アームソン著、雨宮健 訳)をおすすめします。
難しい用語を整理し、現代の生活に当てはめて解説してくれるため、入門書として非常に評価が高い本です。
より広い視点で「善く生きるとは何か」を考えたい場合は、『倫理学入門―アリストテレスから生殖技術、AIまで』(品川哲彦)も手に取ってみてください。
アリストテレスの知恵が、今の時代のAIや生命倫理といった新しい問題にどう役立つのかを教えてくれます。
紀元前の名著
エウデモス倫理学は、人間が「自分の活動を愛し、友を愛し、より高貴なものを見つめる」ことで、今ここにある人生を最高に輝かせることができるという、ことが書いてある本。
人間の根本なんて数千年くらいじゃ変わらないんです。
だからこそ、本を読むことは大切。
ぜひ、読んでみてほしい。
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これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。