起業失敗の4割は「誰も欲しがらないモノ」を作ること。悲劇を防ぐ世界の必読書『リーン・スタートアップ』
新しくビジネスを立ち上げる際、多くの企業は失敗してしまいます。
その一番の理由は「お客さんが全く欲しがらない製品を、たくさんのお金と時間をかけて作ってしまうから」です。
実際、スタートアップ企業が失敗する理由の約4割が「市場のニーズがない(誰も欲しがらない)」ことだという調査データもあります。
この悲劇を防ぐために、起業家のエリック・リースが2011年に書いた本が『リーン・スタートアップ』です。
「リーン」とは「ぜい肉がとれた、ムダがない」という意味です。
最初から完璧な計画を立てて大金をつぎ込むのではなく「小さく作って、お客さんの反応を見て、軌道修正する」ことで、お金や時間のムダを極限まで減らす画期的な方法として世界中に広まりました。
今日はそんな本を皆さんに紹介しようと思います。
リーン・スタートアップが生まれたきっかけ
著者であるエリック・リース自身も、過去に「IMVU」という3Dアバターのチャットサービスを作った際に大きな失敗を経験しています。
彼は数ヶ月間、誰にも見せずに「完璧な機能」を一生懸命開発しました。
しかし、いざ世に出してみると、お客さんはその機能を全く使ってくれませんでした。
この「誰も使わない機能のために死ぬほど働いた」という後悔から、彼はアプローチを180度変えました。
大きな資金を集めて完璧なものを作るのをやめ、たった6ヶ月で「最低限動く製品」をリリースし、1日に何度も細かく改善する手法を取り入れました。
その結果、IMVUは大成功を収め、この経験が『リーン・スタートアップ』の基礎となりました。
リーン・スタートアップの「5つの基本原則」
この方法は、以下の5つのシンプルな考え方から成り立っています。
起業家はどこにでもいる
ガレージで起業する若者だけでなく、大企業の新規事業担当者や公務員など、先の見えない新しいことに挑戦する人は全員、起業家
起業とは「マネジメント」である
「とにかく気合と行動!」ではなく、先が読めない状況を乗り切るための「しっかりとした管理の仕組み」が必要
検証された学び
思い込みや机上の空論ではなく、実際のお客さんの行動データから学ぶことが一番大切
作って・測って・学ぶ
アイデアを形にし、反応を測り、そこから学ぶ
この繰り返しをいかに早く回すかが成功の鍵
イノベーション会計
売上などの普通の数字ではなく、本当に事業が前に進んでいるかを正しく測るための新しい基準(指標)を使う
成功の鍵は構築・計測・学習のループ
リーン・スタートアップの原動力となるのが、以下の3つのステップをぐるぐる回すことです。
1. 構築(作る)
まずは仮説(お客さんはこれを欲しがるはずだ)を立て、実用最小限の製品(MVPって言います)を作ります。
これは完璧な製品ではなく、仮説が正しいか確かめるための最低限の試作品です。
2. 計測(測る)
MVPを流行に敏感な一部のお客さんに使ってもらい、反応を見ます。
この時、アクセス数のような、見栄えのいい数字に騙されず、実際に何度も使われているかなどの行動につながる数字を見ることが重要です。
3. 学習(学ぶ)
データを見て、最初のアイデアが正しければそのまま改善を続けます。
もしお客さんの反応が悪く、アイデアが間違っていたら、大胆に方向転換します。
これを「ピボット」と呼びます。
従来の手法との違い
従来の方法は、綿密な計画を立て、時間をかけて完璧なものを作り、最後に大々的に発表します。
しかし、もしハズレだった場合、お金も時間もムダになりダメージが大きすぎます。
リーン・スタートアップは、最初から計画は変わるものとし、小さく早く試作品を出し、お客さんの声を聞きながら修正していきます。
失敗してもすぐにやり直せるため、ムダが少なく済みます。
有名な成功事例
MVP(最低限の試作品)は、必ずしも立派な製品である必要はないんです。
「お客さんが本当に欲しいか」を確かめる実験のようなもの。
といっても分かりにくいと思うんで、いくつか成功例を書きますね。
Dropbox
開発が非常に難しいシステムだったため、本格的にプログラムを作る前に「製品が完成したらこうなります」という3分間の動画を作ってネットに公開しました。
これがMVPとなり、動画を見た人からの圧倒的な登録希望が集まったため、「このアイデアはいける」と確信してから開発を始めました。
Zappos
「ネットで靴を買う人はいるのか?」を確かめるため、巨大な倉庫を持つ前に、近所の靴屋で靴の写真を撮ってシンプルなウェブサイトに載せました。
注文が入ると、社長自ら靴屋で靴を買ってきて、郵便局から発送しました。
裏側は手作業でしたが、在庫リスクゼロで需要を確かめた見事なMVPです。
Buffer
なんとプログラムを1行も書かないで「製品の説明と料金表」だけが載ったウェブページを作りました。
お客さんが購入ボタンを押して初めて「本当に払う気がある!」ことが分かって、そこから作るというすご技。
ピボットの例
今や誰もが知るInstagramやSlack、Twitterなども、実は最初のアイデアが失敗し、そこから得た学びを活かして別のアイデアにピボット(方向転換)して大成功した企業です。
リーン・スタートアップの弱点
これほど便利なリーン・スタートアップですが、万能の魔法の杖ではありません。
いくつか注意すべき弱点や批判もあります。
画期的な大発明には向かない
スティーブ・ジョブズのような「誰も見たことがない未来の製品」や、宇宙開発のような高度な技術は、事前にお客さんに意見を聞いてもわかりません。
明確なビジョンと巨額の投資が必要な事業には、この手法は合いません。
すぐ諦めてしまう
お客さんの反応が悪いとすぐにピボット(方向転換)を勧めるため、困難を乗り越えずに安易に逃げてしまう原因になると指摘する専門家もいます。
「手抜き」の言い訳にされる
現場では「MVPだから」と言い訳をして、ただのバグだらけの粗悪品を出してしまうケースが後を絶ちません。
MVPは手抜きではなく「需要があるかを証明するための最小限の実験」であるべきです。
すでにお客さんがいる場合は危険
人気ゲームの続編など、すでに固定ファンがいる場合、未完成のMVPを出すと「質が低い」と思われ、長年かけて築いたブランドの信頼を一気に失うリスクがあります。
すごい本…
リーン・スタートアップは、客が本当にそれを欲しがっているか分からないという先の読めない状況において、ムダな時間とお金を節約する最強の武器になります。
しかし、ビジネスのすべてに通用するわけではありません。
技術的にとても難しく、強い信念が必要なプロジェクトには不向きです。
大切なのは、ひとつの方法を盲信するのではなく、自分たちのビジネスの状況に合わせて、このリーン(ムダをなくす)の考え方を賢く使い分けることです。
これ、世界では必読書のひとつとされていて、グローバルのビジネスマンで読んだことがない人はいない、と言われている本なんです。
皆さんもぜひ、読んでみてほしい。
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これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。