見出し画像

1980年にテレワークも多様性も予言していた!アルビン・トフラー『第三の波』が凄すぎる!

1980年に出版されたアルビン・トフラーの『第三の波』は、人類の歴史とテクノロジーの関係みたいなことについて書いた本で、これから来る情報化社会を見事に言い当てた世界的な名著です。

この本は、1970年に大ヒットした彼の前の本『未来の衝撃』の続編として書かれました。

前の本は、テクノロジーの急激な変化に人間がついていけなくなるストレスというマイナス面について書いたんですが、『第三の波』はもっと前向きな内容になっています。

1980年当時は、オイルショックや冷戦の影響で、未来に対して暗いイメージを持つ人が多い時代でした。

しかしトフラーは、当時の社会問題は工業化社会(第二の波)という古い仕組みが限界を迎えたから起きていると論理的に説明し、これから全く新しい時代(第三の波)がやってくると宣言しました。

それが世界中に衝撃を与えて、ベストセラーになったんです。

ということで、今日はこの本を紹介!


著者はどんな人?

トフラーが書くことって、彼自身の泥臭い実体験から生まれています。

アルビン・トフラーは大学時代に社会の仕組みに興味を持ち、卒業後、妻のハイジと共に、あえて工場労働者として約5年間働きました。

彼らは溶接工や鋳造工場の作業員として、大きな機械の音とタイムカードに縛られる過酷な働き方や、失業の恐怖を肌で学びました。

その後、トフラーはジャーナリストになり、ホワイトハウスの担当記者や一流ビジネス誌の副編集長を務めました。

さらには、IBMなどの最先端IT企業でコンサルタントとしても活躍しました。

工場の底辺の労働から、最先端のIT企業や国のトップまで、社会のあらゆる階層を実際に見てきた経験が、この本のリアルな分析につながっています。

人類の歴史を変えた3つの大きな波

トフラーは、人類の歴史を社会を丸ごと飲み込む波に例えました。

新しいテクノロジーの波は、古い社会の仕組みや文化を押し流し、全く新しいルールを作ります。

  • 第一の波(農業の時代)

約1万年前から17世紀頃まで続いた時代です。

人々は自然のエネルギー(人間の力や水力など)を使い、自分たちで食べるものを自分たちで作る自給自足の生活をしていました。

  • 第二の波(工業化の時代)

 17世紀頃から始まった産業革命以降の時代です。

石炭や石油などのエネルギーを使い、工場でモノを大量生産し、お店で大量消費するようになりました。

これにより、作る人(生産者)と買う人(消費者)がはっきり分かれました。

また、工場で働くために、人々は大家族から核家族になり、時間を守って働くための学校教育が広まりました。

そう、今の学校は工場で時間通りに働かさせるためにできたんです。

  • 第三の波(情報化の時代)

 1950年代後半から始まった時代です。

大量生産の限界や環境破壊への反省から、モノよりも知識や情報が最も重要な価値を持つ社会へと変わっていきます。

古い社会のルールが崩れる

トフラーは、第二の波の時代には社会を動かす6つの隠れたルールがあったと指摘し、第三の波ではこれらが崩れていくと予想しました。

  1. 規格化

    •  製品だけでなく、教育や働き方まで一つの型にはめること

    • → 第三の波では、個人の好みに合わせた多様化が進む

  2. 専門化

    • 工場で一つの作業だけを繰り返すこと

    • → 複数のスキルを組み合わせた柔軟な働き方に変わる

  3. 同時化

    •  全員が同じ時間に働き、同じ時間に休むこと

    • → フレックスタイムやテレワークなど、自分のペースで働くようになる

  4. 集中化

    •  会社や工場に人を集め、通勤ラッシュが起きること

    • → ネットの普及で、働く場所がバラバラに分散

  5. 極大化

    • 企業の規模やビルをとにかく大きくすること

    • → 小さくても効率の良い、ちょうどいいサイズが重視

  6. 中央集権化

    •  国や企業の本社がすべての権力を持つこと

    • → 権力が分散し、一人ひとりが力を持つようになる

トフラーが1980年に予想したこのこと、多くは実現しましたよね。すごい。

在宅勤務はコロナ禍でのテレワークの普及で見事に現実になりました。

あとはYouTubeで動画を見ながら自分でも投稿する人や、セルフレジで自分で会計をするなど、消費者が生産に参加するようになった。これも見事に当ててる。

共働き、シングルマザー、事実婚など、いろいろな家族の形が当たり前になったしね。

あとは何よりメディアですよね。

全員が同じテレビ番組を見る時代が終わり、自分の好きな専門的な情報(ネットの動画や専門ニュースなど)を自分で選んで見るようになった。

プラクトピア

トフラーは、すべてを国の中央が管理するシステムも限界を迎え、権力が地方の地域や国際機関に分散していくと考えました。

そして、第三の波が行き着く先としてプラクトピア(実践的ユートピア)という言葉を作りました。

これは、新しいテクノロジーを使って、環境問題やみんなが同じことをさせられるストレスを解決した、今よりずっとマシで、実現可能な社会のこと。

ようは、ユートピアとかは無理ゲーだけど、ギリギリ実現可能で、いまよりずっといいところを目指そうよ!みたいなこと。

世界に与えたすごい影響

なんで今日この本を紹介しようかと思ったのかというと、実査に現実の社会を大きく動かしたからなんですよね。

インターネット黎明期のAOL(アメリカ・オンライン)創業者スティーブ・ケースなどは、学生時代にこの本を読み、「これが未来だ」と確信して起業しました。

もしかしたら、この本なかったら、ネットがなかったかも。

そして、これは意外かもしれませんが、中国の指導者たちがこの本読んだんですよ。

そして中国政府は、情報化社会になれば、発展途上国も先進国に追いつけるチャンスがあるというトフラーの考えを国の戦略に取り入れました。

その結果、中国はほんとに経済成長した。

もちろん、40年以上前の本なので、今の視点から見ると弱点もあります。

全体的にこの本、テクノロジーが進化すれば、社会は自動的に良くなると考えすぎている。

実際には、ネットが普及してもフェイクニュースが広がったり、巨大IT企業がデータを独占したりと、新たな問題も起きています。

また、みんなが同じでなくてもよくなり、自由になった結果、かえって孤独を感じたり、生きる目的を見失ったりする悩みまでは、十分に予想しきれていなかった。

古い波と新しい波

第三の波は、テクノロジーや働き方、家族の形がすべて繋がっていることを教えてくれる本。

いまもちょっと残ってる満員電車とか、古くさい会社のルールみたいな不満は、古い第二の波の仕組みと、新しい第三の波の技術がぶつかり合って起きている摩擦なんですよね。

トフラーの本が今でも色褪せないのは、どんな新しい機械ができるかを当てたからではなく、テクノロジーが変わると、人間の生き方や社会のルールがどう根底から変わるか、を分かりやすく説明してくれたから。

テクノロジーをうまく使いこなせば、もっと自分らしく生きられるプラクトピアを作れるっていうのは、人工知能のいまでも変わらないはずだと思うんですよね。

なので、ぜひ読んで考えてみてほしい。

今日紹介した二冊、両方とも100円くらいで買えるし。おすすめです。

いいなと思ったら応援しよう!

おすすめの本を紹介しまくる人 これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。

この記事が参加している募集