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SNS疲れの解決は18世紀にあった…他人の評価から解放されるルソー『自然と社会』入門

18世紀のフランスでは「科学技術や文明が発展すれば、人間は無知から解放されて絶対に幸せになれる!!」と信じられていました。

これが啓蒙思想。

そして「本当にそうだろうか?」と言ったのがジャン=ジャック・ルソーなんです。

そんなルソーの有名な言葉に、こんな言葉があります。

「いかなる物でも、自然という造物主の手から出るときは善であり、人間の手に渡って悪となる」

彼は、文明の進歩が決して人間の道徳的な向上や幸福には結びついておらず、むしろ複雑な社会の仕組みや私有財産が、人間を本来の自由な状態から遠ざけ、不幸にしていると考えました。

そんなルソーの思想が書いてある本が『自然と社会』です。

ルソーの文章は美しくも論理が複雑なため、原典をいきなり読むのは少しハードルが高い。

だから、この『自然と社会』が入門書として出版されたんです。

なんでこの本を今日紹介したかというと、絶版本などを現代に蘇らせる「書物復権2026」という10社共同のプロジェクトがあるんですが、それにこの本、選ばれまして、昨日、名著復活したんですよ。

これはみんなに読んでほしい!ってことで、紹介している次第。


自然に還れの本当の意味

ルソーの思想を象徴する有名な言葉に「自然に還れ」があります。

これは「文明を捨てて、原始時代の森の中で野生の生活に戻ろう」という意味だと誤解されがちですが、そうではありません。

ルソーが言いたかったのは「複雑になりすぎた社会の枝葉を捨てて、根本に還れ」ということです。

人間が社会のしがらみや偏見によって歪められる前の、本来の純粋な人間像を理論的に見つめ直そうとしました。

たとえば、現代の科学者が動物実験を行う際に「かわいそうで忍びない」と心を痛めるような、人間が根本的に持っている優しい感情を見つめ直すことこそが、ルソーの言う自然への回帰。

人間の感情はどう変わってしまったのか?

ルソーは、人間にはもともと2つのシンプルな感情しか備わっていなかったと考えました。

  1. 自己愛

    • 自分の命を守り、自分を大切にしようとする健全な本能

  2. 憐れみ(あわれみ)

    • 他者が苦しむのを見るのを嫌がる、生まれつきの思いやり

自然な状態では、この自己愛は憐れみによってうまくブレーキがかけられており、人間はむやみに他人を攻撃することはありませんでした。

しかし、人間が社会をつくり、他人と常に顔を合わせるようになると、この健全な自己愛が、他人の評価を気にする歪んだ自尊心(利己愛)へと変わってしまいます。

他人より優位に立ちたい、他人に認められたいという見栄や嫉妬が生まれ、これが犯罪や不幸の温床になったとルソーは指摘しました。

まあ、今だったらSNSがそれを加速させてますよね。

不平等はなぜ生まれたのか?

人間が不幸になった大きな原因として、ルソーは『人間不平等起源論』の中で2つの革命(変化)があったと説明しています。

  • 第一の革命(私有財産の誕生)

農業や金属加工が始まり、誰かが「この土地は私のものだ」と言い出したことで、持つ者と持たざる者の不平等が生まれ、法律や国家が作られました。

  • 第二の革命(権力の固定化)

最初は便利だから作られた役人などの行政システムが世襲制になり、支配する側と支配される側の権威主義が固定化されてしまいました。

文明が進むにつれて人間は弱い存在になり、社会の仕組みや他人の労働に依存しなければ生きていけなくなってしまったのです。

これは、現代の社会において競争が経済効率ばかりで測られ、本当に人間にとって有益かどうかがどうでもよくなっちゃった。最悪。

子どもを守る消極教育

では、この歪んだ社会の中で、どうすれば人間らしさを失わずに子どもを育てられるのか。

そのヒントが、彼の教育小説『エミール』から抜粋された教育の章にあります。

ルソーは、大人の価値観や社会の悪習を無理に教え込まない消極教育を提案しました。

消極的というと、ただ放っておくというマイナスなイメージを持たれがちですが、ルソーの真意は違う。

社会の悪い偏見から子どもを徹底的に守ることで、子ども自身の自然な成長の芽を育むという、実は非常に積極的な攻めの教育論。

ルソーは、子どもに他人の評価を気にさせるのではなく、自分の力で生き抜き、自分自身に満足することの幸福を知ってほしいと願いました。

良心に従って正しい選択をし、自分自身に満足できる人間になることこそが、最高の楽しみだと説いたのです。

理想の社会をつくる一般意志

教育によって自立した個人が育ったとしても、社会そのものが腐敗していては意味がありません。

個人が自由を保ったまま他者と共存するには、どんな社会が必要か。

ルソーは人々の意志を3つに分けて考えました。

  1. 特殊意志

    • 特定の個人や集団が「自分の利益だけ」を追求する意志

  2. 全体意志

    • みんなの特殊意志(自分の利益)をただ足し合わせただけのもの

  3. 一般意志

    • 個々人が自分の利益を脇に置き、理性的・合理的に「社会全体の利益」を考えて政治に参加した結果生まれる意志

どれが理想だと思います?

もちろん、3番ですよね。

ルソーも、この一般意志に基づく政治こそが理想だと主張しました。

全員が社会全体のために意思決定を行えば、誰かに利益が偏ったり、特定の人が不幸になったりすることのない、公平で自由な社会が実現できると考えたのです。

孤独の中に見出した心の平和

自然と社会には、こうした壮大な理論だけでなく、孤独や幸福、自画像といった、ルソー個人の極めて内面的な文章も多く収録されています。

ルソー自身は、社会の矛盾を鋭く批判したため、当時の知識人たちと対立し、本は発禁になり、迫害を受けて逃亡生活を送るなど、社会の病理に最も深く苦しめられた人物でした。

しかし晩年、彼は社会のしがらみから完全に離れ、絶対的な孤独の中に心の安らぎを見出します。

他人の視線から解放され、自分自身と静かに向き合う時間を取り戻したのです。

現代を生きる私たちへ

SNSなどで常に他人の目に晒され、「いいね」や承認を求めて疲弊してしまういま。

ルソーが説いた「他人の評価ではなく、純粋な自分自身に満足する」というメッセージは、いま、一番重要なんじゃないかな。

もう一度、人間としての根本に立ち返ってみようってこと。

というか、SNSとかネットの問題の解決策って、たぶんルソーがもってる。

だから、いま、ぜひ読んでみてほしいんだよね。

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