見出し画像

【理学療法士キャリア】リハ医療におけるデータサイエンスの展望

大学院で学んだ公衆衛生学・疫学の知見を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

今年度は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)により支援されて実施されている東京大学医療リアルワールドデータ活用人材育成事業に選んでいただき、大規模データの取り扱いや臨床疫学を勉強しています。


■  データ分析に興味を持ったきっかけ


私のデータ分析の思い出は、嫌なものばかりです。

・私は回復期リハビリテーション病院に勤務しているのですが、臨床データを集めて、いくら患者さんがより良く改善したと報告しても、「回復期だから良くなって当たり前」と言われたこと。

・患者さんのデータを学会に発表したら、学生時代の親友に、「データより患者みようや」と言われたこと。

・学会で、このデータについて疑義があると質問したところ、「データが全て物語っている。それが答え。」と言われ一蹴されたこと。

・どのように解析したのですか?と聞いても、「統計の人に任せたから、詳細はわからない。でも、有意差があるからドヤ」と言われたこと。

・頼みやすい患者さんの実験データを使って、あたかも全体に効果があったように発表する人をみたこと。

・p値が0.06くらいでどうしよう?→「症例数を増やしたら、0.05以下になるかもよ」事後で症例数を増やすという指導を見たこと。

・ウチの地域で、協力して多施設共同で臨床データを集積しましょう→「うちは、あなた達のようにマンパワーがあるような病院ではないから、多施設で比べても自分の病院が恥をかくだけ。データ集積事業には参加しません。」と言った管理者がいて、事業が止まったこと。

と、、、

思い返すと悪い思い出の方が多い。

でも、何か悔しくて。

心の中にシコリがありました。
自分には縁遠い世界だと思って遠ざかっていました。

しばらくして、キャリアを変更して
「予防医学を学びたいから、公衆衛生学を勉強したい」

と思うようになりました。

公衆衛生には、統計学が必須だよ!集団を評価する必要があるからね

予防医療と統計学のつながりを十分理解していなかったので、まさかこれほどまでに統計学を勉強するハメになるとは思っていませんでした。

興味というより、思いがけず入門してしまった感じです。

「でも、昔の悔しいシコリが取れるかもしれない。
ちょっと頑張ってみよう!」

大学院:公衆衛生コースで体系的に統計学を勉強し、

縁あって、今は大規模データの分析を勉強しています。


■  私が考える理学療法士のデータサイエンスの展望


理学療法の効果や、有害事象の評価をきちんと検証したいと仮定した場合、

「検証したい治療法」(治療群)が

「普通の理学療法」(比較群)と比較して

「アウトカム(効果・有害事象など)」が、良い or 悪い 

と仮説検証するわけですが…。


特に、「比較群の設定」が難しい。

そもそも普通の理学療法って何??


私と同僚も同じセラピーしてないし、

隣の病院との進め方も違う。

患者の重症度、個別性、目指すゴール全部が違うから、そもそも比べられない。

今までは比較群が十分に設定できないので効果の推定が余計に難しかったように思います。

↓↓ 補足記事


近年様々なデバイスが急速に発達したことで、患者さんから大量のデータを入手できるようになりました。これらを駆使すると「普通の理学療法」が定義できるかもしれません。

また、各所に点在していた、データベースが統合されて、利用できる可能性が広がりました。
大きいデータを用いることで、RCTを模倣したような解析も可能になります。より、因果関係に迫った統計解析ができるかもしれません。

データ駆動型の意思決定支援システムを導入することで、治療の選択肢を科学的根拠に基づいて提示できます。特に、理学療法士が経験的に行っていた判断を、客観的なデータと組み合わせることで、より精度の高い診療が可能になります。

今後の課題としては、データの質の確保、プライバシーの保護、臨床現場での実装のしやすさなどが挙げられますが、これらの問題をクリアすれば、理学療法とデータサイエンスの融合はさらに進むでしょう。

とはいえ、周りにこれらの事を熱く語れる人は少ないです。

私は、今は相性がいい「R Studio」を駆使してできるだけ適切にデータを取り扱う練習をしています。
Rに限らず、データを上手く扱える人材が増えると、理学療法がもっと発展すると思いますし、今がちょうど、良い時期なのではないかと思っています。

以下に、データ分析やってみようと思い立った時の、PCソフト、アプリの有名なものと、自分の家の本棚に並んでいるおすすめ本を挙げています。ご参考までに!


1. プログラミング・統計解析


Python(Jupyter Notebook, Anaconda)

  • データサイエンスの定番言語。

  • Jupyter Notebook(ブラウザ上でコード実行)と、Anaconda(Python環境管理ツール)を併用すると便利。

  • ライブラリ例: NumPy, Pandas, SciPy, scikit-learn, TensorFlow, PyTorch

 
R(RStudio)

  • 統計解析や疫学研究に強い。

  • RStudioはRの統合開発環境で、使いやすいUI。

  • ライブラリ例: ggplot2, dplyr, tidyr, caret


 MATLAB

  • 数値解析やシミュレーションに強く、医療データや画像処理にも活用される。


2. データ可視化・BIツール


Tableau

  • 直感的にデータを可視化できるBIツール。

  • 医療データや患者統計の分析にも適している。

  • コード不要で使える。


Power BI(Microsoft)

  • Excelと連携しやすく、使いやすい。

  • ビジュアルダッシュボード作成が得意。


Google Data Studio

  • GoogleスプレッドシートやBigQueryと統合可能。

  • 無料で使えるBIツール。

 
Plotly & Seaborn(Pythonライブラリ)

  • Plotly: インタラクティブなグラフ作成

  • Seaborn: 統計的データの可視化


3. 機械学習・AI


 TensorFlow / PyTorch

  • AI・機械学習モデルの構築に必須。

  • TensorFlow(Google製)、PyTorch(Meta製)。

 
Google Colab

  • 無料でクラウド上でPython実行。GPUも使える。

  • Jupyter Notebookとほぼ同じ操作感。


 IBM Watson Studio

  • 医療データやAI解析向けのプラットフォーム。


4. ビッグデータ・データベース


SQL(MySQL, PostgreSQL, SQLite)

  • データの保存・管理・分析に必須。

  • 医療データベースの構築や解析に使われる。


Apache Spark

  • 大規模データ処理向け。Hadoopと併用されることが多い。


Google BigQuery

  • クラウド上でSQLを使ってビッグデータ解析。


5. 臨床・疫学研究向け


 SPSS 疫学研究・医療統計の定番

  • IBM製の統計解析ソフト。医療分野で広く使われている。

  • t検定, ANOVA, 回帰分析, 生存分析 などが簡単に実行できる。


SAS

  • 医療統計や臨床試験データ解析に強い。

  • 製薬業界でもよく使われる。


Epi Info(CDC提供・無料)

  • 疫学研究に特化した統計ソフト。

  • WHOや公衆衛生機関でよく使われる。



Stata

  • 疫学・社会科学研究向けの統計解析ツール。


JMP(SAS社製)

  • 医療データの解析や可視化に適したGUIベースの統計ソフト。

いいなと思ったら応援しよう!

リハビリジロー @ メディカル・リサーチセンター よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!