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長崎は今日も晴れだった

「長崎は今日も雨だった」という昔の歌がある。幼少期にぼんやりとだが、その曲の存在は知っていた。「今日も」を「いつも」と間違えて記憶していて、長崎は雨の多い街なんだろうと思い込んでいた。しかしここ数日は晴れている。快晴の小春日和。今日は夜まで予定がないので、日中の時間を持て余していた。

浦上天主堂のすぐ近くに行ってみたいカフェがあるので、車で行った。
その帰りに浦上天主堂を軽くのぞきに寄ってみた。帽子を脱いで心を落ち着けて中に入ると、見学は自分1人だけだった。入口に係の人が1人いた。
あの大きな空間に2人だけ。今日は土曜日なのでちょっと面食らった。
室内には「シーーン」って音が満ちていた。まず目に入ったのは、係の人の背後にあるステンドグラス。そこから差し込むカラフルな光が、規則正しく並ぶ焦茶の長椅子を照らしていた。「おっ綺麗だな」と思った。そのあと奥の祭壇の方に視線を移した。真ん中に鎮座するキリストと十字架の彫刻に、ステンドグラス越しの光線が差していた。ハッとした。
ここ数年、長崎とキリスト教の歴史には興味を持ち、何度も教会に行っている。でも教会建築そのものには、それほど関心が湧かなかった。ゴシック的なビジュアルが得意じゃないのだ。
でもあの光景は美しかった。しばらく見入っていたが、他の見学者が入ってきたので表に出た。
そこでAIにステンドグラスが綺麗な他の教会をオススメしてもらった。まだ行ってない2つの教会に行くことにした。

ひとつめは「神の島教会」。長崎港外の岬の小高い丘に建つ、こじんまりとした白亜の教会だった。ここも誰もいなかった。
カラフルな丸が基調の可愛らしいステンドグラス。ここでは時間帯的に直射がなかった。柔らかい間接光がステンドグラス越しに室内に入ってきて、優しい雰囲気を作っていた。ちょっと心を落ち着けてみようと、最後尾の長椅子に座って15分ほど過ごした。
表に出て海を見ていると、猫が寄ってきた。随分と人に慣れた茶ブチの猫。足に擦り寄ってきたが、エサがないとわかると、すぐに見切ってどこかへ行った。ちょっと寂しくなって上を向いたら、教会の上で数羽のトンビがゆったりと風に乗っているのが見えた。パッと横を見たら、1羽が目線まで降りてきていた。一瞬目が合ったが、すぐに上空へ上がっていってしまった。
なんなんだ!ここは!?
猫とトンビに遊んでもらえて、すごく平和な気持ちになった。

100円を払い、長崎港を見下ろしながら女神大橋を渡って、次の教会へ向かった。
長崎駅のすぐ近くにある中町教会。
ここは浦上天主堂ほどではないが、かなり大きめの教会。白壁基調の室内には誰もいなかった。ステンドグラスは5つの丸を組み合わせた花柄(十字架柄?)模様だった。今日回ったなかでは、いちばん色数が少ない。青、緑が多くスッキリした雰囲気。窓の数はかなり多いので、室内がとても明るかった。ステンドグラス越しの光が、室内にいくつもの光溜まりを作っていた。そのひとつの中に座ってしばらく青い光を浴びていた。陽が動いて途中から緑に変わった。少しだけ浄化された気がして軽い気分になった。そろそろ出ようと後ろを振り返ると、茶色い重厚な大きな扉に、カラフルな光の花びらが静かに落ちていた。
ここでもまたハッとした。
教会内では原則写真は禁止と書いてある。この時は原則の意味を拡大解釈して、その扉の写真を1枚だけ撮らせてもらった。撮った後、奥の祭壇に向かって手を合わせて謝った。
教会を出て、喫茶店に行こうと駅前の交差点を渡っていたら、ブォ〜ンと船の汽笛が鳴り響いた。涙腺がゆるみそうになった。


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