青ブラ文学部|未完成の美学 満月の森
あたりに 夕暮れがせまり
風に吹かれて ススキが銀色に波打っている
小さな山の一軒家は、暗い森の中にたたずんでいた
たったひとつの灯り 石油ランプだけが人の存在を告げている
ザルに入れた 柿や 栗の実 里芋などが 縁側に並び
家も畑も遠くの森も、ゆっくりと深い夜の闇に沈んでゆく
やがて、虫の音がいちだんと賑やかになる頃
東の空から金色に輝く月が登って来た
「きれいなお月さんだ … 」
働き者の父が
珍しく湯呑み茶碗の酒を手に、どっかりと縁側に腰を下ろす
片付けを終えた母も、お茶をすすりながら空を見上げてうなずく
そばにちょこんとすわった娘は、柿を気にしている
「お月様のお供えだから、もうちょっと後でね」と母は頭をなでる
谷川の水音に混じって、羊小屋でガタゴトと物音がした
月が明るくて、羊も眠れないのだろう
満月は、あたりをこうこうと照らしながら
黒々とした森の上をゆっくりと渡ってゆく
そんな満月の森に その娘は 生まれた
けれども
やがて 時は流れ 森の暮らしは消滅する
人々は どこかへ 去ってしまう
それでも 満月は あの暗い森を照らし続けている
だが やがて この地球 ( ホシ ) は暑く燃え 月は遠ざかるだろう
その時 人々は どこへ …
後書き
この作品は、私がnoteに来た目的そのものです。
これを初回として、シリーズで投稿するつもりでしたが
知り合いもなく、読んでもらえるはずもなく
あえなく御蔵入りとなっていました。
ですが、この物語たちを表に出してあげるまでは、撤退できないという
想いがあり、なりふり構わずここまで続けて来ました。
今回、Geminiに「未完成の美学」として通用する要素があるとそそのかされ
少し趣きを変えて、応募させて頂く事にしたものです。
山根あきらさんの
お題「未完成の美学」に応募させて頂きます。
いつもありがとうございます。
どうぞよろしくお願い致します。
山根あきら様の記事にて、ご紹介頂きました。
とても 光栄です。
とても うれしいです。
