🍎偏差値45の教員。先生になる
午後の部活終わりの18時半。教頭先生に校長室に呼ばれた。
「羽崎先生から聞いたんだけど、採用試験大丈夫?」
「いや、だめそうです。」
「何がだめそうなの?」
「まず、志望動機の書き方がわからないです。」
教頭先生は採用試験の学習会にも携わっているそうで毎年熱心に指導をしてくれると有名だ。
「志望動機の書き方なんだけどね、1番最初に、簡潔に1行程度で教員を志した理由を書くよ。2番目に3行ぐらいで今の自分の勤務について書く。3番目に3行ぐらいで、県が求めている教師像と絡めて採用試験に受かったらどういう教員になるかを書いて。」
「受かった後のことも書かないといけないんですね。」
「そうだね。受かってからがスタートだから。」
お礼を言って、校長室から出た。職員室で落合先生が「大丈夫?」と言って話を聞いてくれた。
話を聞いていた稲村先生が、
「保護者や生徒が求めている理想の先生なんて、できないことや間違いを丸ごと受け止めて励ましてくれる優しい先生だよ。簡単じゃん。」と言った。隣に座っていた湯川先生が、
「そうそう。建前では良い先生に聞こえるよね。実際さ、教員が生徒の間違いを直したり、出来ないことをできるようにさせる熱血な時代は終えたの。今は、少し指導したら直ぐにクレームがくる時代だからね。」
私の横に座っていた神崎先生も
「生徒の出来ないことと向き合う時代は終わりましたよね。叱っちゃだめ。とにかく、褒めれば良い。生徒の出来てないところは見逃す。例え、出来ていなくても褒め称える。それが今の時代ですから。」
と言いながら、生徒の振り返り用紙に「すごい!頑張ったね!」と書いた。
熱血な教員は叩かれる時代になった。私が中学生のころは、クラス全員の前で怒られることもあったし、忘れ物をしたら家まで取りに行った。たしかに、今の時代にそれをしたらアウトだろう。
でも、それだと青井先生が言っていた言葉と反する。でも、上手く時代に流されるのも教員として必要な素質だろう。でも、それで良いのか。でも、が並んだとき、神崎先生が
「松田の家に寄って、帰ります。お疲れ様です。」と言った。
松田は不登校の生徒だ。先生達が遅くまで学校に残っている理由の1つに不登校の対応がある。仕事から保護者が帰宅した後に、生徒を学校に連れてくる場合がある。それまで、自分の仕事が終わろうがずっと学校で待ってないといけない。
全く学校に登校できない生徒の場合は、自宅まで行きプリントを届けに行く。
私は担任を持っていないので、その仕事を見たことがない。私が働いている学校では、1クラスに3人ほど不登校がいる。自分もいつかしないといけない。だから、不登校対応について興味があった。
「神崎先生、私もついていって良いですか。」と聞いた。
「もちろん。」と神崎先生が言ってくれたので、神崎先生の車に乗り一緒に松田の家に向かった。
