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マジックタイムは嘘をつく



その一瞬、世界は優しい嘘をつく。

夕暮れ。

無機質なビルの輪郭の上に、昼でも夜でもない色が広がっている。

橙でも、紫でもない境界線の空。
ほんのわずかな時間。


――マジックタイム。

「また、逢いたい」
「愛してる」


伝えたかった言葉は、ビルの間をすり抜けていく。

一歩踏み出すには足りず、
留まるには重すぎる。

ただ、明日を壊してしまいそうで、
怖かった。


「……そっか」


送信ボタンを押した手は、ひどく熱をもっていた。


滲む視界に、色だけが残った。


それで、よかった。




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