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欲しいものは、自分から先に与える #64

「欲しいものは、自分から先に与えるべき」

そんな言葉を聞いたことがある。

でも正直、それって少し怖いと思う。

与えても何も返ってこなかったら
どうしようって。

それだと、自分はただ与えて
失っているだけなんじゃないかって。

でも本当に、
それは“失っている”んだろうか。

もしかしたら、
ちゃんと何かを“得ている”のかもしれない。


例えば、夫婦で、
相手から感謝が感じられないと思ったとき。

ふと立ち止まって考えてみる。

自分はちゃんと、
相手に感謝を伝えているだろうか、と。

心の中では思っていることも多い。

でも、それを言葉にして
伝えられているだろうか。

気づけば当たり前になってしまって、
何も言わなくなっていることもある。

だからこそ、まずは自分から伝えてみる。

言葉にして「ありがとう」と伝える。

そうやって、
欲しいものを自分から先に渡してみる。

そしたらそれは、
相手から同じように返ってくるのだろうか。

きっと必ずしもそうではない。

同じ形で返ってくるとは限らないし、
もしかしたら何も返ってこないこともある。

それでも与えたとき、
自分の中に残るものがある。

自分がどう在りたいかを、
自分で選べているという感覚。

それは、
相手から何かをもらうこととは違う種類の、確かなものだと思う。

与えた分だけ返ってくることを期待していると、返ってこなかったときに、自分が損をしたような気持ちになる。

でも、与えた時点で、
自分の中で何かが満たされているとしたら。

それはきっと、失っているわけじゃない。

それに本当は、気づいていないだけで、
形を変えて、どこかでちゃんと返ってきているのかもしれない。


もちろん、自分を削ってまで与え続ける必要はないと思う。

それはきっと
どこかで苦しくなってしまうから。

だから、小さく、少しだけ。

今の自分にできる分だけ、
自分から渡してみる。

欲しいものを、先に与えるということは、
何かを差し出すことではなくて、

自分がどう在りたいかを、
自分で選ぶことなのかもしれない。


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