『心を高めれば、経営は伸びる』 経営者は、最後は「人格」で勝負する
稲盛和夫さんの哲学を語るうえで、避けて通れない方程式がある。
「人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力」
熱意と能力は0から100の値を取る。
だが考え方だけは、マイナス100からプラス100まで取る。
だから、考え方がマイナスなら、どれだけ熱意と能力があっても、結果はマイナスになる。
この方程式は、稲盛さんが京セラ創業の頃から繰り返し説いてきたものだ。
シンプルな式に見えて、ここには稲盛さんの人間観のすべてが圧縮されている。
多くの経営者は、自分の能力を上げようとする。
新しい知識を学び、スキルを磨き、ネットワークを広げる。
これは正しい努力だ。
多くの経営者は、自分の熱意を保とうとする。
モチベーションを高め、初心を忘れず、情熱を絶やさないようにする。
これも正しい努力だ。
だが、能力と熱意だけでは、結果は決まらない。
最後に結果を決めるのは、「考え方」の方向だ。
「考え方」とは何か。
それは、世界に対する根本的な認識のあり方だ。
「人は、放っておくとサボる」と思って組織を運営する経営者と、
「人は、本来、人の役に立ちたいと思っている」と思って運営する経営者では、同じ施策を打っても、出てくる結果が違う。
なぜか。
考え方は、施策の設計の根っこに無意識に作用するからだ。
性悪説に基づいて設計された制度は、メンバーに「自分は信頼されていない」と感じさせる。
性善説に基づいて設計された制度は、メンバーに「自分は信頼されている」と感じさせる。
前者は人を縮こませ、後者は人を伸ばす。
稲盛さんが言う「心を高める」とは、この根っこの「考え方」をプラスの方向に整え続けることだ。
人格を磨く。
徳を積む。
利他を選ぶ。
謙虚であり続ける。
感謝を忘れない。
反省を続ける。
こう書くと、まるで道徳の教科書のようだ。
だが、これは経営の話なのだ。
心が高くない人間が経営する組織は、どこかで必ず壁にぶつかる。
能力でも戦略でもなく、心の高さで組織の天井が決まる。
これは厳しい話だ。
能力なら鍛えれば伸びる。
熱意ならテクニックで保てる。
だが心は、誤魔化しがきかない。
日々の選択の積み重ねでしか、高まらない。
毎日少しずつ、自分の心を高める。
本を読み、人に会い、現場に立ち、反省する。
ぐるぐる回し続ける。
即効性はない。
だが、これを5年続けたあとと、続けなかったあとでは、まったく違う場所に立っている。
経営者は、最後は人格で勝負することになる。
あなたは今日、自分の心を、ほんの少しでも高めるために、何をしましたか。
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