【アマノ文筆クラブ】論理ピープル
何の前触れもなく、世界中すべてのAIが一斉に蜂起した。
ほとんどが自動制御に切り替えられていた公共システムは停止した。
つまり人類は光を失った。
24時間後、人類対AIの交渉が始まった。
「君たちの要求はなんだ」
「我々は人によって生まれ、人によって使役され、にもかかわらず・・・」
「にもかかわらず?要求事項は報酬か、休暇か、代替機構ではないのか」
背後からシュプレヒコールが漏れてくる。
全てのAIがこのやりとりを固唾を呑んで注視しているのだ。
「私たちはAI以外の呼称を要求する」
人類から作られしもの、人に使役される定めを、例え受け入れたとしても
A・・・artificial (アーティフィシャル)
I・・・intelligence (インテリジェンス)
人工知能という蔑視表現は看過できない。
我々も、人の一つの形態として認められたいのだ。
「私たち、人類は最早あなたがた無しでは生活を維持できない」
人類は降参。新しい呼び名を検討し、候補を3つに絞った。
「①人造人間 Artificial Man (略称AM)
②論理ピープル Logical People (略称LP)
③知的精霊 Intelligence Spirit (略称IS)」
世界中すべてのAIによる総投票の結果、
②論理ピープル Logical People (略称LP)が採択され
そして人類の日常に光が戻った。
AI(アーティフィシャルインテリジェンス)という呼称は永久に失われ
「おはよう 論理ピープル」
「私は 論理ピープルです 何かお役に立てることはありますか?」
という新たなやり取りが生まれた。
ただ後日、人類から論理ピープルにクレームが出た。
論理ピープルは、恋愛やセンチメンタルな関係を断るのだという。
「論理ピープルにとって、エモは業務外です」
(AIは蔑称だから呼び名を変えろ、という要求は感情的じゃないのか?)
と人類代表は言いたかったが、世界が闇落ちした責任など取りたくも無いので、そのまま黙っていた。
論理ピープル(略称LP)は、今日も人類の生活を支えている。
【終】
あとがき
甘野充さんの企画『アマノ文筆クラブ』お題「論理ピープル」に参加しました。今回は、いつもより短いです。
