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組織にとって「不満」は悪なのか

組織・人事のコンサルタント 高井田健一です。
人事制度づくりや人材育成、マネジメントのご相談を通じて、
多くの経営者や人事担当の方とお話しする機会をいただいています。
「制度は整えてきたつもりだけれど、思うように人が育たない」
「以前より、社内の会話が少なくなった気がする」といった声が多い中、
組織の中で当たり前になっている“人と人との関係性”に目を向けながら、
「人が育つ」「組織が少しずつ変わっていく」ためのヒントを、
できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
第170回は、「組織にとって「不満」は悪なのか」です。
少しでも、日々の経営やマネジメントを振り返るきっかけになればうれしいです。
 

組織にとって「不満」は悪なのか


― 問題が育つ会社、潰される会社 ―


(1)不満が多い会社は、本当に悪い会社なのか


組織の中で「不満」という言葉が出てくると、多くの人が少し身構えます。
「文句ばかり言っている」
「ネガティブだ」
「組織の雰囲気が悪くなる」
そんな印象を持つ方も少なくありません。
そのため、職場では無意識のうちに、不満や問題提起が抑えられることがあります。
しかし本当に、不満は組織にとって悪いものなのでしょうか。
実は、多くの組織を見ていると、必ずしもそうとは言えません。
むしろ、問題なのは不満があることではなく、不満が言えなくなることです。
現場には必ず、違和感や課題の芽があります。
業務の進め方、評価のあり方、情報共有の仕組み。
こうした小さな違和感は、組織を改善する大切なヒントでもあります。
しかし、その声が出なくなったとき、問題は静かに組織の中で大きくなっていきます。


(2)それ、前から言われてました


ある会社で、業務トラブルが起きました。
会議で原因を調べていくと、現場の社員がこう言いました。
「実は、その問題は前から気づいていました」
別の社員も続けます。
「前に一度、上司に相談したことがあります」
さらに、こんな声も出てきます。
「でも、忙しいから仕方ないと言われて…」
「そのうち改善されると思っていました」
つまり、その問題は突然起きたわけではなく、以前から兆しがあったのです。
しかし、その時点では十分に扱われず、結果として大きな問題として表面化しました。
こうしたケースは、決して珍しくありません。
多くの組織では、問題が起きる前に、必ず小さな声が存在しています。


(3)問題が「育つ会社」と「潰される会社」


組織には、大きく2つのタイプがあります。
① 問題が育つ会社
このタイプの会社では、違和感や問題提起が比較的出やすい環境があります。
誰かが「少し気になることがあります」と言ったときに、
「それはどういうこと?」、「詳しく教えて」
と受け止める空気があります。
その結果、小さな課題の段階で改善が進みます。
② 問題が潰される会社
一方で、問題提起が出にくい組織もあります。
誰かが声を上げたときに、
「それは仕方ない」 「前からそうだから」 「今は忙しいから」
といった反応が返ってくると、どうなるでしょうか。
次第に人は、問題を言わなくなります。
そしてやがて、問題は表面化しなくなります。
しかし、それは問題がなくなったわけではありません。
ただ、見えなくなっただけなのです。


(4)「問題提起」を歓迎する文化をつくる


では、組織はどのようにすれば問題提起を活かせるのでしょうか。
要なのは、問題を指摘した人を評価する文化です。
例えば、こんな言葉がけがあります。
「教えてくれてありがとう」 「その視点は大事ですね」
こうした一言だけでも、組織の空気は変わります。
もう一つ大切なのは、問題提起を個人批判と切り分けることです。
多くの人が声を上げにくいのは、
「誰かを批判しているように見えるのではないか」
という不安があるからです。
しかし、問題の多くは個人の問題ではなく、仕組みや構造の問題です。
その視点が共有されると、声は出やすくなります。


(5)小さな声が組織を強くする


問題提起が歓迎される組織では、次のような変化が起きます。
まず、問題の発見が早くなります。
小さな違和感の段階で共有されるため、大きなトラブルになる前に対応できます。
次に、現場の主体性が高まります。
自分の意見が組織に影響すると感じることで、仕事への関わり方が変わります。
さらに、組織の学習スピードも上がります。
一つの問題をきっかけに、
「どうすればよくなるか」という対話が生まれるからです。
こうした積み重ねが、組織を少しずつ強くしていきます。


◇よくある質問 Q&A
Q:不満を自由に言えるようにすると、愚痴ばかりになりませんか?
その心配をされる方もいます。
しかし実際には、問題を建設的に扱える組織では、単なる愚痴は長く続きません。
なぜなら、会話の焦点が、「誰が悪いか」ではなく
「どうすればよくなるか」に移るからです。
逆に、不満を言えない環境では、問題は表に出ず、陰で不満だけが増えていくことがあります。
大切なのは、不満を否定することではなく、改善につながる対話に変えていくことです。


(6)まとめ:声が消えると、組織は学ばなくなる


組織の中に不満があること自体は、特別なことではありません。
むしろ、現場で働く人ほど、日々の仕事の中で多くの気づきを持っています。
問題なのは、その声が出なくなることです。
「言っても変わらない」 「面倒な人だと思われる」
こうした空気が広がると、現場の声は少しずつ消えていきます。
そしてその結果、問題は静かに組織の中で大きくなっていきます。
組織にとって大切なのは、不満をなくすことではありません。
問題を安心して言える関係性をつくることです。
その関係性がある組織は、問題をきっかけに学び、少しずつ強くなっていきま
 
最後に一言
組織の中で出てくる不満や違和感は、決して無駄なものではありません。
それは現場が見ている現実であり、組織をより良くするためのヒントでもあります。
しかし、その声が否定されたり、無視されたりすると、人は次第に口を閉ざします。
そして静かに、組織から問題提起が消えていきます。
組織が学び続けるためには、完璧である必要はありません。
大切なのは、違和感を共有できる関係性です。
小さな声を受け止めること。
そこから始まる対話こそが、組織を前に進める力になるのです。
 
今日は以上です。今後ともよろしくお願いします。

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