やしゃご実験室vol.2全戯曲
やしゃご実験室vol.2「チェーホフ in やしゃご短編集」の戯曲集。
黙読もよし。声に出して読んでもよし。
何がいいかはわかりませんけど。
※上演したい方がいたら連絡ください。
勝手にやったらわかんないし、それで別にいいけど。
ただ、浮気と一緒。僕にバレないようにやってね。
(↑ 出演俳優さんには戯曲やる権利をあげてる。それ以外の方向け。)
・たわむれ … 竹原千恵
≪あらすじ≫
婦人コミュニティでスピーチを任された竹原千恵は、若い頃の思い出を語り始める。
雪山で年上の男性と橇に乗り、極限の恐怖の中で「好きだ」という声を聞いた千恵。それが彼の声なのか、風の声なのかは分からないまま、その言葉に依存していく。
やがて彼は遠くへ去り、声だけが残る。
もう戻れないあの頃の記憶。
【解説】
竹原千恵メタバース演劇。
「伊藤企画」が初お披露目だったのだけど、その時よりソリッドにカットしてお届け。
たけっちは台詞カットするたび悲しい顔をしたけど、喋んない方が芝居って良くなる気がする。特に一人芝居は。
まだ恋をしたことがなかった女の子の処女喪失のメタ物語として翻案。
最期の玄関前に彼女が聞こえた「愛してる」の声は、思い出がつかせた嘘。
人に「社会人」「妻」「母親」「パート主婦」等のレッテル(肩書)が貼られぬ『純粋な自分』の次期は短い。
だからこそ、過去の思い出は美しい。
・カシタンカ(新作) … 石橋亜希子
≪あらすじ≫
迷子になったカシタンカは、見知らぬ男に拾われ、新しい名前と居場所を与えられる。
芸を仕込まれ、仲間たちと暮らすうちに新しい生活に馴染んでいくが、初舞台のさなか、かつての主人の声を聞く。
失われた居場所と新しい居場所のあいだで揺れる、小さな帰還の物語。
【解説】
カシタンカは、犬。
あえて犬というワードを消して一人芝居として翻案しなおした。
カシタンカ→おばさん→天才→カシタンカ
と状況と呼び名が変わっていくが本人は特になにも変わっていない。
また、「慣れたところに戻る」カシタンカの選択は、現代の日本人と同じ。
悲しいけれど、それが本能なのかもしれない。
良い悪いではないのだ。
先ほどの選挙で与党を押す結果をつくった国民を想起しながら、執筆した。
わしは俳優「石橋亜希子」を愛してる。
ほぼ、すべての演技を彼女が用意した。
僕はミザンスと、要所要所でのボケを追加しただけな感じ。
あちこねえの稽古をただ笑って見てただけ。良い時間だったなあ。
・牡蠣side:A … 村岡佳奈
≪あらすじ≫
父の命日。女性は偲ぶ会で、幼い頃に父と都会で彷徨っていた日の記憶を語る。
空腹のなかで見つけた飲食店の貼り紙に書かれた「かき」という言葉。
それが何かも知らないまま、少女の想像は膨らみ、飢えは幻覚のように身体を支配していく。
父と過ごした、忘れがたい一夜の記憶を辿る独白劇。
【解説】
物乞いの父とその娘。side:Aは、娘(カナ)の記憶の物語。
原作チェーホフの短編では、父と息子の話。
牡蠣は女性器のシンボルであり、伊藤は(息子の性徴を「牡蠣」というメタに落とし込んではる話やなあ)と思った。
牡蠣を紳士二人におごられるシーンは、なので、観客の5%が性的虐待を想起するように演出をしたつもり。飲食店の外で父親はただ静かに待っている。
そんちょう村岡佳奈はマジ一人芝居うまい。人と話すのが上手。
これからも牡蠣やってね。
・牡蠣side:B(新作) … 大平峻世
≪あらすじ≫
職を失った男は、八歳の娘とともにモスクワの大通りに立っている。
娘に食べ物を与えるため物乞いを決意するが、どうしても「おめぐみを」の一言が言えない。
看板の「牡蠣」を見つめる娘の空腹を前に、殻を閉ざしたままの自分を思い知る父の物語。
【解説】
この世には、本当に「オトナ」と呼べる人はいるのか?
僕だって40歳を超えるおじさんだけど、中身はガキだ。牡蠣だけに。
子どもができたその瞬間に、芝居の中の "彼” は「父親」という名札を首にかけたが、「おめぐみを」という言葉がギリギリまで言えない。
この ‟彼” は、僕で、皆だ。
カナの父は、しゅんせい以外思い浮かばなかった。
甲斐性無さそうだけど、頭固い感じが。(あくまで感じね。)
ありがとね。
・「ニーナとトリゴーリンのようなカフェの二人」A
… ヒガアキコ 山本ともだち
・「ニーナとトリゴーリンのようなカフェの二人」B
… 小川ともみ 市毛達也
≪あらすじ≫
カフェで向かい合う、別れ話の最中の男と女。
終わるはずの関係なのに、二人の会話はなかなか終わらない。
チェーホフ『かもめ』のニーナとトリゴーリンを思わせながらも、どこまでも現代的で不器用な二人の、可笑しくて切ない別れの一幕。
【解説】
チェーホフ戯曲「かもめ」の、
・ニーナとトリゴーリンの関係性
・3幕と4幕の2年間の時間経過の間にあった二人の別れのシーン
を、現代に置き換えた同人戯曲。
ニーナは、アルカージナとトリゴーリンの恋愛関係を知っているが、彼に恋をし、女優になる夢もあり、モスクワへ向かう。
二人の間には、子供が出来たが病死している。
ただのこじれた恋愛関係とはちがう重さを持つ二人に興味がわき執筆した。
別れる決断をした二人が、もはや何を目的とするかわからぬ言葉の攻防をする流れは、なかなか無いシチュエーションだと思い、気に入ってます。
ぶっちゃけて言います。
モテない男性とつらい恋愛をしていない女性は、なんにもおもしろくなかったと思います。
しょうもない「別れ話」の会話劇だと思ったことでしょう。
(※ジェンダー的に僕がノーマルなので、性別を上記にしています。)
「モテるズルい男」と「女の子の微妙な喜怒哀楽」のあるある
を秒単位でぶち込んだ演出をしているからです。
しかし、AとBで感触が全然違うものになって、稽古もとても楽しかった。
みんな可愛かった。
アッコとともだちは、別れて正解。
ともみと別れるチゲちゃんはバカだなあって思いながら見てました。
・とみくじ・・・ ヒガアキコ 小川ともみ 市毛達也
≪あらすじ≫
平凡な役人イワンと妻マリアは、富くじの番号が当たっているかもしれないことに気づく。
七万五千ルーブルという夢の金額を前に、二人は未来の豪華な生活を想像し始めるが、やがてその想像は互いへの不信や憎しみにまで膨らんでいく。
しかし、いよいよ組番号を確かめてみると——。
【解説】
戯曲は、カミシモ切っての落語として翻案して書きました。
しかし、お芝居の稽古時間がどの程度かかるのか読めなかった。
よって、講談師?(ト書き読み)・イワン・マリアの三人芝居にしました。
だから最初に、「くだらない小噺を一つ」って講談師が言う。
裏設定は、「弱小!!やしゃご高校演劇部」。
講談師のアッコが持ってる舞扇子とか定規とか無茶苦茶なのはそのせい。
≪やしゃご高校演劇部≫
ヒガアキコ…3年。部長。
市毛達也…2年。演劇部で唯一の男子。
小川ともみ…1年。外国映画の声優さんになりたい。
※照明・音響セクションは、市毛くんのクラスの友達。
部員たちが、声を揃えて「当たったのかもしれない可能性!」っていうとこは、お客様、爆笑すると思ってたらほぼ俺しか笑ってなかった(笑)。
お客様はどんな気持ちで見てたんだろう?
一番大好きな作品でした。
全然意味なくて、ただ変な感じっていう。
チェーさんa.k.a.アントン・チェーホフも、スタートはユーモア短編を投稿するハガキ職人(P.N. A・チェホンテ)だったから喜んでくれてると思います。
個人的に一番おもしろかったのは、この作品に伊藤がガチガチの秒数指定をしているところです。
俳優の三人、お疲れ様でした。そしてありがとう。
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