昼間の八卦山と夜の八卦山は違う顔を持っている
台湾の彰化にある八卦山大仏。


昼間に行ってみると、そこには圧倒的な存在感で鎮座する大きな大仏さまがいた。
高台にあるこの場所は、昼間は海外から働きに来ている人たちが多く集まっている。
母国語で楽しそうに会話をしながら、思い思いに過ごす彼らの安らぎの場になっているようだった。



けれど、同じ場所にいても、日が暮れるとその空気は一変する。
静かなお寺のイメージを覆すような、煌びやかな光の世界が広がっていく。
色とりどりのイルミネーション。
光り輝く馬車やダイヤモンドの指輪のオブジェ。
昼間の生活感あふれる光景から一転して、夜は家族連れやカップルが笑顔で写真を撮り合う、幻想的なパークのような場所に変わっていた。
夜はめちゃくちゃ綺麗。









彰化の友人に誘われ、バイク2台で向かったあの日。
友達の彼女も一緒という、台湾ではお馴染みの賑やかなメンバーで、昼間の穏やかな大仏さまから、夜の華やかな光の世界まで存分に楽しんだ。
帰り道、バイクで山を下っていく途中の広場で、私たちは足を止めた。
辺りはもう真っ暗。
そこに、本物の戦闘機が一機だけ、静かに展示されていた。

その戦闘機のすぐ近くに、一人のおじいさんが立っていた。
友人がおじいさんに近寄り、何かを話していた。
何を話していたのか、私には分からない。
囲いも何もないから、すぐ近くまで寄れる。
昼間の穏やかな大仏さまや、さっきまでのキラキラしたイルミネーション、友人たちとの賑やかな会話とは全く違う、無機質で重たい空気。
暗闇の中にぽつんと佇むその鉄の塊を、私は夢中で写真に収めた。
後日、台南の別の友人に「八卦山大仏に夜までいた」という話をしたら、ひどく驚かれた。
「夜までいたんですか?あそこは伝説がありますよ。行かない方がいいって言われませんでしたか?」
友人が言っていた伝説が、かつての激戦地としての歴史のことなのか、それとも別の何かなのか、今でも分からない。
けれど、あの暗闇の中で見た一機の戦闘機の冷たさと、山の上で見た眩いほどの光。
そのあまりに激しいギャップこそが、私の中に残っている八卦山のリアルな姿だ。
不思議な伝説があると言われても、あの時感じた美しさや友人たちとの楽しい時間は、何物にも代えがたい。
昼間の顔も、夜の顔も。私は、あの不思議な光景に会いに、またいつか行ってみたいと思っている。
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