いつでも日曜日だったら、と思った夜
だいたい毎日、夕食のあとに家族でお茶を飲む。
その日にあったことや、ふと思ったことを話す時間だ。
たまにコテージに泊まりに行くと、焚き火を囲んでマシュマロを焼いたり、ただ火を眺めたりして、のんびり過ごせる。
でも平日はそうもいかない。
なんだか、気持ちが平日バージョンになる。
やるべきこと、考えなくてはいけないことに頭が支配されて、世の中の呼吸の速さに合わせて、こちらが息切れしているみたいだ。
そんな時、ムーミンパパのこの言葉を思い出した。
いつでも日曜日だったら、すばらしいじゃないか。そういう気持ちこそ、われわれが見失っていたものなんだ
そうだ。
平日だって、もっと楽しんでいいはずだ。
そう思って、焚き火みたいに燃えるキャンドルを買った。
夕食後、部屋の電気を消して火を灯す。
コーヒーとクッキーを用意して、4人でキャンドルを眺めながら話をした。

鎌倉のメゾンカカオのお馬のクッキー
めっちゃおいしい!
ロウソクの明かりが横に広がって、家族の顔をやさしく照らす。
こういう時間、陽気な部族なら歌ったり踊ったりするんじゃないだろうか。
沖縄の人たちが集まると、自然と三線を弾いて歌い出す、そんなイメージ。
「家族みんなで歌える歌があるといいな」
そう切り出すと、4人でどんな歌がいいか考え始めた。
夫は言った。
「タイに行った時、現地の人たちは『上を向いて歩こう』を歌ってたよ」
いい歌だけど、子どもたちはあまり知らない。
その後、次々に候補が出る。
花は咲く 作詞:岩井俊二さん
ノンフィクション 平井堅さん
Let It Be ザ・ビートルズ (もはや歌えない)
が出た。
どれも素敵だけど、少しメッセージ性が強い気がした。
家族みんなで歌うなら、もっと陽気な歌がいい。
明るくて、思わず体が動くような。
私の理想は、映画『天使にラブソングを』で歌われていた
『Hail Holy Queen』(ノリノリ版)。
オー、マー、リー、アッ!って、
手拍子したくなるあの感じ。
……とはいえ、子どもたちは観たことがないから、伝わらない。
すると長男が言った。
「『猫の恩返し』の主題歌、風になるは?」
おお、それいい。
うちの家族はあの映画が好きで、何度も観ている。
娘は
「パペットスンスンの“とてと”は?」
と提案する。
平和で、心がふっと和む曲だ。
さらに息子が言った。
「toi toi toi は?」
(Eテレ0655の曲)
それだ。
全員、異議なし。
家族が集まった時にみんなで歌う歌は、
デーモン閣下が歌う『toi toi toi』に決まった。
今日の日が うまくいく
おまじないの ことば
toi toi toi だいじょうぶ
きっと きっとね だいじょうぶ
早速、音楽を流しながら歌ってみる。
優しい歌詞が心に沁みるが、
アップテンポで、笑顔になる。
やっぱり、なかなか楽しいじゃないか。
たまに宴を開いて、この歌を歌おう。
忙しい平日の夜でも、
今日がうまくいくと信じられる時間を、
家族で分け合えたらいい。
歌が終わって息子が話し出す。
「今日の朝、友達とコメダモーニング行って、遅刻ギリギリになって、走った。」
な、何だって…!?学校の前にモーニング?
平日を一番楽しんでいる人がここにいた!
