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💧低ナトリウム血症 その4 ― ADHと血漿浸透圧(Posm)

低ナトリウム血症は、単に「ナトリウムが減った」だけでは説明できません。
その背景には、水の動きを調整するホルモン(ADH)と、
血液の濃さ(血漿浸透圧:Posm)の絶妙なバランスがあります。


🧠 ADHとは?

ADH(抗利尿ホルモン)は脳(視床下部)で作られ、下垂体から分泌されます。
腎臓の集合管で「自由水(Naを含まない真水)」を再吸収させる働きを持ち、
体内の水分バランスをコントロールしています。

つまり、

  • ADHが出る → 水を体にため込む(尿が減る)

  • ADHが止まる → 水を外へ出す(尿が増える)


⚖️ NaとADHの関係

ナトリウム濃度が高いと、身体は「水で薄めよう」としてADHを分泌します。
腎臓では水の再吸収が進み、尿が濃くなり、のどの渇きも強くなります。

一方、ナトリウム濃度が低いと、ADHの分泌は抑えられ、
水の再吸収が減って尿が増え、余分な水が排出されます。
その結果、Na濃度が元に戻っていきます。

ADHは、ナトリウムを直接動かすのではなく、
「水の量を調節することでNa濃度を保つ」ホルモンなのです。


⚠️ SIAD(抗利尿不適合症候群)

SIADでは、本来ADHを出さなくてもいい状態なのに、
ADHが過剰に分泌され続けてしまいます。
その結果、水が体内に溜まり、Naが薄まって希釈性の低Na血症を起こします。

このとき、Naの総量は正常でも、水が多すぎるために血中Na濃度が低く見えるのです。


☕豆知識:血漿浸透圧(Posm)

ADHの分泌を決めているのが、この血漿浸透圧(Posm)です。
血漿浸透圧とは、血液中の“水と溶質のバランス”を表す値で、
体のどこに水が移動するかを左右します。

Naはその主役で、血漿浸透圧の約90%を占めています。
Na濃度が変化すると、血漿浸透圧もほぼ同じ方向に変動します。


📏計算式

Posm(mOsm/kg)= 2 × Na(mEq/L)+ BS(mg/dL)÷18 + BUN(mg/dL)÷2.8

  • Na:ナトリウム

  • BS:血糖(Blood Sugar)

  • BUN:尿素窒素(Blood Urea Nitrogen)

Naの値を2倍し、そこに血糖とBUNを補正項として足すだけ。
正常値はおおよそ 275〜295 mOsm/kg です。


💡まとめ

  • ADHは「自由水」を再吸収してNa濃度を間接的にコントロールする。

  • Naが高いとADHが出て水をため、Naが低いとADHが止まり水を出す。

  • SIADではADHが不適切に分泌され、水がたまりNaが薄まる。

  • 血漿浸透圧(Posm)はADH分泌の指標であり、Naが大きく関与している。



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