💧低ナトリウム血症 その2 ― 浸透圧と体液量で見る
低ナトリウム血症は、「浸透圧」と「体液量」の両方から考えると整理しやすくなります。
つまり、どのくらい水があるか(体液量)と、どんな浸透圧のバランスかの掛け算です。
🩺① 低浸透圧性低Na血症
浸透圧が低く、水が多すぎる状態。
ここでは、体液量(細胞外液量)が多いか・普通か・少ないかでさらに分けます。
💧体液量が「少ない」タイプ(脱水+Na低下)
Naも水も減っているけれど、Naの減りが大きい状態。
→ 脱水+低Na
例:
下痢、嘔吐
熱傷(滲出液でNa喪失)
利尿薬の使用
CSWS(脳性塩喪失症候群)
⚖️体液量が「正常」タイプ
体液量は見た目正常だけど、Naが薄まっているタイプ。
代表はSIAD(抗利尿不適合症候群)。
最近では「SIADH」と言わず“H(ホルモン)”を省いてSIADと呼ぶことも増えています。
なぜなら、必ずしもホルモン分泌そのものが異常ではなく、
ADHが“過剰に作用している”状態ととらえるためです。
🌊体液量が「多い」タイプ(うっ滞+希釈)
体内の水が多すぎてNaが薄まるタイプ。
→ 水が溜まりすぎて“希釈低Na”になる。
例:
心不全
肝硬変
ネフローゼ症候群
腎不全
これらでは水の排泄がうまくいかず、Naが薄まる形で低Na血症になります。
🩸② 等浸透圧性低Na血症
血清中の“水の割合”が減って見かけ上Naが低く見える。
→ 偽性低ナトリウム血症。
高脂血症・高蛋白血症(多発性骨髄腫など)で見られます。
🍬③ 高浸透圧性低Na血症
高血糖やマンニトールで浸透圧が上昇し、
細胞内の水が血管内に移動 → Naが希釈されて低下。
🧭まとめ
低浸透圧性低Na:体液量により「少ない・正常・多い」で原因が異なる
等浸透圧性低Na:脂質・蛋白で見かけ上の低Na
高浸透圧性低Na:糖やマンニトールで希釈される
📘プチメモ:
「SIADH」と書かず「SIAD」とするのは、
ADHそのものの異常分泌とは限らないから。「CSWS(脳性塩喪失)」はSIADと脱水の鑑別ポイントになる。
