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「質の高い介護」の正体は、愛と数字の掛け算だと思う。——OTで取締役、時々ママな私の独り言

介護の現場を管理していると、いつも二つの言葉が火花を散らしているのではないかと思います。
「質の高いケアを!」という理想と、「利益を出さねば…」という現実

専門職として「目の前の一人を笑顔にしたい」と願う純粋な想い(Benefit)と、取締役として「会社という船を沈めるわけにはいかない」と数字を追う自分(Profit)。この二つは、現場では往々にして「水と油」のように語られがちです。

今日は、制度の小難しい理屈と、我が家のカオスな日常をドッキングして、この「永遠のズレ」について本音で書いてみたいと思います。


1. 「質」の正体は、ドナベディアンと「愛」の掛け算

そもそも「介護の質」とは何でしょう?
偉大な学者アヴェディス・ドナベディアンは、質を
「構造(ハコ)」「過程(やり方)」「結果(変化)」
の3つで評価せよと説きました。

今の介護保険制度は、この「ドナベディアン・モデル」をベースに、加算(報酬)が細かく設定されています。いわば、国が「こういう形なら、お金を払いますよ」と決めたルールブックです。

しかし、現場で求められる質は、もう少し泥臭いものです。
それは「利用者にとっての最大利益を、最小のリスクで実現すること」

ここでいう利益とは、単に歩けるようになることだけではありません。
「本当は自由に買い物に行きたい」
けれど
「でも転んで家族に迷惑をかけるのは怖い」
という、
矛盾する価値観の間で揺れ動く本人の「人生の充実」を指します。

「安全第一だから歩かないで」

と縛るのは簡単です。
その一択では、その方の心は死んでしまう。
犬も歩けば棒に当たるし、猿も木から落ちる。弘法だって筆を誤るのです。人間だもの、リスクゼロの人生なんてありません。

制度という「型」に、本人の「心」をどう流し込むか。
その設計図を、冷徹な数字と熱い情熱の両方で描くのが、私たちの仕事の本質なのです。

2. 「稼ぐ」ことは「守り抜く」こと

ビジネスの世界には「LTV(生涯価値)」という言葉があります。
介護現場でこれを聞くと「人がお金に見えるのか!」と怒られそうですが、私はこの指標そのものが、究極の「愛」に溢れたものさしだとも思えるのです。

介護現場におけるLTVとは、いわば「信頼の長さ」です。
長くお付き合いすることが、結果として会社に最大の利益をもたらします。


弊社には「利用者の最善の利益追求」というスローガンがあります。
「人の役に立ちたい」とこの仕事を選んだ志高い人ほど、Benefit(満足度)だけを追求してしまいがちですが、Profit(収益)の視点を持ち、そのバランスを適度に保てる人こそが、プロとして秀でるのだと私は考えます。

私が取締役としてスタッフに求めたいことは、
「利用者満足度を極めて(Benefit)、
長くしつこく関わり続けよう(Profit)」ということ。

「しつこく手放さない」なんて書くと下品に見えるかもしれませんが、これこそが極めて泥臭く、愛に溢れた努力の形だと思うのです。

高い専門性を「加算」として適切に評価していただくことは、プロとしてその方の人生に責任を持つという「覚悟」の証。

スタッフが疲弊せず、会社が存続してこそ、利用者様の居場所は守られます。「稼ぐ」ことは、会社・スタッフだけでなく、ご利用者様やその家族みなの人生を豊かにし続けるための「防波堤」でもあるのです。

3. 「専門職の壁」を越える、ちょっとした工夫

現場では時々、私自身がリハビリ職として「もっとできることがある。在宅生活の維持を!」と訴える一方で、他職種になかなか伝わらずもどかしい思いをすることがあります。 一人のご利用者様の人生に真剣に向き合うほど、「なんで伝わらないの!」と(心の中で?)吠えることもあります(笑)。

でも、だからこそ。
私は「提案」という少し距離を置いた関係で話をするのではなく、
共に作り上げる「相談(利益の共有)」という立ち位置を大切にしたいと考えています。

「環境を整えて、日中の活動量を調整できれば、ご本人の居場所ができます。そうなれば、ご家族の疲弊も軽くなって、この家で暮らせる希望が見えてきませんか?」

そう伝えた瞬間、私たちは「意見の交わらない職種」から「一人の人生のパズルを完成させる仲間」になれる。そこに理想と現実を繋ぐ道が拓け、BenefitとProfitの両立が始まるのではないかと思うのです。


……と、ここまで取締役として高潔な志を語ってきましたが、現実は非情です。

先日、息子のヘアカットの日でした。
息子はカットが大の苦手。バリカンを凶器のごとく忌み嫌い、悲鳴を上げます。 何とかご機嫌にカットしてもらうため、母は必死に「課金」します。

「欲しいお菓子あったっけ?」 「ガチャガチャ、特別に3回やる?」
「髪の毛切ったら、あのパチパチするスーパーヒーローアイス食べに行こっか!」

……Benefit(息子の満足)とProfit(母の財布)の両立とは、一体いかに。 投資対効果(ROI)は完全に無視。
我が家の家計の「サステナビリティ」は今、静かに崩壊の危機へとまっしぐらです。

制度と現場、理想と現実。
そのズレを埋める答えは、案外、この「ままならない日常」を笑いながら、必死に回し続ける泥臭い手のひらの中にしかないのかもしれません。

今日も一日、それぞれの現場を守る「守護神」のみなさまへ。
本当にお疲れ様です。

一緒に頑張りましょう!
現場からは、以上です🐾


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