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トヨタなど輸送用機器セクターは買いなのか?【前編】〜代表銘柄10社の今を俯瞰する

皆さま、おはようございます。
note記事投稿のため、久しぶりに決算確認をしっかりめにしたら、ちょっとだけ知恵熱が出た羊社長でございます。

今日、話題にするのは、日本を代表する御トヨタ様など、輸送用機器セクターについてのお話です。

足元で輸送用機器セクターの主要企業の決算が出揃いました。

サクッと俯瞰してみると、当初懸念されていたほど悪化しているわけではなく、多くの企業で業績改善や底打ちの兆しが確認できる内容でした。
実際、外形上は、期初の会社予想からの上方修正が相次いでおります。



📊代表3社に見る「慎重予想からの上振れ」

まず、自動車株の代表格である3社の内容を簡単に見てみましょう。
売上高と営業利益(本業の利益)の前年同期比、上方修正の概要をまとめました。

  • トヨタ
    売上高:10.4%増収/営業利益:-8.8%減益
    通期予想の上方修正(純利益):3兆円 ⇒ 3.25兆円
    物流問題などを慎重に織り込んでいたものの、実質的な販売回復と想定為替レートの見直し(円安寄りへの変更)によって通期予想を上方修正。

  • ホンダ
    売上高:13.5%増収/営業利益:2.2倍
    通期予想の上方修正(純利益):2600億円 ⇒ 4000億円
    二輪事業が記録的な好調を維持。四輪の重荷をしっかりカバーし、通期最終利益を大きく増額修正。

  • スズキ
    売上高:22%増収/営業利益:11.2%増益
    通期予想の上方修正(純利益):3800億円 ⇒ 4200億円
    主力のインドや新興国市場が極めて堅調。第1四半期として過去最高の利益を叩き出し、通期計画を引き上げ。

これだけ見ると、「さすがに株価が上がりそう」「セクター全体の株価も復調しているのでは?」と思ってしまいますよね。

ただし、見た目の数字だけで安心するのは早計です。


💹好決算でも明確に買われた代表銘柄は「たったの2社」だけ

ここからが株式市場の面白く、そして厳しいところです。

好決算や上方修正が並んだにもかかわらず、決算発表後の数営業日で、市場から素直に評価され、株価が大きく跳ね上がったのは代表的な銘柄10社(時価総額上位から自動車部品メーカーなどを除いた企業を抜粋)のうち「ヤマハ発動機」と「シマノ」の2社だけでした。

  • ヤマハ発動機
    上期・売上高:17.2%増収/営業利益:88.6%増益
    通期予想の上方修正(純利益):1000億円 ⇒ 1700億円
    先進国向けの大型二輪やマリン事業の需要増が全体を牽引。為替の追い風も加わり、通期の業績予想を力強く引き上げ。

  • シマノ
    上期・売上高:4.1%増収/営業利益:-3.1%減益
    通期予想の上方修正(純利益):420億円 ⇒ 430億円
    欧州市場を中心にスポーツ自転車向け高級コンポーネントの在庫調整が一段落。需要回復に伴い業績予想を上方修正。

ちなみに輸送用機器の代表10銘柄の顔ぶれは以下の通り。
すべての会社の決算内容に詳しく触れることはしませんが、全体として、厳しい環境下でも健闘、もしくは底堅い数字を出した傾向はトヨタなどと同様です。

本当は時価総額基準では川崎重工業がランクインしているのですが、防衛関連として注目されることが多いため、代わりに三菱自動車を入れました。


では、改めてこれらの銘柄の上方修正の有無(+参考情報)と実際の直近の株価の反応をザクッと見てみましょう。

【決算後に力強く買われたグループ】

ヤマハ発動機:上方修正あり(純利益/1000億 ⇒ 1700億)

シマノ:上方修正あり(純利益/420億 ⇒ 430億)

【決算後に地味に上昇したグループ】

ホンダ:上方修正あり:(純利益/2600億円 ⇒ 4000億円)

マツダ:上方修正なし:(参考/Q1前年同期比・増収増益/黒字転換!)

【決算後にパッとしないグループ】

トヨタ:上方修正あり:(純利益/3兆円 ⇒ 3.25兆円)

SUBARU:上方修正なし(参考/Q1前年同期比・減収減益)

日産自動車:上方修正なし:(参考/Q1前年同期比・増収増益/営業利益・最終利益ともに黒字転換!)

スズキ:上方修正あり:(純利益/3800億円 ⇒ 4200億円)
※ただし、営業利益は中東情勢による原材料高を受けて引き下げ(5700億円 ⇒ 5400億円)。

いすゞ自動車:上方修正なし:(参考/Q1前年同期比・増収増益)

三菱自動車:上方修正なし:(参考/Q1前年同期比・増収増益)

ご覧のとおり、総じていえば、悪くない決算が多いことが分かります。
しかし、それで単純に「株価上昇」とはいかないのが、株式市場の厳しいところです。
上方修正があっても、株価の反応はいまいちだった銘柄も散見されました。


🤔なぜ大半の株価は渋い動きだったのか?

結論すれば、それは「サプライズ感が足りなかった」からでしょう。

トヨタをはじめとする多くの銘柄は、良い決算を出したものの「為替(円安)による押し上げは想定内」「すでに株価に織り込み済み」と判断されてしまったと見るのが定石です。

まぁ、よく見てきた光景でございますね。

トヨタなど自動車メーカーの伝統芸能「控えめな期初予想からの上方修正」はいつものこと。

たとえば為替の見通しを円高気味にしておくだけでも後々上方修正になりますし、そもそも業界のあるあるとして、控えめな予想を出しておく慣習があると思われます。

結果として良い決算でもサプライズにはなりません。
材料出尽くし売りや揉み合いに終わってしまうことが多い印象です。

ただですね、トヨタの上方修正って第2四半期に出されることが多いのですが、今年は第1四半期で出してきました(営業利益・純利益ともに上方修正!)。
これは同社の見通しがかなり強気であることの裏付けかもしれません。

短期的な株価下落だけを見て、材料出尽くしだから「売り」と捉えるのは早計だと思われます。


🔎サプライズ度の裏側に透ける「ROE(資本効率)」の差

ところで、ワタクシは、10社の決算と株価の動きを見ていて、ひとつの仮説が降りてきました。

これって、あからさまに「収益性のポテンシャルの差」が「期待値を超える決算」に直結していないかしら?

普段は、「優良企業でも今回はミスった」とか「パッとしない企業でも意外に良かった」などと、予想外が起きがちな相場ですが、今回に関しては潜在的な「収益性の高さ」がカギとなったように思います。

では、「収益性」とはこの場合なにか?

その答えは、単なる営業利益率ではなく「ROE(自己資本利益率)」に表れる資本効率にあります。

代表10社をROEの水準でグループ分けしてみると、今回の決算後の市場評価と、なかなか興味深い関係性が見えてきました。

【上位グループ:高ROE(15%〜20%超)】

  • シマノ(決算後に株価大幅上昇↗️)上方修正✅️
    好調時ROE水準:20%超(不調時は5%未満になることもあり)

  • ヤマハ発動機(決算後に株価暴騰⏫️)上方修正✅️
    好調時ROE水準:15% 〜 19%前後(不調時は10%未満になることもあり)

【中位グループ:標準的ROE(10%〜15%前後)】

  • スズキ(決算後に株価ヨコヨコ➡️)上方修正✅️
    ※ただし営業利益は下方修正
    好調時ROE水準:13% 〜 15%前後(不調時の落ち込みが軽微)

  • トヨタ自動車(決算後に株価下落↘️)上方修正✅️
    好調時ROE水準:13% 〜 15%前後(不調時は8%台)

  • 三菱自動車(決算後に株価下落↘️)
    好調時ROE水準:13%前後(不調時は2%前後/特殊要因で20%超になった年もあり)

  • いすゞ自動車(決算後に株価下落↘️)
    好調時ROE水準:10%〜 13%前後(不調時の落ち込みが軽微)

  • SUBARU(決算後に株価下落↘️)
    好調時ROE水準:10% 〜 13%前後(不調時は5%未満)

  • マツダ(決算後に株価底打ち反転↗️)
    好調時ROE水準:10% 前後(不調時は1%台)

どうでしょうか?
収益性の点で地力のある企業に上方修正がついていませんか?
また、ヤマハ発動機、シマノに至っては、これまでの業績低迷などの霧が晴れて、ポテンシャルが爆発した印象を受けます。

なるほど、ROEが大切という言説は飽きるほど繰り返されているものですが、強調される理由は「与えられた資本を使って、どれだけ効率よく最終利益を叩き出せるか」という「株主から見た投資効率」に直結する要素だからでしょう。
したがって、株価の爆発力はROEをエンジンとする――そんな教科書的推論は、さしあたり成立しそうに思われます。

ん?でも、なんか、2社ほど忘れていない?

はい、そうですね。ホンダと日産を忘れていました。
以下の通り、2社はROE下位グループです。

【下位グループ:低ROE(8%未満)】

  • ホンダ(決算後に株価は小幅に上昇↗️)上方修正✅️
    好調時ROE水準:6% 〜 8%前後(前期は赤字)

  • 日産自動車(決算後に株価は底打ち反転↗️)
    好調時ROE水準:5%前後(ただし不調時は−10%超になる年も多い)

あれれ?なんか株価が地味に上がってる?

はい、これも相場あるあるのひとつです(笑)。

あまりにも期待値が下がっていた銘柄が、悲観的な予想を「上方修正」したり、赤字転落から「黒字転換」したり、それまでの憑き物が取れる瞬間は、業績低迷の底打ち感から、株価が反転上昇するのもまたよくある光景です。

これはまたROEとは別の論点として、理解するべきものと思われます。


高ROEの裏にある「構造の違い」と「業績の波」

では、一度ROEに話を戻しましょう。

「じゃあROEのポテンシャルが高い『ヤマハ発動機』や『シマノ』を買っておけば正解なの?」

そう思う方は、少し冷静になった方がよいかもしれません。

この高ROEの背景にある「ビジネス構造の違い」を理解すると、それぞれの銘柄が抱えるリスクが見えてきます。

① ヤマハ発動機:レバレッジと回転率が生む「高ROEと波の大きさ」

ヤマハ発動機は適度な財務レバレッジ(負債の活用)と高い資産回転率によって高いROEを実現しています。
負債を活用して資本効率を高めている分、需要の波に乗ったときは爆発的な利益を生みますが、景気後退や需要が一巡した局面では純利益が削られやすく、業績と株価の波(ボラティリティ)が大きくなります。
実際、つい最近も大幅な減益発表で株価が急落する場面がありました。

② シマノ:世界トップ級のシェアを誇る「超高利益」と、自転車業界特有の「在庫の波」

シマノは変速機などの自転車コンポーネントで世界トップ級のシェアを持ち、実質無借金に近い財務体質ながら、高い収益性と資本効率によって高ROEを実現できる凄まじい会社です。

ただし、注意点は**「在庫の波」**です。 シマノは「パーツメーカー」なので、完成車メーカーや自転車屋さんの在庫調整の影響をストレートに受けます。 

たとえばコロナ禍のような自転車ブームが終わると、街の自転車屋に在庫が溢れ、シマノへのパーツ注文が一気に鈍化してしまいます。 

この「好調と不調(在庫調整)の激しい波」が来ると、それに合わせて業績と株価が大きく変動するのがシマノの特徴です。


💡発見:それぞれの投資妙味がある

先述のとおり、トップグループの2社は「キャピタルゲインを狙える魅力がある反面、放置して安心して持てる永久保有銘柄かというと相応のリスクが伴う」ことが分かります。

逆張り投資家のワタクシは、だからこそ「ミドル・ローグループに属する銘柄にも違った投資妙味」が生まれると考えます。

🚗トヨタの圧倒的強み:下値の堅さと「押し目買い」の安心感

トヨタは巨大な自己資本を抱えているためROEの跳ね上がりこそ限定的ですが、業績安定性と確かな成長軌道、また連続増配と積極的な自社株買いへの絶大な信頼感があります。株価が下落した局面では「トヨタならいずれ戻る」という安心感があり、個人投資家にとっても買い(押し目買い)が入れやすい銘柄です。

🏍️ホンダの底力:高配当をもらいつつ「大化け」を待つ選択肢

ホンダは四輪の効率悪化で全体のROEこそ低空飛行ですが、二輪や金融部門が叩き出す圧倒的なキャッシュフローに支えられています。高配当銘柄としての下値支持線がしっかり機能しているため、配当をしっかり受け取りながら保有でき、今後「四輪の構造改革」が実を結べば、割安に放置されていた株価が一気に化ける潜在能力を秘めています。


⭕️結論:だから投資は面白い

こうして整理してみると、各銘柄にそれぞれの役割と魅力があることが見えてきます。

  • ヤマハ発動機・シマノ
    高い稼ぐ力と資本効率でキャピタルゲインを狙う「アタッカー」

  • トヨタ
    圧倒的な安心感と安定成長で資産の軸を作る「大黒柱」

  • ホンダ
    安定配当を受け取りながら、四輪改善による大化け(カタリスト)を気長に待つ「割安待ちぶせ」

単に「高収益の優良銘柄だから買い」と一言で片付けられないのが、株式投資の面白さであり奥深さです。

決算直後の短期的な株価反応だけに一喜一憂するのではなく、「それぞれの銘柄が持つ独自の強み、ROEの構造、そしてリスク」を理解したうえで、自分の投資スタイルや相場環境に合わせて選択していくこと。

それこそが、株式市場と長く、楽しく付き合っていくための答えなのだと感じております。


📢予告〜やっぱり「絶好の逆張り好機」じゃない?

相変わらず株価が重い輸送用機器セクター。
最悪期を脱し、業績の上方修正を出している企業も多い中で、なぜ大半の銘柄の株価は未だ割安に放置されているのでしょう?

そこには、単なる個別企業の要因や投資家心理を超えた「株式市場全体を覆うマクロな需給の歪み」が存在します(羊の推論)。

👉続きは近日中に投稿します!

【後編】をお楽しみに。

⚠️【免責事項】
本記事は、公開された財務データ等に基づいた個人の投資哲学および検証プロセスを共有することを目的としており、特定の銘柄の購入や売却を勧誘・推奨するものではありません。
掲載されている数値や評価は細心の注意を払って算出していますが、その正確性や将来の業績・配当を保証するものではありません。
実際の投資判断にあたっては、必ずご自身で最新の開示情報(決算短信や有価証券報告書など)をご確認いただき、ご自身の責任と判断(自己責任)において行っていただきますようお願いいたします。
本記事の情報を利用したことにより生じた、いかなる損害についても一切の責任を負いかねます。


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