牡牛座新月によせて
戸隠神社・中社の滝にて
午前5時前、痒みと痛みを感じて目が覚めた。
どうやら手の甲を蚊に刺されたらしい。
かゆみ止めを塗りながら、ふと思いがよぎる。
「戸隠神社へ行ってみようか」
思いつきに近い感覚だった。
けれど、不思議と迷いはなかった。
そうして私は、長野県の戸隠神社へ向かった。

戸隠神社 は、長野県北部の戸隠地方に鎮座する神社である。
古典『旧事紀』によれば、紀元前210年、天手力雄命(あめのてじからおのみこと)が現在の奥社の地に鎮まったことに始まるという。
また、平安時代には修験道の道場として栄えたとも伝えられている。
戸隠神社は五社構成となっており、すべてを巡る参拝は「五社参拝」と呼ばれている。
この日、中社(ちゅうしゃ)へ到着したのは午前9時30分ごろ。
大鳥居をくぐり、三本杉を眺めながら拝殿へ向かう。
戸隠神社の中心ともいえる社だけあり、拝殿も大きく、静かな存在感があった。
二礼二拍手一礼。
静かに手を合わせる。
参拝を終え、階段を降りて社務所へ向かおうとしたときだった。
拝殿に向かって右手奥から、涼しげな水音が聞こえてきた。
社務所とは反対側。
しかも、拝殿正面からは見えない位置にある。
そのまま気づかず通り過ぎてしまう人も多いかもしれない。
けれど、その日はなぜか、導かれるようにそちらへ足が向いた。

そこにあったのは、「さざれ滝」と呼ばれる小さな滝だった。
注連縄の張られた滝は、それほど大きくはない。
轟音を立てるような滝でもない。
けれど、水の気配は確かにそこにあった。
岩肌と緑に囲まれながら、静かに流れ続けている。
「そこにある」
そんな言葉が、いちばんしっくり来た。
浄化とか、生命の根源の水とか、そういう感覚とは少し違う。
むしろ、
「ここにある」
「今、生きている」
そんな感覚が、不思議と前面に出てきた。
あとから知ったのだが、中社では水を司る龍が描かれたお守りも授与されているそうだ。
普段なら、そのまま社務所へ向かっていたかもしれない。
けれどあの日は、滝の音がこちらを呼び止めたような気がした。

今日、5月17日。
午前5時ごろ、牡牛座で新月を迎えた。
その前日に、なぜか足を運ぶことになった戸隠神社。
「呼ばれないと訪れることができない」
戸隠神社には、そんな言葉があるそうである。
今回の参拝は、少しだけ、その意味に触れた時間だったのかもしれない。
ちなみに、戸隠神社は、祈年祭期間中(5月13日(水)~5月18日(月))。
特別な御朱印が頒布されていた。
《関連リンク》
戸隠神社(公式ホームページ)
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