ウミガメの甲羅は意外と敏感だった
「ウミガメの甲羅って感覚あるの?」
そう聞かれたら、昔の私は「ないんじゃない?」と答えていたと思う。
でも、ニューカレドニアでのある体験以来、その考えは変わった。
数年前、ニューカレドニアの海でシュノーケリングをしていた時のことだ。
透明度の高い海の中を泳いでいると、一匹のウミガメがゆったりと泳いでいた。
せっかくの機会だから、少し離れた位置から一緒に泳いでみる。
ウミガメは特に逃げる様子もなく、のんびりと海藻を食べたり、水面に上がったりしていた。
そして、ほんの少しだけ近づいてみた。
甲羅は硬い。
まるで岩のようにも見える。
だから私は、「少しくらいなら感覚なんてないだろう」と思っていた。
そっと指先で甲羅に触れた、その瞬間。
ウミガメがビクッ!
予想外の反応だった。
そして、その反応に驚いた私もビクッ!
海の中で、人間とウミガメが同時に驚くという不思議な瞬間だった。
後で調べてみると、ウミガメの甲羅には神経が通っていて、ちゃんと感覚があるらしい。
もちろん人間の皮膚のような感覚ではないだろう。
それでも、突然何かが触れれば分かる程度には感じ取っている。
考えてみれば当たり前だ。
もし甲羅が完全に無感覚なら、何かがぶつかったり、傷ついたりしても気付けない。
あの時の「ビクッ」は、まさに「何か触ったぞ!」という反応だったのかもしれない。
今では野生動物への接触は控えるべきという考え方が広まっている。
だから同じことを勧めるつもりはない。
それでも、あの時の経験は忘れられない。
ウミガメが驚き、私も驚いた。
たった一瞬だったけれど、「甲羅はただの鎧じゃない」ということを教えてくれた出来事だった。
