凡人は今日も躓く 26 映画「スティング」の演技に躓く 2026/08/16(日)
サブスクに「スティング」が入ったのに気づき、見返した。
最初のロードショー公開で見てから、これで7、8度目である。
驚いた。よくよく考えるほどこれは大変だ。
ジョージ・ロイ・ヒルは手練れの監督である。
代表作は、
アメリカン・ニューシネマの金字塔「明日に向かって撃て」、
複雑で観る人を試す「スローターハウス5」。
アメリカ映画史の文脈を踏みながら
時代を映し出す新しい作品を作ってきた
そして「スティング」は
伝統的なコメディの手法を取り入れた
シンプルに楽しめる万人受けする娯楽作だ。
主演はポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。
序盤で、
彼らのくたびれた中年男と青臭い青年という素顔が分かる。
二人は詐欺師という役割を演じはじめる。
詐欺師は計画した詐欺のなかでの役割を演じる。
詐欺師同士で信頼に値する仲間であることを演じる。
この重層的な役を
文芸作品ではなく、
スラップスティックの風味すらある
コメディのなかで演じるのである。
微妙な匙加減を、軽いタッチで粋に表現する。
役者の技量も問われるし、
演出もクレバーでなければならない。
これを見事に成立させている凄さに
今さらながらに気づき、震撼した。
そんなことを観客に気づかせもせず、
心からすんなりと楽しめる娯楽作に仕上げるのは
達人達の偉業である。
