ひとり、川辺に取り残される秋。【創作】
ちょっとだけ
ひとりになりたくて
家を飛び出してきた
歩いて20分
夕刻の空を見上げながら
川辺に座り込んだ
この川を取り囲むように
桜の木が立ち並んでいる
春の晴れた日に この場所に来ると
とてもきれいで圧巻なのだけれど
この季節の桜の木は どこか寂しげだ
花としての役割を終えて
寒い冬に向けて
準備をしているようにも見える
日中は暑かったのに
日が暮れ始めたと同時に
風も冷たくなってきて身震いした
上着を着ずに飛び出してきたことに
少しだけ後悔した
周りには誰も歩いていない
本当は広いはずのこの世界の中で
ひとりぼっちになってしまったようだ
どんなに歩いても
道は続いていて
端には触れられないはずなのに
あともう少し歩くだけで
壁にぶつかりそうな予感さえするほど
今わたしが取り残されている世界が
とても狭く感じられる
そんな中で考えるのは
家を飛び出したきっかけとなったこと
結局
誰が悪かったのかなんて
誰も知らなくて
相手も 自分も
悪くないのかもしれないし
お互いさまだったのかもしれないけれども
ただただ
環境と それぞれの心の状態が
ハマらなかっただけなのかもしれないけれども
このまま家にいたって
深みにハマるだけな気がして
解消されないグレー色をしたモヤモヤに
自分が覆われそうになったから
何も考えずに飛び出してきたのだった
そもそもひとりだったのだから
取り残されたとしても
かろうじて生きていけるのだけれども
ひとりで生きていくということは
本望ではないのかもしれないな
しばらくの間ボーっとしていたら
身体の芯から冷えてきた
あたたかみを感じたくなった
家に帰ろう
帰ったら
野菜をたくさん入れたスープを
コトコト煮込んで いただこう
自分のことを
自分の優しさで
あたためてあげよう

山根あきらさんの企画に
参加させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

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