冬を握りしめ、春の訪れを知る。【ショートなエッセイ】
寒さとあたたかさが交互にやってくる。
気温や天気が日によってコロコロ変わる、定まらない感じが、春っぽいな、とも思う。
別れと出会いが入れ違いでやってくるのが、春特有のイベント感を盛り上げてくる。
環境変化に激弱なおかげで、だいぶ影響を受けるわたしにとっては、一番堪える季節だ。
わたしの大切なものをガードしたいと思うあまりに、身体がより凝り固まる傾向があることも、知っている。
知っているのと、理解して対処できるのは、次元が違う。わたしは、まだ後者にはたどり着けていない。
春は、忙しい。
身体と心の距離が離れそうになることもあるけれど、なんとかつなぎとめようとして、必死にこらえている。
季節は、何食わぬ顔をして、進んでいく。
寒くて、ぱんぱんに凝り固まった肩を楽にしてあげたい。
手のひらに、冬を詰め込んで、ギュッと握りしめる。
目を瞑って、冷気な日々を思い起こしてみたら、決して冷たいことばかりじゃなかった。
冬の日々の思い出に、ほっこりな温度を足すと、凍てついた氷は溶け出して、わたあめのようにほどけていった。
次に手を開いた時には、光が見える。
きっとこれは、小さな希望の灯りだ。
そんな「春」のことを、ちょっとは好きになれるかもしれない。
好きになれたら、いいな。
暮らしの温度を、ほんの少しだけ上げてみたら、
見える世界の色がちょっと変わったお話。

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