「腕」よりも先に伝えたいこと。それは「視線」です。
レッスンで、
「泳ぐときに一番気をつけることはありますか?」
と聞かれることがあります。
そんな時、私が最初にお伝えするのは、腕の動かし方でも、キックの強さでもありません。
「どこを見ていますか?」
ということです。
意外に思われるかもしれませんが、視線は泳ぎにとても大きな影響があります。
前を見ようと頑張るほど、泳ぎにくくなることもある
クロールを始めたばかりの方は、「前を見ながら泳がないと」と思ってしまうことが少なくありません。
でも、前を見すぎると頭が上がり、その影響で腰や足が下がってしまいます。
「なんだか前に進みにくい。」
「足が沈んでしまう。」
そんな悩みの原因が、実は視線だったということもよくあります。
だから私は、まずけのびの姿勢を思い出してもらいます。
けのびをするときは、自然と真下を見ていますよね。
あの姿勢が、水の中で一番きれいな姿勢を作りやすい位置なんです。
正解の角度は、一人ひとり違う
「じゃあ、ずっと真下を見ればいいんですか?」
そんな質問をいただくこともあります。
答えは、「人それぞれ」です。
泳ぎに慣れてきたり、体幹が安定してきたりすると、少し斜め前を見ても姿勢を保てるようになります。
だから私は、「この角度が正解です」とはお伝えしません。
大切なのは、
前を見ても腰が下がらないこと。
それが、その人に合った視線です。
みんな同じではなく、その人に合った泳ぎ方を一緒に見つけていくことを大切にしています。
頭は動かさず、体が動く
もう一つ、初心者の方によく見られるのが、手を回すたびに顔まで一緒に動いてしまうことです。
右手を回したら右を見る。
左手を回したら左を見る。
そうすると、体も左右にぶれてしまい、まっすぐ進みにくくなります。
クロールでは、体は左右に傾く「ローリング」という動きをします。
でも、頭はできるだけ安定させたまま。
視線は変えずに、体だけが動く。
この感覚が身についてくると、泳ぎはぐっと安定してきます。
泳ぎは「力」だけではない
泳げるようになりたいと思うと、どうしても腕を一生懸命回そうとしたり、キックを強くしようとしたりします。
もちろん、それも大切です。
でも、レッスンをしていると感じるのは、力よりも姿勢を整えることの方が、泳ぎやすさにつながる場面が多いということです。
視線が変わる。
頭の位置が変わる。
すると体の姿勢が変わり、「あれ、さっきより楽に泳げる!」という瞬間が生まれます。
その表情を見るたびに、「やっぱり基本って大切だな」と感じます。
あとがき
泳ぎがうまくいかないと、「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまうことがあります。
でも、頑張る前に少しだけ立ち止まって、
「私は今、どこを見て泳いでいるかな?」
そんなふうに自分に問いかけてみてください。
ほんの少し視線を変えるだけで、水の中が今までより少し心地よく感じられるかもしれません。
笑顔で来て、笑顔で帰る
楽泳スイミング
