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#71 よそはよそ、うちはうち

僕が幼稚園生だったときのこと。
当時、スーパーファミコンが流行しており、友達の家でよくやらせてもらっていた。
天下の任天堂様だ。楽しくないわけがない。
すると、子どもは当然こう思うのだ。

家でもマリオやカービィと遊びたい……。

僕は決死の思いで母にスーパーファミコンを買ってほしいとねだった。
だが、母は首を縦に振らなかった。
「どうして!? ともだちはみんなもってるんだよ!?」
そう弁明したときに言われたのだ。

よそはよそ、うちはうち。

こうして僕はスーパーファミコンを手にすることはなかった。
そして、僕はこの言葉が大嫌いになったのである。
この世の終わりだというくらいギャン泣きした記憶がある。

けれど、大人になるにつれて、その嫌悪感は薄れていっている。
むしろ、この言葉はよりよく生きるためにはとても重要な呪文なのではと最近思うのである。

他人から影響を受けてしまう原因

以前の記事にも書いたけれど、僕はピリピリした雰囲気が苦手だ。
そして、他人の機嫌にもとても影響されやすい。
そういう人を見ると、自意識過剰にもこう思ってしまう。

僕が何かまずいことをしてしまったのだろうか……。
僕のせいでこんなピリピリした雰囲気になっちゃったのだろうか……。

こうは考えるけれど、大概僕はその人に対して何もしていない。
単純に仕事が忙しかったり、その人が何らかの理由でイラついているだけである。
つまり、職場のピリピリも、その人の不機嫌も自分が原因ではない。
それらは全て、その人だけが持っている問題である。

それなのに、なぜ僕はその人に影響を受けてしまうのか。
なぜ何もしていないのに、僕は罪悪感に襲われているのだろうか。

それは、自分と他人の間に境界線を引いていないからだと気づいたのだ。

境界線がないと心は疲れやすくなる

HSPやアダルトチルドレンを学ぶと、必ず出てくる言葉の一つ。

――境界線。

感情や機嫌というのは、自分と他人では持っているものが違うはず。
しかし、自分と他人の境界線があいまいになっていると、他人の感情や機嫌も我が物のようにしてしまうのである。

僕は、他人との境界線を引くことができていなかった。

とりわけ他人のネガティブな感情については、勝手に自分のもののように感じてしまう。
だから、他人の不安や怒り、イライラ・ピリピリなども受け取ってしまい、自分も不安になったり、イライラしたりしてしまったのである。

他人なんて周りに何人もいる。
複数の人々の感情や機嫌を受け取っていたら、疲れるに決まっている。

しかし「境界線を引け」と言われても、どうすればいいかわからなかった。
何か、境界線を引ける魔法が……呪文のようなものはないだろうか……。

そのとき思い出したのが、幼稚園生の頃の記憶だったのである。

境界線を引く呪文

上司がいらついている。ぶつぶつ文句を言っている……。
先輩が不機嫌な顔をしている。話しかけるなオーラを出している。

自分のせいだろうか……。

そう不安になったとき、自分が何をしたわけでもなければ僕は唱える。

よそはよそ、うちはうち。

上司がいらついているのも、文句を言っているのも、
上司という「よそ」の問題である。

先輩が不機嫌なのも、話しかけてほしくないのも、
先輩という「よそ」の問題である。

仮にそのときに僕が話しかけて、
「忙しいんだ。後にしろ」と強めに言われたら、
それは上司や先輩の八つ当たりに過ぎない。
自分のせいではない。
彼らが感情をコントロールしていないだけだ。

僕は……
「うち」は滞りなく仕事をしているし、他人に感情をぶつけるようなこともしない。

呪文を唱えたことによって、境界線を引くことができたのである。
それによって、自分の感情をコントロールできるようになったのだ。

会社や学校、周りに他人がいる環境では、どうしても彼らの影響を受けることはあると思う。
とりわけ繊細な人、ネガティブな傾向にある人は、他人の怒りなどのネガティブ感情に敏感になってしまうことだろう。
こうは書いているけど、未だに僕も影響されることはある。

だけど、その人のネガティブ感情は決して自分のものではない。
イラつく他人が近くにいて、不安になってしまったとき——
あの呪文を唱えてみよう。

よそはよそ、うちはうち。

自分と他人は違うんだ。
他人の感情は、自分のものではないんだ。
それを思い出させてくれる呪文である。


うちの余談

結局、僕が最初にゲームを買ってもらえたのは小学生の頃。
大正義・ポケットモンスターが出たときだった。
さすがにポケモンの大波を避けさせるのは可哀想だと、親は判断したのだろう。
なので僕は、ポケモンには頭が上がらない。

ピカチュウのことは、「ピカさん」と呼ぶし、
渋谷のポケモンセンターに入るときは、入り口にいるミュウツー様にお辞儀をしてから入るようにしている。
もちろん、心の中でですけどね。

ミュウツー様の神々しいお姿


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