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夏の夕方に漂う《生乾き臭》をどう防ぐか:原因は体臭というより衣類かも

高温多湿の時期になると、仕事帰りのスーパーや電車の中で、生乾きの洗濯物に似たにおいを感じることがあります。老若男女を問わず、汗をかいた人から漂ってくる、あの独特のにおいです。本人が一日働いてきたことは容易に想像できますから、心の中では「お仕事お疲れ様です」と思います。しかし、労をねぎらいたい気持ちと、そのにおいを快適に感じるかどうかは別問題です。



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1. 体臭というより衣服から発するにおい

このにおいは、体臭として受け取られやすいですが、実際には皮膚そのものよりも、汗で湿った肌着やシャツが発生源になっている場合が少なくありません。朝、着たときにはほとんどにおわなかった服が、昼過ぎに汗を吸うとだんだん生乾き臭を放ち始めることがあります。洗濯後には無臭に思えても、繊維の内部に残っていた皮脂や菌由来の物質が、体温と水分によって再びにおい始めるためです。

したがって、この問題を単純に、体をよく洗えば解決すると考えると、対策を外すことがあります。風呂キャンセル界隈の人でも衣類が清潔なら気になるほどにおわないことがあります。皮膚を清潔に保つことはもちろん必要ですが、それと同じか、それ以上に衣類の管理が重要です。

2. においを作っている細菌

汗そのものに強いにおいはありません。においの原因になるのは、汗や皮脂を栄養にして増殖する細菌です。

衣類の生乾き臭では、モラクセラ属 (Moraxella) の細菌がよく知られており、洗濯で落としきれなかった皮脂汚れなどを利用して、生乾き臭の原因物質を作ることが分かっています。

一方、皮膚では、ブドウ球菌 (Staphylococcus)コリネバクテリウム (Corynebacterium)マイクロコッカス (Micrococcus) などが汗や皮脂を分解し、それぞれ異なる種類のにおいを生み出します。

つまり、夏に感じる独特のにおいは、いくつもの種類の菌が原因となっています。皮膚の細菌による体臭と、汗で湿った衣類に残った菌が作る生乾き臭が重なり合っていることが珍しくないのです。

3. 速乾性と防臭性は同じではない

夏の肌着として、ポリエステルなどの化学繊維を使った速乾性の高い製品は広く普及しています。汗を吸っても乾きやすく、べたつきにくいので、機能的には優秀です。しかし、においが残りにくいということはありません。

化学繊維、特にポリエステルは、水分を抱え込みにくい一方で、皮脂などの油性汚れが残りやすい傾向があります。汗の水分は早く乾いても、皮脂やにおいの原因物質が繊維に蓄積し、少し汗をかいただけで過去のにおいが再び現れることがあります。新品のころは快適でも、何か月か着続けるうちに、洗濯直後は無臭なのに着用後しばらくするとにおう肌着になっていきます。

私の経験でも、綿の肌着より化学繊維の肌着のほうが、生乾き臭に似たにおいを帯びやすいと感じます。綿は汗を多く含むため乾きにくいという欠点がありますが、通常の洗濯で皮脂汚れを落としやすく、においが長期間蓄積しにくい面があります。もちろん、汗で湿った綿の肌着を長時間着続ければ、綿でもにおいます。それでも、日常生活で強い速乾性を必要としない人なら、綿 100%、あるいは綿の割合が高い肌着を選ぶことは、におい対策として理にかなっています。

4. 洗っているのににおう服

生乾き臭を漂わせている人は何日も服を洗わずに着ている人もいるでしょうが、ちゃんと洗っているという人も少なくないでしょう。むしろ、毎日きちんと洗濯している人ほど、自分の衣類が原因だとはなかなか考えにくいものです。洗濯して乾いた服を嗅いでもにおわないため、衣類には問題はない思ってしまいます。

ところが、通常の洗濯だけでは落ちない汚れを抱えている衣類は、汗を吸うとにおいが戻ってきます。洗剤の量が少ない、洗濯物を詰め込みすぎている、すすぎが不十分、洗濯後に長く放置している、室内で乾燥に時間がかかっているなど、複数の要因が重なっていることがあります。また、洗濯槽や糸くずフィルターに汚れがたまっていれば、せっかく洗った衣類に再び汚れや菌が付着します。

においが気になる肌着やシャツは、ときどき通常洗濯とは別に処理したほうがよいでしょう。洗濯表示で許されているなら、40°C 前後のぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かし、一定時間つけ置きしてから洗います。脇、胸、背中など、皮脂が付きやすい部分には、洗濯前に液体洗剤を直接なじませる方法もあります。塩素系漂白剤は色落ちや生地の傷みがあるため、白物で表示上問題のない場合に限るべきです。

ただし、何度漬け置きしても、汗をかいた途端ににおいが戻る服はあります。その場合、見た目にはまだ着られても、防臭の面では寿命を迎えています。肌着には、穴が開くまでの寿命とは別に、においを保持し始めるまでの寿命があります。高価な機能性肌着だから長く使わなければ損だと考えているうちに、周囲へにおいを提供し続けることになれば、少々割に合いません。

5. 部屋干しは短時間で乾かす

高温多湿の時期は、洗濯物が乾くまでの時間も重要です。外気温が高くても湿度が高ければ、衣類は意外に乾きません。部屋干しが悪いというより、湿った状態が長時間続くことが問題です。

洗濯が終わった衣類は、洗濯槽の中に放置せずすぐに取り出して干すことが基本です。衣類同士の間隔を広く取り、扇風機やサーキュレーターで風を当て、必要に応じて除湿機やエアコンを使います。太いハンガーを使って衣類の内部にも空気を通し、厚手の衣類は裏返したり、途中で向きを変えたりすると乾燥が早まります。

柔軟剤を多く使えば、良い香りによって生乾き臭をごまかせるように思えるかもしれません。しかし、生乾き臭と香料が混ざると、さらに複雑なにおいになります。本人は柔軟剤の香りを感じて安心していても、周囲には生乾き臭と甘い香料が同時に届きます。必要なのは香りを追加することではなく、汚れを除き、短時間で乾燥させることです。

6. 朝に洗っても、夕方まで無臭とは限らない

皮膚側の対策としては、脇、首、胸、背中、足など、汗と皮脂がたまりやすい部分を洗い、十分に乾かすことが基本です。ただし、強い洗浄剤で何度もこすれば良いわけではありません。洗い過ぎによって皮膚が荒れると、別のにおいや炎症の原因になります。

制汗剤を使う場合は、汗をかいてから香料を重ねるのではなく、清潔で乾いた皮膚に使用するほうが効果的です。特に汗の量が多い人は、単なる芳香タイプより、制汗成分を含む製品を選ぶほうが現実的です。汗拭きシートも役立ちますが、皮膚を拭いたあとに汗で湿った肌着をそのまま着続ければ、衣類側のにおいは残ります。

そのため、最も確実な対策の一つは着替えです。可能ならば、昼休みや仕事の終了時に肌着を交換するだけでも、においは大きく減ります。屋外作業や空調の弱い職場なら、肌着だけでなくシャツも替えたほうが良いでしょう。使用済みの衣類は濡れたままポリ袋・ビニール袋に長時間密閉せず、帰宅後すぐに洗濯します。すぐに洗えない場合でも、一度広げて乾燥させるだけで、菌の増殖をある程度抑えられます。

7. 本人が気づきにくいという難しさ

においの問題で厄介なのは、本人が自分のにおいに慣れて、においを感じなくなってしまうことです。朝から同じ服を着ている本人には分からなくても、夕方に近くを通った人にははっきり感じられます。洗濯も入浴もしているという自負があれば、なおさら自分がにおっているとはなかなか思いません。

非常に親しい間柄なら、「服が汗を吸うと少し生乾きのようなにおいがする」と伝えられるかも知れません。しかし、職場の同僚や知人に「あなたはにおいますよ」と言うのは難しく、本人に改善の機会がないまま、毎年夏になると同じ問題が繰り返されます。

だから、これは誰かに指摘されてから対策する問題ではなく、自分では分からない可能性を前提に予防するほうが良いでしょう。帰宅後の衣類を家族に確認してもらう、汗をかいた肌着を脱いですぐに自分で嗅いでみる、長く使った化繊の肌着を新品と比較してみるなど、客観的に確認する方法はあります。


おわりに

単に毎日入浴し毎日洗濯するだけでは夏の生乾き臭対策として不十分です。衣類の素材を選び、皮脂汚れを蓄積させず、短時間で乾かし、汗をかいたら着替えるところまで含めて、初めて一つの対策になります。

日常生活なら綿を多く含む肌着を選び、化学繊維の肌着はにおいが戻るようになったら早めに更新します。洗濯には適量の洗剤を使い、ときどき酸素系漂白剤で衣類をリセットします。洗濯槽も定期的に清掃し、干す際は乾燥時間を短くします。仕事中に汗を多くかくなら、替えの肌着を用意します。

夏の夕方に漂う生乾き臭は、本人の不潔さを示すものとは限りません。むしろ、毎日働き、汗をかき、普通に洗濯している人の衣類から生じることが少なくないです。それでも、不快なにおいであることには変わりないので、一度、肌着と洗濯方法を見直しておきたいものです。



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