見出し画像

あの先生になりたくて#3就職試験

ーーーーー
あの出会いから15年
どんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。

#3  就職試験

先生が勧めてくれた園の就職試験。
いよいよその日がやってきた。

会場には、7・8人ほどの受験者が集められていて、ひとつの部屋で静かに順番を待っていた。名前を呼ばれたら、ひとりずつ試験会場へ向かう流れ。自分の名前が呼ばれるまでの時間が、やけに長く感じられた。

試験内容は、ピアノ(指定曲1曲・自由曲1曲)と面接。

ピアノは、小学生の頃、隣のお家のお姉ちゃんに教わっていたこともあって、どちらかといえば得意な方だった。だからこそ、そこには少し自信があった。
鍵盤に指を置いた瞬間、不思議と気持ちは落ち着いて、音に集中することができた。

問題は、面接。

緊張していたせいか、正直あまり細かくは覚えていない。ただ、答えやすい質問をいくつかしてくださったことは覚えている。
「残業についてどう考えますか?」
「最近、感動したエピソードはありますか?」

ひとつひとつ、言葉を選びながら必死に答えた。

面接も終盤に差しかかり、だいぶ緊張がほぐれてきた頃。
ふと、ある思いが込み上げた。

――もし、ここで合格をいただけたら。
――長年の夢が、叶うのかもしれない。

そう思った瞬間、胸の奥から感情があふれてきて、気づけば涙が止まらなくなっていた。自分でも驚いた。面接中に泣くなんて、思ってもいなかったから。

面接官の先生方は、とても温かくて、人柄の良さが伝わってくる方ばかりだった。突然泣き出した私を心配して、優しく声をかけてくださったことも、今でもよく覚えている。

できることは、やった。
あとは、結果を待つのみ。

この時の私は、ただまっすぐに夢を見つめていた。



いいなと思ったら応援しよう!