ギンザフラミンゴ・ガール 【毎週ショートショートnote】
パンツのなかでフラミンゴを飼育していると、もぞもぞと動き回ってくすぐったいあまりに、私は 〈やめて!〉 と叫んで暴れだしたくなることがある。
〈みんな、どうしているのだろう。ああ、本当につらい。はずかしい。〉と深刻になっていた矢先、銀座2丁目の100円ショップ横で、金色のヴェールをまとい美しく舞う天女に出会った。
天女は、よく見るとどこにでもいそうな髪型の、顎がきれいな逆三角形を描く少女で、私と目が合うなり顔をあからめて近づいてきた。
「きれいな踊りですね」どうしてよいか分からず、素直にそう言うと、少女はぐっと顔を寄せてささやいた。
「フラミンゴを、しつけていたの」
え、と声を上げてしまった私は、はっと口を手で押さえた。
「フラミンゴって、下着のなかで飼う子ですよね。しつけなんて、できるんですか」
「もちろん。特別なトゥシューズを使うのよ」
思わず少女の足元を見ると、ピンク色のトゥシューズが桜のように彼女に似合っていた。その視線に気づいた少女が言った。
「100円ショップの店員さんが、従業員入口の扉を開けるのを見たことある?ないでしょ?あそこはね、実は従業員入口じゃなくて、この特別なトゥシューズショップへの入り口なの」
これまでにないときめきを感じた。秘密の入り口、限られた客、そして生活を大きく変えてくれる特別なトゥシューズ。
私の心は、もう、踊りだしていた。
田原にかさんのショートショート企画におけるお題「#ときめきトゥーシューズ」に参加させていただきました🌌
