急性硬膜外血腫とは?CT画像診断のポイントを分かりやすく解説
頭部外傷の中でも、迅速な診断と治療が重要な疾患のひとつが「急性硬膜外血腫(Acute Epidural Hematoma)」です。
CTでは特徴的な画像所見があり、画像を正しく理解していれば比較的診断しやすい疾患でもあります。
この記事では、
急性硬膜外血腫の発生メカニズム
CT画像の典型所見
急性硬膜下血腫との違い
読影時に注意するポイント
を、図の内容をもとに分かりやすく解説します。
急性硬膜外血腫とは?
急性硬膜外血腫とは、頭蓋骨と硬膜の間に血液がたまる外傷性出血です。
通常このスペースは存在しませんが、外傷によって血管が破綻すると、骨と硬膜の間に血液が溜まります。
発生のメカニズム
多くの場合、原因は 頭部打撲による頭蓋骨骨折です。
典型的な流れは次の通りです。
頭部外傷(交通事故・転倒など)
受傷部位に頭蓋骨骨折が発生
中硬膜動脈が破綻
頭蓋骨内板と硬膜の間に出血
急速に血腫が拡大
つまり、
骨折 → 動脈破裂 → 硬膜外出血
という流れになります。
特に多いのは中硬膜動脈(middle meningeal artery)の損傷です。
硬膜の構造を理解する
硬膜は実は2層構造になっています。
硬膜の構造
骨膜性硬膜
髄膜性硬膜
これらは通常密着しています。
そのため、硬膜外腔というスペースは本来存在しません。
外傷によって血液が入り込むことで
初めて「硬膜外腔」が形成されます。
CT画像の典型所見
急性硬膜外血腫には、非常に特徴的なCT所見があります。
凸レンズ型(biconvex)
最も重要な所見は凸レンズ型の高吸収域です。
特徴:
両側が丸い
レンズのような形
局所的に限局
これは硬膜が骨に強く付着しているため、血腫が広がりにくいために起こります。
縫合線を超えない
もう一つ重要なポイントがあります。
それは血腫が縫合線を越えないという特徴です。
理由は、硬膜が縫合部で強く固定されているためです。
そのためCTでは
血腫が限局
骨縫合で止まる
という所見になります。
急性硬膜下血腫との違い
頭部外傷の画像診断でよく問題になるのが
急性硬膜外血腫 vs 急性硬膜下血腫です。
違いを簡単にまとめると
硬膜外血腫硬膜下血腫形凸レンズ型三日月型血管中硬膜動脈架橋静脈縫合線超えない超える頻度少ない多い
特に形状の違いは非常に重要です。
レンズ型 → 硬膜外血腫
三日月型 → 硬膜下血腫
と覚えると理解しやすいです。
骨折の合併
急性硬膜外血腫では頭蓋骨骨折を伴うことが非常に多いです。
成人では約90%に骨折を認めるとされています。
そのため読影時には必ず骨条件(bone window)も確認することが重要です。
疫学
急性硬膜外血腫の特徴は以下です。
頻度
頭部外傷の 1〜4%
硬膜下血腫との比較
硬膜下血腫の方が約5倍多い
とされています。
好発年齢
比較的多いのは若年者です。
理由:
強い外傷を受けやすい
硬膜が骨から剥がれやすい
一方で少ないのは高齢者で、硬膜が骨に強く癒着している。
乳幼児は、骨が柔らかく動脈損傷が少ない。
臨床的に重要な「Lucid interval」
急性硬膜外血腫では
Lucid interval(意識清明期)
という特徴的な経過をとることがあります。
流れ:
外傷直後は意識障害
一時的に意識回復
血腫増大で再び悪化
このため
一見元気でも急変する可能性
があり非常に危険です。
CT読影のチェックポイント
頭部外傷CTでは次の順番で確認すると見逃しにくくなります。
① 頭蓋骨骨折
② 凸レンズ型血腫
③ 縫合線との関係
④ 正中偏位
⑤ 脳ヘルニア徴候
特に
骨折 + レンズ型血腫
を見たら
急性硬膜外血腫を強く疑います。
まとめ
急性硬膜外血腫のポイントをまとめます。
CT診断の要点
凸レンズ型高吸収域
縫合線を越えない
中硬膜動脈破綻が多い
頭蓋骨骨折を高頻度に合併
そして臨床的には
急速に悪化する可能性のある緊急疾患
です。
頭部外傷のCTでは、
この典型所見を見逃さないことが非常に重要です。
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