やってきたことのご紹介②|楽天ソシオビジネス時代|2020年度第38回IT賞「特別賞(社会課題解決領域)」その他受賞
合同会社raco project(ラコ・プロジェクト)の阿部です。本日は(番外編を除くと)6回目の投稿です。
前回は東京都の「令和6年度学校外の子供の多様な学びに関する調査研究事業」についてご紹介させていただきました。
今回は、私が楽天ソシオビジネス在籍時に注力して結実したプロジェクトのひとつ、2020年度第38回IT賞「特別賞(社会課題解決領域)」その他受賞、についてご紹介させていただきます。
ことのあらまし(概要)
こちらのプロジェクトは、私自身が何か具体的な成果を上げた、というよりも、「部内で行われていた取り組みの視点(見方)を変えて」「それを部内の注力プロジェクトにして」「周囲のステークホルダーの協力を仰ぎながら」「価値を言語化して社内・社会に向けてプロモート・プレゼンし」、受賞につながった、という類のものです。
「実際になにをしたか」というのは、あれこれ文章で述べるよりも、こちら=Rakuten News Network(RNN)のRakuten Innovationの記事)にアップされている動画をご覧いただくのがもっとも手っ取り早いと思います。

部内で行われていた取り組みの視点(見方)を変える
2020年当時、楽天では、全社の生産性向上のためにRPAの導入推進がグループ全社の注力プロジェクトとして強化されていました。私は2019年末頃から、Tech事業(SIer的機能)の部門としての立ち上げを任されあれこれ試行錯誤中でした。その中で、この楽天グループ全体のRPA推進プロジェクトへの参画強化についても部内のメンバーの皆さんとも相談して注力していこうという方針を進めていました。
そこで大きな障壁になっていたのは、楽天で導入されていたRPAの開発ツールが、直感的で視覚的なUIで設計されていたため、視覚優位(情報取得が主たる情報源になっている=いわゆる“視覚健常”)の人には使いやすいのですが、視覚障害(社会モデル的な観点から私は「障がい」と言わずに「障害」という言葉をあえて使っています)のエンジニアの方が開発に参画するのが不可能、ということでした。しかし視覚障害のエンジニアの方は我々のチームの主力として、ずば抜けた開発能力をもっていました。
メーカーに問い合わせても「そのような(視覚障害エンジニアの方向けの)対応はしていない」「対応は不可能ですね」と返答されてしまっていました。
そんな折、部内のメンバーの方のひとりが、そのツールについて他のことを探求している際に、セレンディピティ的に、「あれ?こうすれば、視覚障害のエンジニアの仲間も開発に参加できるのでは?」というアイデアを思いつきます。そして、その方とその周囲のメンバーは「部内の自分たちの仲間、視覚障害のメンバーを助けたい」という思いで、その手法の開発を進めていました。
それを聞いた私は「この素晴らしい取り組みが実現すれば、もちろん部内の仲間も助かるが、もしかすると、世界中の視覚障害エンジニアの方が参入できていないこの開発領域に参画できる、というスケール感のソリューション創出として捉えることができるのではないか」とひらめきました。
そして、この取り組みを部内の注力プロジェクトとして、部内のリソースを優先的に投入して、開発を進めていただくことにしました。
価値の言語化・プロモート
そして、私は、楽天グループ内の情報システム部の幹部の方たちとの関係構築を進めるために、まずは我々の部門のRPA開発実績自体のグループ内貢献度を向上することに注力し、その実績を定期的にレポートさせていただく機会をつくりながら信頼関係を深め、
同時に「障害理解」という側面でも「現場のメンバーはこんなことに困っている」「こんなことが実現出来たら素晴らしいと思う」という情報交換もそのやりとりに交えていきました。
さらには「いまわれわれが取り組んでいる、視覚障害エンジニアの方向けのこの取り組みは、社内のエンジニアの開発リソースで貢献できるだけでなく、広く世界中のエンジニアに機会を与えるスケール感のものである」というプロモーションを折に触れて展開していきました。
それらの実績作り×信頼関係構築×プロモーションが結実して、やがては楽天グループのTech部門全体を統括している副社長にも私の声が届くようになりました。
受賞への道のり
そんなこんなの活動を続けていくうちに、「楽天グループを代表して、この取り組みでIT賞にエントリーしたい、担当してくれないか」というお話をいただくにいたりました。私は、このお話を「これは、この取り組みを楽天グループ内だけでなく日本社会に知ってもらうチャンスかもしれない」と解釈しました。
そして、まずは楽天グループ内での理解と推薦を得るために、あらゆる人にプレゼンしてまわり、厳しいフィードバックをいただきながらも改善して突破し、正式に楽天グループの代表として我々の取り組みがIT賞にエントリーされることになりました。
そして、1次審査、2次審査、とプレゼンと質疑の審査を重ねて、いつの間にか、IT賞の受賞に至っていました。
IT賞の受賞、まずは国内への発信
受賞のニュースは、楽天グループのプレスリリース、その他各種プレスリリースで紹介されました。
こちらのプレスリリースのポイントは下記です。

また、公益社団法人企業情報化協会さんに当時取り上げていただいた記事では、私の当時の思いをそのままズバリ文言化してくださっています。

2021年2月に開催された授与式では、記念講演もさせていただきました。

コロナ禍の最中で、久々の外出だったのを覚えています。オフライン×オンラインのミックスで、会場には数十名の方がいらっしゃいましたが、私の目の前にビデオカメラが設置され(私にとっては、大きなカメラのレンズがライフルの銃口のように私に向けられているように感じました)、その向こうで数百名の方がご覧になっている、という状況に当時はまだ慣れず、ずいぶん緊張しました。
その他受賞、グローバルへの発信
その後、RPA開発ツールのメーカーであるBlue Prism World Virtual 2021 Japanでも、Innovation Excellence Awardを受賞させていただきました。
授賞式典はコロナ再燃の影響で中止となり、BluePrism Japanの社長が楽天のおオフィスにお越しくださり、その場でクリスタルの授与をしてくださりました。


楽天で制作した動画が英語だったこともありBluePrism 英国本社のグローバル会議でも日本の事例として発表され、絶賛を浴びたとのことでした。
日本法人の社長の方も誇らしげに語ってくださいました。
当初考えていた「これは、この取り組みを楽天グループ内だけでなく日本社会に知ってもらうチャンスかもしれない」という目論見は、日本社会を超えて、イギリスからグローバルに発信してもらえるにまでいたったことになります。
アワードの特設サイトにも掲載いただきました。
受賞者コメントとしては、下記の言葉を添えさせていただきました。
Innovation Excellence Award:「特例子会社が親会社と共同プロジェクトを組み、親会社の生産性向上に直接貢献するといった事例は日本国内ではまだまだ珍しく、さらに、親会社の支援の元、障がい当事者が自ら新たな開発方法を開拓するような今回のような事例は非常に稀であると思います。今回、BluePrism様にその点にスポットを当てていただけたことは大変嬉しく、また今回の受賞をきっかけに同様の試みが今後ぜひ拡大していって欲しいと願っています。」
Blueprismの当時の本社はイギリスで、イギリス本社からイギリスに来てグローバルに向けて講演してほしいと言う依頼案件もかなり具体的に動いていましたが、またコロナが猛威をふるいはじめ、そちらは中止となってしまった。
コロナ禍で失われた機会はたくさんありましたね。
私は、その後、楽天ソシオビジネスの「ビジョン・ミッション・バリュー」を策定するプロジェクトを主幹したのですが、そこで定めたビジョンの文言
は
「多様な人が、多様なまま、多様に活躍できる社会の実現」
でした。
当時も、今もですが、多様な人が、多様なまま、多様に活躍できる社会に向けて、ほんの少しだけでも、具体的で実際的な作用をもたらす、ということに、燃えます。なぜならそういう世界に近づいた方が、シンプルにワクワクするからです。
あらためて、このnoteについて
これまでの投稿でも申し上げていますが、このnoteは
自分の中に生まれた疑問についていろいろな人にお話しして考え抜いたら解明でき始めた、という、自分自身を紐解いていくお話、
そこから発展して、生産性の競争が激化する現代において、ホモ・サピエンスとしての「生存戦略」とともに、感情・尊厳を持つヒューマン・ビーイングとして「どのように生きるか」をいかに追求するか、というお話、
そして、これまで歩んできた道とこれから続いていく日々の振り返りや、記録、考察を重ねながら、それを言語化し、これを読んでくださる方に対して具体的にどんな価値を提供できるか、を探究するお話、
これらを書き連ねていく物語(厳密にいうとナラティブ※)になってきています。
※以下の整理です。
✔ 「物語(ストーリー)」= あらかじめ構成された筋書きのある話
✔ 「ナラティブ」= 出来事や経験の意味づけのプロセス(必ずしも筋書きが完成していない)
現在は1on1コーチング、経営・事業戦略領域、組織開発・組織エンゲージメント向上領域、人事制度構築領域、DEI領域、障害者雇用領域、その他社会課題解決領域、教育領域(発達支援領域)などでさまざまな活動をしております。
どんな趣旨でも結構ですので、読んでいただき、なにか感じてくださった方は、下記からお気軽にお声がけいただければ大変嬉しいです。
第7回の記事はこちらです。
