ネオ民藝「雨庭土管」
前の前の土曜日のこと。
「エコパートナーシップうじたわらの活動日だ!」と役場に行ったところ、誰もいなくておろおろ💦
実は、私のうっかりで、開催は一週間後の6月28日だったようです。
28日は、流域探検隊のじゅんさんから誘ってもらった「乳幼児に特化した救命救急の講座」や、亀岡では「森の再生は僕らの再生」のイベントもあったりと、不思議と魅力的なイベントが重なる日でした。
「あぁ、影分身が出来たらなー」と思いつつ、当日そのどれにも行か(け)なかった、ヤギノリです。
・・・というのも、数か月前から申し込んでいた、京都芸術大学 藝術学舎の授業「ネオ民藝の旅 民藝と民具/甲賀・伊賀・信楽」を受講したからです。
訪問先が伊賀や甲賀とはいえ、「忍法うっかり撲滅の術」や「影分身」の伝授はありませんでしたが、おかげさまでとっても充実した学びを得ました。
自らの手でモノやコトや暮らしをつくっておられる方々の、自立した生き方は、忍術以上に刺激的でしたし、先生方や、参加者の方々の視点にハッとされっぱなしの二日間でした。

pekoちゃんと「雨庭土管」
なかでも、2日目にガイドとしてお越しになっていた、
武市智子さん(通称pekoちゃん)との出会いは衝撃的で、運命を感じました。
pekoちゃんは、多方面でご活躍です。
あるときは、特定非営利活動法人 信楽エコビレッジ研究会の代表理事で、
信楽ゲストハウスterimakasih(テレマカシー)の女将さん。
またあるときは、占い師。
またまたあるときは、くらし薬膳プランナー。
またまたまたあるときは、ラジオのパーソナリティ。
などなど・・・。
「ひょっとしたら、くのいちさん??影分身マスターしてはるんちゃう??弟子にして―――!」と思ったヤギノリへの、「やっぱり忍術使いになりたいんやないかい!」というツッコミからは、ドロンしますー(笑)

ネオ民藝の授業の中で、
浴槽などを作っておられる、大物ロクロ師の奥田文悟さんの工房にもうかがいました。
文悟さんも信楽エコビレッジ研究会(通称 エコ研)のメンバーさんとのことで、工房では、エコ研さんで開発された「雨庭土管(あまにわどかん)」も拝見しました。

写真をご覧になり、
「これって蓋つきの傘立て?」
「でも、傘立てに蓋って要る?」
「底もないし、傘入れたら床がびちょびちょになるやん」
と、思われた読者さん!

「これはいったい何?どう使うの??」
という質問にお答えするためには、
まず、水の流れについての説明が必要ですので、
しばしお付き合いください。
水の流れについて

通常、
山に降った雨は、山に浸みこみます。
山は、スポンジのように水を含んで、
晴れているときに、少しずつ川や地下の水脈に水を流していきます。
平野に降った雨は、大地に浸みこみます。
地下に潜った水は、じわじわと低いほうに流れていき
水脈や川と合流し、海へと流れていきます。
ところが近年は、
手入れのされていない山が増えました。
手入れがされていない森には光が入らず、
下層植生も育たないので、
土がかたくなり、
表面がふわふわでないスポンジは、
雨水を含みにくくなります。
すると、降った雨は一気に川に流れてしまいます。
平地も開発され、
表面をコンクリートで覆われているところが増えました。
すると、
雨水はほとんどしみこまず、
一気に下流域に流れていってしまいます。
人間の都合よく、ほどよい加減で雨が降ってくれるなら、
それでもあまり困らないでしょう。
しかし昨今、気候変動は進み、
線状降水帯が発生し、局地的なゲリラ豪雨が降ることも増えました。
水を受け止めてくれない大地に降る大雨は、
下流域に向かって、ドバっと流れます。
手入れされていない山に置き去りの丸太が
豪雨と共に下流域に流れていくこともあります。
洪水による被害は、このようなことも原因の一つとして起こっています。。。
「防災のため、今、自分にできることは何だろう?」
そう考えて、わたしは「流域探検隊うじたわら」やアルモンデザインの活動をはじめました。
pekoちゃんや文悟さんは、さらに具体的に、雨水をできるだけ大地に浸みこませる方法について考え、動いておられました。
雨水を大地に誘導する「雨庭土管」は、「大地の再生」の矢野智徳さんや、水環境と海底湧水研究家の新井章吾さんらの影響を受けながら開発されたとのことです。(新井さんは監修も)

「雨庭土管」の使い方
さてさて、使い方についてですが・・・
pekoちゃんのゲストハウス「テレマカシー」さんのお庭で、実際に使われている様子を、ネオ民藝の放課後タイムに見せていただくことにしました。

ネオ民藝受講生仲間とテレマカシーさんに向かうの図
信楽高原鉄道 信楽駅から歩くこと数分で到着!

こちら、空き家をゲストハウスとして活用されているのですが、
「なんだか、初めて来たのに懐かしいなー」と感じるような空間でした。

「ここにあるものは、ほとんどドネーション(寄付)してもらったもの」
という、あったか空間で、pekoちゃんは手作りの梅ジュースなどもふるまって、私たちを歓迎してくださいました。

お庭を見せてもらうと・・・
ありました!雨庭土管!
50cmくらい穴を掘って、
釉薬がついている部分だけ外に出し
地中に埋めてあります。
中に入っているのは、
炭、石、れんが、瓦礫、割れた陶器、藁など。
これらをミルフィーユのように重ねて、雨水を濾過しながら、
地下の水脈につなげていくのだそうです。
設置場所にも工夫があって、


テレマカシーさんのお庭の場合は、
雨どいから、植木や川の方向にお水を流すような導線で設置し、効果的に水を誘導されていました。

人にもやさしいデザイン
いま、
「雨庭土管を使わんでも、穴を掘ってそこに炭、石、れんが、瓦礫、割れた陶器、藁などを入れといたらええんとちゃうん?」
・・・という声が、聞こえたような気がしました。
もちろん、それでも地中に水を届けることはできます。
ただ、その穴に落ちたりつまづいたりする危険があるので、
雨庭土管を使うことで、穴があることの目印にもなり、危険を防げます。
また、中に入っているものをメンテナンスする際には、
雨庭土管を取り出して、中を入れ替えることもしやすくなります。
テレマカシーさんでは蓋は使われていませんでしたが、
蓋を使用すると、うっかり穴に落ちることをさらに防げます。
(物理的忍法「うっかりドボン予防の術」)
「人間にもやさしいデザイン。」
と、pekoちゃんはおっしゃっていました。

まとめ
「ネオ民藝」の「ネオ」には、「新しい」という意味があります。
また、
「民藝」という言葉は、100年ほど前に「民藝運動」を行った
柳宗悦さんらが作ったものです。
わたしは、「民藝」のカウンターカルチャー性に惹かれているのですが、その文脈で語っても、
「雨庭土管」は、めっちゃネオ民藝!と思います。
「ネオ民藝」という言葉を作られた、
松井利夫 先生には未確認ですが。。。
(2025年7月3日追記)
松井先生にこの記事を読んでいただいたところ
このようなお言葉をいただきました。
「雨庭土管
みんなが使えば
ネオ民藝
ヤギノリコ」
民藝は日用品であるという大事な視点を、
洒落た句で示してくださった
松井先生に感謝です✨
いつか、
「雨庭土管が、めっちゃネオ民藝!」となることを、
ヤギノリコは、願っています。
さてさて。
「雨庭土管」がほしい!とか、もっと詳しく知りたい!
信楽ゲストハウスterimakasih(テレマカシー)に泊まってみたい!
と思われた方は、
pekoちゃん(武市智子さん)まで直接ご連絡ください。
↓のページの最後に、pekoちゃんのご連絡先が書いてあります。
以上。
宇治川流域の上流域、瀬田川流域でのステキな取り組みに出会えて、
心が躍っているヤギノリでした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
