MANNAとMANA~2つのマナ~
10月16日は世界食糧デーです。
『旧約聖書』に伝わる神様が天から降らせる奇跡の食べ物は【マナ】あるいは【マンナ】と呼ばれ、英語では【Manna】、日本語の漢字表記では【満那】と表記され“天食”という訳語も考案されてます。
天から授かった食糧のマナはアラム語で“これは何ですか”を意味する【מָן הוּא】[マーン・フー]に由来します。
オセアニアに伝わる超自然的な力や神秘的な魔力はマオリ語などで【マナ】と呼称され、英語では【Mana】と表記されます。
魔力の源としてのマナの概念はスクウェア・エニックスのゲーム『聖剣伝説』シリーズにも取り入れられ、テレビ東京系アニメ『とんでもスキルで異世界放浪メシ2』では、主人公が異世界に〈ネットスーパー〉の魔法で現実世界の日本に存在する実在の食材を取り入れる設定が、天の恵みの食物の“Manna”と超魔力の“Mana”と、双方の〈マナ〉の概念を取り入れています。
〈Manna〉と〈Mana〉はいずれも神秘の力によるもので、仮名文字では【マナ】と表記されることが興味深いです。
〈Manna〉は“神様から与えられた食糧”の意味から転じて、英語では“恩恵”や“棚ぼた”を意味し、〈Mana〉は“八百万の神々や精霊が宿る超自然の力”の意味から転じて、英語では“権威”を意味しています。
東アジアの表語文字である漢字は中世日本語では【真名】あるいは【真字】と呼称され、どちらも〈マナ〉と読まれることから、表語文字であることも相まって“言霊”が宿っている要素があるようです。
今回はいろいろな言語でマンナとマナを取り上げます。
いろいろな言語でMANNAとMANA
伝説の食物の方を〈マンナ〉、魔力の方を〈マナ〉としています。
【マンナ〈Manna〉―マナ〈Mana〉】ほとんどのラテン文字使用言語
【マンナ〈Manna / 𐑥𐑨𐑯𐑩〉―マナ〈Mana / 𐑥𐑭𐑯𐑩〉】イギリス英 - 前者はマナ[ˈmæ.nə], 後者はマーナ[ˈmɑː.nə]と発音されるが、後者も前者の発音となる場合がある。
【マンナ〈Manna / 𐐣𐐰𐑌𐐲〉―マナ〈Mana / 𐐣𐐪𐑌𐐲〉】アメリカ英 - 前者はマナ[ˈmæ.nə], 後者はマーナ[ˈmɑː.nə]と発音されるが、後者も前者の発音となる場合がある。
【マンナ〈Manne〉―マナ〈Mana〉】フランス
【マンナ〈Maná〉―マナ〈Mana〉】ポルトガル
【マンナ〈Maná〉―マナ〈Mána〉】リンガラ
【マンナ〈Mană〉―マナ〈Mana〉】ルーマニア
【マンナ〈Mană / Манэ〉―マナ〈Mana / Мана〉】モルドバ
【マンナ〈Mannà〉―マナ〈Manà〉】カタロニア
【マンナ〈Mâne〉―マナ〈Mâna〉】サンゴ
【マンナ〈Majnaj / Maзnaз / 吗哪〉―マナ〈Majna / Maзna / 玛那〉】チワン
【マンナ〈Μάννα〉―マナ〈Μάνα〉】ギリシャ
【マンナ〈Манна〉―マナ〈Мана〉】ほとんどのキリル文字使用言語
【マンナ〈Մանանա〉―マナ〈Մանա〉】アルメニア
【マンナ〈מן〉―マナ〈מאנה〉】ラディノ
【マンナ〈מן〉―マナ〈מאַנאַ〉】イディッシュ - マンナの〈מן〉はヘブライ語由来の単語であるため、ヘブライ語と同一の綴りで表記され、固有語で“男性”を意味する〈מאַן〉[マン]と同一発音となる。
【マンナ〈מָן , מן〉―マナ〈מאנה〉】ヘブライ
【マンナ〈منّ〉―マナ〈مانا〉】アラビア
【マンナ〈ܡܢܢܐ〉―マナ〈ܡܐܢܐ〉】アッシリア現代アラム、シリア
【マンナ〈मन्न〉―マナ〈माना〉】ネパール
【マンナ〈मान्ना / 𑘦𑘰𑘡𑘿𑘡𑘰〉―マナ〈माना / 𑘦𑘰𑘡𑘰〉】マラーティー
【マンナ〈मैना〉―マナ〈माना〉】ヒンディー
【マンナ〈মান্না〉―マナ〈মানা〉】ベンガル
【マンナ〈ਮੰਨਾ〉―マナ〈ਮਾਨਾ〉】パンジャブ
【マンナ〈માન્ના〉―マナ〈માના〉】グジャラート
【マンナ〈ମାନ୍ନା〉―マナ〈ମାନା〉】オリヤー
【マンナ〈மன்னா〉―マナ〈மணா〉】タミル
【マンナ〈മന്ന , മന്നാ〉―マナ〈മാനാ〉】マラヤラム
【マンナ〈မန္န〉―マナ〈မာနာ〉】ビルマ
【マンナ〈မန္န / Manna〉―マナ〈မာနာ / Mānā〉】パーリ
【マンナ〈𑄟𑄚𑄳𑄚〉―マナ〈𑄟𑄚〉】チャクマ
【マンナ〈มานนา〉―マナ〈มานา〉】タイ
【マンナ〈ມັນນາ〉―マナ〈ມານາ〉】ラオ
【マンナ〈ꦩꦤ꧀ꦤ / Manna〉―マナ〈ꦩꦤ / Mana〉】ジャワ
【マンナ〈ᬫᬦ᭄ᬦ / Manna〉―マナ〈ᬫᬦ / Mana〉】バリ
【マンナ〈ᮙᮔ᮪ᮔ / Manna〉―マナ〈ᮙᮔ / Mana〉】スンダ
【マンナ〈𑻥𑻨 / ᨆᨛᨊ / Manna〉―マナ〈𑻥𑻨 / ᨆᨊ / Mana〉】マカッサル - マカッサル文字表記ではマンナとマナの区別はされない。ブギス文字表記の場合、撥音の“ン”を含む綴りは母音記号が省略される場合がある。
【マンナ〈ꤸꥐꤵ〉―マナ〈ꤸꤵ〉】ルジャン
【マンナ〈ᯔᯉ᯲ᯉ〉―マナ〈ᯔᯉ〉】トバ・バタク、ダイリ・バタク
【マンナ〈ᯔᯉ᯳ᯉ〉―マナ〈ᯔᯉ〉】カロ・バタク
【マンナ〈ᯔᯊ᯲ᯊ〉―マナ〈ᯔᯊ〉】マンダイリン、アンコラ
【マンナ〈ᯕᯉ᯳ᯉ〉―マナ〈ᯕᯉ〉】シマルングン
【マンナ〈嗎哪 / 吗哪 / Mǎnǎ〉―マナ〈瑪那 / 玛那 / Mǎnà〉】中国
【マンナ〈嗎哪 / ㄇㄚˇㄋㄚˇ〉―マナ〈瑪那 / ㄇㄚˋㄋㄚˇ〉】台湾華
【マンナ〈嗎哪 / Maa⁵naa⁴〉―マナ〈瑪那 / Maa⁵naa⁵〉】広東
【マンナ〈瑪納 / Má-la̍p〉―マナ〈瑪那 / Má-nā〉】台湾
【マンナ〈嗎哪 / 吗哪 / Má-ná〉―マナ〈瑪那 / 玛那 / Má-nā〉】アモイ
【マンナ〈嗎哪 / Mâ-nâ〉―マナ〈瑪那 / Mâ-na〉】客家
【マンナ〈嗎哪 / Mā-nā〉―マナ〈瑪那 / Mā-nā〉】閩東
【マンナ〈吗哪 / Mána〉―マナ〈瑪那 / Mána〉】上海
【マンナ〈만나〉―マナ〈마나〉】韓国、チアチア
【マンナ〈𓏠𓈖𓏌𓏲𓆰 / Mnn〉】エジプト
【マンナ〈መና〉―マナ〈ማና〉】アムハラ
【マンナ〈𖫔𖫧𖫰𖫐𖫐𖫧𖫱𖫐 / Mánà〉―マナ〈𖫔𖫧𖫲𖫐𖫐𖫧𖫲𖫐 / Mana〉】バサ - 後者は本来“祝福”の意。
マンナ[manna]とマナ[mana]が同一の綴り
言語によっては撥音=重子音が表記されないことから、マンナ[manna]とマナ[mana]が同一の綴りとなる言語があります。
【Mana】チェコ、セルビア・クロアチア、ボスニア
【Manao】エスペラント - 固有語である“手”の〈Mano〉[マーノ]と区別するためマナーオと発音。
【Maná】スペイン
【Мана】セルビア、ボスニア、マケドニア
【مانا】ボスニア
【ម៉ាណា】クメール
【ມານາ】ラオ
【ᨆᨊ】ブギス
【ᜋᜈ / Mana】タガログ/フィリピノ
【ᜫᜨ】ハヌノオ
【ᝋᝈ】ブヒッド
【ᝫᝨ】タグバヌワ
