アニメの感想 - 天幕のジャードゥーガル 第 3 幕「消しえぬ炎」

遊牧民 (モンゴル帝国) の襲撃によって、国土を追われたばかりか、仕える主人も、奴隷としてともに働いていた仲間もすべて失ったシタラ。

絶望の淵に立つシタラを救ったのは、遊牧民の将軍トルイの通訳であるシラからの、「あの本を取り戻さないか」という一言だった。

自身を支えるものの多くをいちどきに失い、絶望から抜け出せずにいるシタラ。シラからの申し出に懐疑的なシタラだったが、トルイやその妃がいかに軽く薄く淡い考えと思いでファーティマの写本を奪ったことを知り、これまでにない感情がその身を支配し、生き延びる決意を新たにする。

どうしようもない絶望から、ほんの一歩踏み出す力を与えたのは「希望」やその端緒ですらなく、「怒り」「恨み」「報復心」などの感情であった。

そして、第 1 幕の冒頭で彼女が自覚したとおり、学問によって厳しい状況を乗り切るだけではなく、その先を目指すことを決意したのである。

第 3 幕で、物語の展開とは別に印象的に表されるのは、星空、夜空・・さらに言えば天体である。

遊牧民の襲撃に遭い、一度は自殺さえ決意した奴隷の少女が、身に着いていた教養と知識がゆえに、気づきにくいものに気づき、周囲の誰も理解していないものを、襲撃した相手に ”教える” という、未知の領域に踏み込んでいく。

これほど先が読めそうでまったく読めない、気になって仕方のない物語の展開は、本当の稀有である。

まだ読んでいない、原作マンガの第 2 巻を開くか否か。自分は、そんな苦しくも嬉しい悩みを、いま少しだけ楽しんでいる。


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