誰にも見えない達成感-バックアップ設定のその後
──あれから数日後。
解決した。しかも予想外のところに原因があった。
データがバックアップされてないフォルダを一つ一つ確認した。
しかも、良く使用するメインフォルダは開けたので、さらに階層を掘り下げて、各担当の名前が入っているフォルダまで1つずつ丁寧に開いていく。
一人だけフォルダが、ネットワークエラーで開けない。
この人のフォルダは、バックアップデータが保存されていないフォルダを良く使用している人だ。
--もしかして。
アクセス権が関係してる?
そんな予感が頭を過ぎった。
以前ネットワーク担当していた人の管理していたパソコンが必要なのではないか。
上の人に辞めた人が使用していたパソコンが残っているかを聞いたところ、倉庫に保管してあるという。
後日、そのパソコンを持って来てもらい、繋げてみた。
エラーが出ていたフォルダを一つずつアクセス権をフルコントロールに変更してみる。
エラーが出ずに適用された。
すごくいい感触。
とりあえず2つのフォルダだけアクセス権を変更して、その日は終了。
翌日確認すると。
--データがバックアップされてる!
やっぱりアクセス権なんだ!!
エラーが出ていたフォルダ全てを変更する。
しかし、ここで一つ問題があった。
元のバックアップしていたハードにエラーが出て、バックアップ出来なくなっていた。
上司は、新しい方が出来ているならそれで良いと言う。
しかし、何か納得がいかない。
確かに、元のデータのアクセス権を触ったから、エラーが出てるのは分かる。
それが問題なんだよな。
私は元のバックアップしていたハードの設定を見直した。
ダメ元で、同じことだけれど、バックアップの保存方法を再設定する。
「変更はありませんでした」とメッセージが出たが、きっと新しいデータに更新されてるはず。
そう思いながら、業務を終える。
一日お休み後の仕事の日。
一番にバックアップ設定を確認する。
-ーえ、エラー出てない!!
しかも、新しい方のハードもしっかりバックアップできてる───嬉しい!!!
……と思った。
でも後から分かった。
本当の原因は「アクセス権」だけではなかった。
古いフォルダには、もっと長い時間をかけて積み重なったものが残っていたのだ。
試しに、元データ側で新しくフォルダを作り、その中へ中身だけをコピーしてみた。
後日確認すると、新しく作ったフォルダは問題なくバックアップされていた。
本当に長い道のりだった。
───
今回の作業をしながら、昔、医療用オフコンでバックアップがうまく取れていなくて、データ復旧を泊まり込みでやったことを思い出した。
あの頃はカルテを見ながら手入力で戻していた。
でも今は時代が違う。
データは複雑で、容量も桁違い。
とても手で追える量ではない。
だから、本来、陽の目を見ない方がいいバックアップの大切さは身体に染みついている。
今回、表面上はあたかも「バックアップ成功」のように表示されていても、何となく気になって中身を開いて確認した。
その違和感が、結果的に重要フォルダの異常に気づくきっかけになったと思う。
家に帰ってから、嬉しくて夫に話した。
「NASのネットワーク設定、一人でやったんだよ」の言葉に、
「ネットで見てやったんでしょ?
じゃあ、誰でもできるじゃん。」と言われた。
--そうじゃないんだけどな
と思った。
調べれば順を追ってやり方が出る作業ではなかった。
エラーも出ない。正解も表示されない。
違和感だけを頼りに、一つずつ確認していく作業だった。
一つずつ違和感を見つけて、切り分けて、試して、上手く行くかどうか確認する。
上手く行かなければ、また振り出し。
2歩進んで1歩下がるなら、まだ良い方で、1歩進んで、また戻るときもあった。
でも、たぶんこういう仕事って、評価が見えづらいんだな。
誰とも分かち合えないけれども、それほど落ち込んでない今の自分が、少し誇らしく、そして嬉しい。
今回の作業は、自分の中で静かな自信に繋がったと思う。
