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春のキャンパス、近すぎる距離 1話

新学期の空気は、少しだけ浮ついている。
桜がまだ残るキャンパスで、講義室の窓から入る風がやわらかく頬を撫でた。

「ここ、空いてる?」

隣の席に座ったのは、同じ学部らしい女子だった。
まだ春なのに、挑発的なタンクトップに少しだけゆるい髪。たしかに今日は4月の頭なのに、30度を超えていた。そのいびつさにどこか不思議な魅力があった。

「どうぞ」

ノートを開く音、ペンを走らせる音。
でも気になるのは、講義よりもすぐ隣の存在だった。

ふとした瞬間、彼女がノートをのぞき込んでくる。
距離が近い。
肩が触れそうで、でも触れない。

「字、きれいだね」
小さく囁かれて、思わず息が止まる。

講義が終わるころには、外の桜よりも、隣の存在の方が強く意識に残っていた。

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