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社会心理学:第3回 対人知覚と帰属理論 — 原因の追究と推論のバイアス

社会心理学:第3回 対人知覚と帰属理論 — 原因の追究と推論のバイアス


1. はじめに:他者の「謎めいた行動」を前にしたとき

前回の講義では、人間の脳がいかにエネルギーを節約しながら社会情報を処理しているか、すなわち「認知のケチ(コグニティブ・マイザー)」としての情報処理戦略(スキーマやヒューリスティック)を詳しく学びました。

今回は、その社会的認知の仕組みが「具体的な他者の内面や行動の原因」に向かうプロセス、すなわち「対人知覚(Person Perception)」「帰属理論(Attribution Theory)」について深く掘り下げていきます。

日常の生活の中で、私たちは絶えず周囲の人々の「印象」を形成し、彼らの行動の「理由」を推測しながら生きています。ここで、皆さんに1つの具体的なシチュエーションを想像していただきましょう。

日常の思考実験:約束の場所に遅れてきた友人 あなたが大学の友人 A 君と、ある日の正午に駅の改札前で待ち合わせをしていたとします。しかし、約束の時間を15分過ぎても A 君は現れず、連絡もありません。結局、20分遅れで走ってやってきた A 君は、息を切らしながら「ごめん!」と一言だけ言いました。

このとき、あなたの心の中にはどのような感情や推測が浮かぶでしょうか。ある人はこう思うかもしれません。「A 君はいつもだらしないし、時間を守る気がない、ルーズな性格の人間なんだ」また別の人はこう思うかもしれません。「いつもは時間を守る A 君が遅れるなんて、電車の遅延に巻き込まれたか、何か急なトラブルがあったに違いない」

この思考実験において、私たちが無意識に行っていることこそが「帰属(Attribution)」です。すなわち、「目に見える他者の行動(遅刻したという事実)に対して、その背後にある目に見えない原因(性格なのか、それとも状況のせいなのか)を突き止めようとする心理プロセス」です。

他者がどのような人間であるかを判断する「印象形成」のメカニズムと、その人がなぜそのような行動をとったのかを推論する「帰属」のロジック。これらは、私たちが良好な人間関係を築く上での基礎となる一方で、脳のショートカット(システム1)によって極めて強力な「推論のバイアス(偏り)」を生み出す温床でもあります。

なぜ私たちは他者を誤解してしまうのか、どのようにしてステレオタイプや偏見の基礎となる「歪んだ印象」が完成するのか。実証的な古典実験の数々を交えながら、圧倒的なボリュームでその深部を解明していきましょう。

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