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社会心理学:第1回 社会心理学とは何か — 社会的動物としての人間の探求

社会心理学:第1回 社会心理学とは何か — 社会的動物としての人間の探求


1. はじめに:なぜ私たちは「他者の存在」に揺さぶられるのか

私たちは、朝起きてから夜眠りにつくまで、完全に他者と無関係に生きることはまずありません。たとえ一人の部屋にいたとしても、スマートフォンの画面越しに他者の動向を気にしたり、明日会う人の前で自分がどう振る舞うべきかを考えたりしています。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「人間は社会的動物である」という言葉を残しましたが、これは単に「人間は集団を作って暮らす」という意味にとどまりません。私たちの思考、感情、そして行動の隅々までが、「他者の存在」によって決定的な影響を受けているという事実を指しています。

では、ここで皆さんに1つの問いを投げかけてみましょう。

日常の思考実験:誰も見ていないときのあなた、見られているときのあなた

あなたが散らかった部屋の片付けや、面倒な課題のレポートを作成しているとします。自宅で完全に1人で作業しているとき、つい集中が切れてスマートフォンを触ったり、ベッドに横たわったりしてしまうことはないでしょうか。しかし、同じ作業を「静まり返った大学の図書館」や「適度な雑音があり、周囲の人が皆作業に没頭しているカフェ」で行うと、なぜかいつもより集中が長続きし、作業がはかどるという経験をしたことはありませんか?

周囲にいる人は、あなたの友人でもなければ、あなたの作業を監視しているわけでもありません。ただ「そこに他者が存在している」というだけです。にもかかわらず、なぜ私たちの作業効率や心理状態はこれほどまでに変化してしまうのでしょうか。

このように、「他者の実際の存在、あるいは想像上の存在が、個人の思考、感情、行動にどのような影響を及ぼすか」を科学的に解明する学問、それこそが本講義で扱う「社会心理学(Social Psychology)」です。

第1回となる本日の講義では、社会心理学の基本的な定義を明確にした上で、この学問がどのような問題意識から誕生したのかという歴史的ルーツ、そして「人間のあやふやな心理」を客観的に測定するための科学的な研究方法について、徹底的に解説していきます。私たちが日常で無意識に行っている「他者との関わり」の裏に潜む、驚くべき心のメカニズムを紐解く旅を始めましょう。

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