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社会心理学:第13回 ステレオタイプ・偏見・差別 — 歪んだ社会的カテゴリ化

社会心理学:第13回 ステレオタイプ・偏見・差別 — 歪んだ社会的カテゴリ化


1. はじめに:私たちはなぜ主観的な「ラベル」で人を括るのか

前回の講義では、人間の抱く最も暗い影の領域である「攻撃行動」について学びました。ドラードらの欲求不満・攻撃仮説や、バーコウィッツによる武器効果の検証、そしてバンデューラがボボ人形実験で証明した「社会的学習(モデリング)」や「脱感作」のプロセスを通し、暴力がいかに環境や学習によって引き起こされるかを解剖したはずです。

【第4部:対人行動の光と影 — 援助と攻撃、ステレオタイプ】の最終章となる第13回のテーマは、攻撃行動とも深く結びつき、人類の歴史において絶えず深刻な分断や対立を生み出し続けている社会病理――「ステレオタイプ(固定観念)」「偏見(感情的歪み)」「差別(行動的排除)」のメカニズムです。

私たちは日常、初めて会う人や異なる属性の集団に対して、「あの人は〇〇だからこういう性格に違いない」といった判断を無意識のうちに下しています。ここで、皆さんに1つの具体的なシチュエーションを想像していただきましょう。

日常の思考実験:すれ違う人々の「心のラベル」 あなたが、大都会の駅のホームを歩いているとします。あなたの前方から、以下の3人の人物が歩いてきました。

全身に鮮やかなタトゥーを入れ、派手な革ジャンを着た体格の良い男性仕立ての良い高級なスーツを完璧に着こなし、アタッシュケースを持った初老の男性特定の国や地域の伝統的な民族衣装を身に纏い、熱心にスマートフォンを見ている外国人あなたは彼らとまだ一言も言葉を交わしていませんし、彼らの本当の職業や性格、過去の経歴についても何一つ具体的なデータを持っていません。にもかかわらず、彼らを目にした瞬間、あなたの心の中に「この人は少し怖そうだ」「この人は社会的地位が高く、理性的だろう」「この人は文化や話が通じないかもしれない」といった、自動的な評価や警戒心が呼び起こされなかったでしょうか。

個々の人間は、それぞれ全く異なる人生のストーリーを持つ「唯一無二の個人」です。しかし、私たちの脳は、他者に出会った瞬間にその人を個別に分析することをサボり、性別、人種、職業、年齢、外見といった目立つ属性によって、瞬時に「特定の引き出し(カテゴリ)」へと放り込んでしまいます。

なぜ私たちは、これほどまでに人をラベルで一括りにしたがるのでしょうか。それは、人間がどれほど理性的であろうとしても、脳の構造そのものが「認知のケチ(コグニティブ・マイザー)」として作動しており、世界を効率よく整理するためのシステムがバグを起こしているからです。

本日は、認知・感情・行動の3つの側面からなる分断の定義、脳が行う情報のフォルダ分けである「社会的カテゴリ化」、そして身内を不当に優遇する心理を暴いた「最小条件集団実験(内集団ひいき)」のからくりについて、徹底的に解剖していきます。

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