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社会心理学:第10回 リーダーシップ — 集団を導く力とフォロワーシップ

社会心理学:第10回 リーダーシップ — 集団を導く力とフォロワーシップ


1. はじめに:私たちはどのようなリーダーについていきたいと思うのか

前回の講義では、集団の話し合いが陥るダークサイド――「集団極化」や「集団思考(グループ・シンク)」について学びました。優秀な人間が集まったはずの組織が、閉鎖的な空間のなかで「満場一致のムード」を優先させるあまり、単独の人間では絶対にあり得ないような壊滅的な愚行へ熱狂的に突き進んでしまうメカニズムを解剖したはずです。

【第3部:集団における人間の心理と行動】の締めくくりとなる第10回のテーマは、集団が機能不全に陥るのを防ぎ、共通の目標へと統率していくためのコア領域――「リーダーシップ(Leadership)」「フォロワーシップ(Followership)」の心理です。

社会のあらゆる場所に、リーダーと呼ばれる人物が存在します。企業のCEO、プロジェクトのマネージャー、学校の部活動の部長、あるいはゼミのグループワークのまとめ役。私たちは日常的に、誰かのリーダーシップの下で活動し、あるいは自分自身がリーダーシップを発揮することを求められます。

ここで、皆さんに1つの素朴な日常の問いを投げかけてみましょう。

日常の思考実験:あなたが「理想」とするリーダーの姿 これまでの人生(学校、職場、サークルなど)を振り返り、あなたが「この人の下でなら、喜んで力を尽くしたい」と本気で思えた優れたリーダーの顔を思い浮かべてみてください。 その人は、どのような特徴を持っていたでしょうか。

「カリスマ的なオーラがあり、圧倒的な決断力で進むべき道を指し示してくれた」「誰に対しても気さくで優しく、メンバーの悩みや人間関係に常に気を配ってくれた」「普段は寡黙だが、実務の処理能力が誰よりも高く、背中で引っ張ってくれた」様々なタイプが浮かぶはずです。では、さらに状況を絞ってみましょう。そのリーダーは、組織が「平穏で順調なとき」と、「大トラブルが発生して崩壊寸前のとき」で、全く同じ態度で振る舞っていたでしょうか。また、従うメンバーが「やる気満々のプロフェッショナル」のときと、「右も左もわからない新人」のときで、全く同じ指示の出し方をしていたでしょうか。

多くの人は、リーダーシップを「生まれ持った特別な才能(カリスマ性)」や「特定の素晴らしい性格」の所有物として語りたがります。しかし、社会心理学が100年以上にわたる広範な実証研究によって明らかにしたのは、「いかなる状況、いかなる集団でも100%完璧に機能する万能のリーダー像(資質)など存在しない」という冷徹な現実でした。

リーダーシップとは、固定的な「人物の性格」ではなく、「リーダーの行動」「フォロワー(部下)の特性」「組織が直面している状況」の3つが複雑に絡み合うことで成立する、ダイナミックな相互作用のプロセスです。

本日は、優れたリーダーの遺伝子を探ろうとした「特性論」の限界、リーダーの具体的な振る舞いをパターン化した「行動論(PM理論)」、状況に応じて最適なスタイルを切り替える「状況適応理論(コンティンジェンシー・モデル)」、そして現代の組織心理学の主流である「変革型リーダーシップ」とリーダーを支える「フォロワーシップ」について、徹底的に解剖していきます。

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