誰も知らない、船乗りの学校の話。お金編
誰も知らない、船乗りの学校の話。お金編
「専門学校って、お金かかるんでしょ?」
船乗りの学校に行くと話すと、だいたいこう返ってくる。
わかる。僕も、そう思っていた。
でも実際に調べてみると、その常識は、あっさり裏切られた。
僕が通ったのは、国立清水海上技術短期大学校。 静岡にある、独立行政法人が運営する2年制の学校だ。 内航船員を育てるための、国の教育機関。
同じような学校は、全国に数えるほどしかない。
知名度は、ほぼゼロ。 でも中身は、本物だ。
そして何より——安い。
まず、2年間でいくらかかったか。
入学金、授業料、教材費、食費、寮費。 学校生活にかかるものを、ほぼ全部ひっくるめて、約150万円だった。
内訳は、だいたいこうなる。
入学金:50,000円 授業料:166,800円 × 2年 = 333,600円 学資金(実習費・教材費など):2年で約72万円 食費(1年目):約37万円 寮費:2年で約12,000円
実はこの学校、授業料より学資金の方が高い。 実習や教材にかかる費用がここに含まれていて、船を扱う学校ならではの出費だ。
それでも全部足して、150万円に収まる。
ここまでで「国立大学より安いじゃん」と思うかもしれない。 でも、それだけなら、まだ序の口だ。
この学校の本当の強さは、金額じゃない。 時間にある。
大学に行けば、4年かかる。 この学校は、2年だ。
同い年が大学に入学した年、僕は船乗りの学校に入った。 そして同い年がまだ大学3年生をやっている頃には、僕はもう卒業して、船の上で給料をもらっていた。
学費が半分で済むだけじゃない。 残りの2年で、働いて、稼げる。
この差は、金額だけ比べていても見えてこない。
そして、お金の話で一番おもしろいポイントがある。
食費だ。
さっき「1年目の食費は約37万円」と書いた。 寮で3食出て、この値段。それだけでも十分安い。
でも、注目すべきは2年目だ。
2年目は、7ヶ月間も実際の船に乗る。 そしてこの乗船期間中、食費が一切かからない。
理由がある。 船員には船員法という法律があって、その中に「食費は船主が負担する」という規定があるのだ。 乗船実習中の学生にも、これが適用される。
学生なのに、法律で食事代がタダになる。 そんな学校、なかなかないと思う。
整理しよう。
入学金、授業料、学資金、食費、寮費。 生活にかかるものをほぼ全部含めて、2年間で約150万円。
同い年が大学に入学した年、僕は船乗りの道を歩き始めた。 そして同い年が大学を卒業する年には、僕はすでに2年、海で働いていた。
期間も、費用も、普通のルートとは、まるで違う。
しかも、だ。
この学校で取れる資格を持って船に乗ると、何が起きるか。
国土交通省の統計によれば、内航船員の平均的な年収は、600万円を超えるとされている。 ちなみに僕自身、新卒の初任給で、年収520万円だった。
さらに、乗船中は家賃も光熱費もかからない。 食費もかからない。 学生のときと同じで、船員法で食費は船主が負担すると決まっているからだ。
つまり、稼いだお金が、そのまま手元に残っていく。
安く資格を取って、しっかり稼げて、支出が少ない。 こうして並べると、まるで夢みたいな職業に見えてくる。
——もちろん、いいことばかりじゃない。 その話は、いずれ「船乗りの現実」という記事で、きちんと書くつもりだ。
そして、肝心の「資格」の話を、まだしていない。
次の記事では、この学校でどんな資格が取れるのかを書いていく。 これがまた、知れば知るほど驚く内容なのだ。
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ーーあとがきーー
2本目も読んでいただき、ありがとうございます!
お金のことが一番気になると思うので、書かせていただきました。実際、自分はバイト+奨学金で通えたので、けっこうリーズナブルだったと思います。
もちろん、支払いは大変でしたけどね笑
でも船乗りの給料なら、奨学金を返すのも簡単かな〜っと!実は、組合に入ると返済の一部が免除される制度もあるんですよ。
次回は資格の話です。お楽しみに〜⚓️
