見出し画像

デジタル遺言(保管証書遺言)、施行までに知っておくこと

「スマホで遺言」の時代が、正式に決まった

以前のコラムで速報的にお伝えした「デジタル遺言」。2026年6月17日に改正民法が成立し、正式に創設が決まりました。

正式名称は、保管証書遺言。パソコンやスマートフォンで作成した遺言を、法務局のシステムに保管できる、まったく新しい遺言の方式です。

「手書きで全文を書くのは大変」「公証役場はハードルが高い」——そんな理由で遺言を先延ばしにしてきた方にとって、大きな追い風になる制度です。今回は、施行までに知っておきたいポイントを整理します。

まず大前提 ― 「まだ使えません」

最初に、いちばん大切な注意からお伝えします。

保管証書遺言は、まだ利用できません。

法律は2026年6月17日に成立し、6月24日に公布されましたが、実際に使えるようになる施行日は「公布から3年を超えない範囲内で政令で定める日」とされています。法務局側のシステム整備が必要なため、最長で3年後(2029年頃まで)の施行となる見込みです。

つまり、今の時点で「パソコンで作った遺言」「スマホのメモの遺言」は、従来どおり無効です。施行までは、現行の自筆証書遺言(法務局保管制度が利用可能)か、公正証書遺言で備えるのが正解です。

保管証書遺言とは ― 現行制度との違い

新制度の位置づけを、現行の2方式と比べて整理します。

現行制度と新制度の違いについて

ひと言でいえば、「自筆のハードル(全文手書き)をなくし、公的機関のチェックで信頼性を担保する」方式です。公正証書遺言のような証人2人も不要とされており、手軽さと確実性のバランスを狙った設計になっています。

なお、2025年10月から始まっている公正証書遺言のデジタル化(ウェブ会議での作成など)は、既存制度の手続きをデジタル化したもの。保管証書遺言は、デジタルを前提とした新しい方式そのものという点で、別物です。混同にご注意ください。

遺言デジタル化の違いについて

作成の流れ ― 「口述」が鍵になる

法律案の要綱に基づく、おおまかな流れは次のとおりです(細部は今後の政省令で決まります)。

  • パソコンやスマートフォンなどで遺言の内容を作成する

  • 法務局(遺言書保管官)に対して手続きを行い、本人確認を受ける

  • 遺言の内容を口述する

  • 遺言書保管官が確認のうえ、システムに保管される

注目したいのが、口述が単なる本人確認ではなく、遺言成立の方式要件とされている点です。つまり「内容を自分の口で述べること」が、この遺言の成立に必要な手続きなのです。

話すことが難しい方への配慮もあり、通訳人による申述や自書(筆談)で代えられるほか、財産目録が含まれる場合には、保管官が目録を閲覧させる措置をとれば目録部分の口述を省略できる特則も設けられています。財産の多い方には、実務的にありがたい設計です。

あわせて変わる ― 「押印」の廃止

今回の改正では、保管証書遺言の創設以外にも、既存の遺言制度の見直しが盛り込まれています。特に大きいのが、押印要件の廃止です。

自筆証書遺言などについて、遺言者・証人・立会人の押印が不要になる方向で、こちらは公布から1年以内の施行とされています。つまり、押印廃止のほうが先に施行される見込みです。

「ハンコを押し忘れて無効」という、これまで実際にあった悲劇が、近い将来なくなる——地味ですが、実務上は大きな前進です。

施行までの「今」、どう備えるか

「新制度を待ってから遺言を作ろう」——そう考えたくなりますが、私はおすすめしません。理由は明快です。

  • 施行は最長3年後。その間に、認知症や万一のことが起きれば、遺言を作る機会そのものが失われる

  • 遺言は、いつでも書き直せる。今の制度で作っておき、新制度の施行後に必要なら作り直せばよい

ですから、備え方はこうなります。

遺言は「一度作ったら終わり」ではなく、状況に合わせて更新していくもの。今の制度で第一版を作り、デジタル遺言の施行後に第二版へ——この二段構えが、最も安全な進め方です。

「書きやすくなる」からこそ、中身の設計が問われる

デジタル遺言(保管証書遺言)のポイントを整理します。

  • 2026年6月成立。ただし施行は公布から3年以内で、まだ使えない

  • パソコン・スマホで作成し、法務局が本人確認・保管。口述が方式要件

  • 押印廃止は先行して、公布から1年以内に施行見込み

  • 施行を待たず、今の制度で遺言を作っておくのが正解

作成のハードルが下がることは、素晴らしい変化です。ただし、遺言の価値は「どう書くか」ではなく「何を書くか」で決まります。誰に、何を、なぜ遺すのか。遺留分や二次相続への配慮はあるか——中身の設計の重要性は、デジタルになっても変わりません。

制度の最新動向を追いかけながら、我が家に合った遺言の中身づくりを、一緒に進めていきましょう。

──────────────

【公式LINEで無料相談を受け付けています】

宮崎ひなた相続相談室では、公式LINEから無料相談を承っています。

・遺言書の作り方・見直しのご相談 ・財産目録づくりと遺言の中身の設計 ・実家や空き家、土地活用のご相談

友だち追加後、メニューの「無料相談」からお気軽にどうぞ。あなたのご家族の未来を守るお手伝いをいたします。

▶ 公式LINEの友だち追加はこちら https://lin.ee/qcC7254

▶ サービス内容・料金の詳細はWebサイトへ https://hinata-souzoku-lab.com/

──────────────

※保管証書遺言の具体的な手続き・要件は、今後の政省令で定められます。施行時期は政令で決定されるため、最新情報は法務省の公表をご確認ください。遺言書の作成は専門家にご相談ください。

#相続 #デジタル遺言 #保管証書遺言 #民法改正 #遺言書 #法務局 #2026年改正 #終活 #自筆証書遺言 #宮崎相続

いいなと思ったら応援しよう!