【保存版】相続の全体像がわかる、時系列チェックリスト
相続は「時系列」で捉えると、迷わない
これまで60回にわたり、相続のさまざまなテーマをお届けしてきました。制度も手続きも多岐にわたりますが、実はすべて、一本の時間軸の上に並べることができます。
生前 → 相続発生 → 3ヶ月 → 4ヶ月 → 10ヶ月 → その後。
この時間軸のどこで、何をすべきか——それさえ分かれば、相続は「訳の分からない怖いもの」から、「順番に進めれば大丈夫なもの」に変わります。
今回は保存版として、相続の全体像を時系列チェックリストにまとめました。ブックマークしておき、必要なときに見返してください。
第0章 ― 生前(いちばん大切な時期)
相続対策の主戦場は、実は亡くなる前です。元気なうちにしかできないことが、これだけあります。
現状を知る
財産目録を作る(不動産・預貯金・保険・有価証券・負債・デジタル資産)
法定相続人が誰かを確認する
相続税の概算を試算する(基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人)
不動産の名義を確認する(先代のままなら相続登記を。義務化済み)
想いを聞き、遺す
親の想い(誰に何を、なぜ)を聞いておく
遺言書を作成する(自筆なら法務局保管制度、確実性なら公正証書)
遺言執行者と予備の受遺者を指定しておく
エンディングノートに、口座・契約・パスワードの所在を記す
争いと凍結に備える
共有名義を作らない・解消しておく
認知症に備える(家族信託・任意後見・銀行の予約型代理人)
納税資金を準備する(生命保険の非課税枠:500万円×法定相続人)
生前贈与を計画的に(暦年110万円・7年加算・正しい贈与の形)
空き家・農地・山林の出口と境界を、親と一緒に確認しておく
お墓・仏壇は生前に購入(非課税財産)
第1章 ― 相続発生〜おおむね14日
悲しみの中でも、期限のある手続きが動き出します。
死亡診断書を受け取る(コピーを複数)
死亡届の提出(7日以内。死亡地・本籍地・届出人所在地のいずれかの役所)
火葬許可申請、葬儀の手配(領収書・お布施のメモを保管)
年金の受給停止(厚生年金10日以内・国民年金14日以内)
健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更(14日前後)
遺言書の有無を確認(自筆の遺言は開封せず、検認へ)
この時期の鉄則:
故人の財産に安易に手をつけない(借金があれば相続放棄ができなくなる)
当面の資金は、仮払い制度(1金融機関150万円まで)か立て替えで
第2章 ― 3ヶ月まで(相続放棄の判断)
相続人を確定する(戸籍を出生まで遡って収集)
財産と負債の全容を調べる(信用情報機関CIC・JICC・KSCへの開示請求、登記の乙区、通帳)
団信の有無を確認(住宅ローンは団信で完済されることも)
単純承認・相続放棄・限定承認を判断(3ヶ月以内に家庭裁判所へ)
間に合わなければ、期間伸長の申立て
第3章 ― 4ヶ月まで(準確定申告)
故人のその年の所得を申告(準確定申告。4ヶ月以内)
賃貸収入・年金400万円超・事業所得があれば原則必要
医療費控除などで還付になるケースも(忘れると取り逃し)
第4章 ― 10ヶ月まで(遺産分割と相続税申告)
遺産分割
遺言書があれば、それに沿って手続き
なければ遺産分割協議(相続人全員の合意が必須)
未成年の相続人がいれば、特別代理人の選任を早めに
協議書は不動産を登記どおりに記載し、実印・印鑑証明を全員分
分けにくい不動産は、代償分割・換価分割も検討(安易な共有はしない)
相続税の申告・納付(10ヶ月以内)
小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減は、税額ゼロでも申告必須
配偶者への配分は、二次相続まで見据えて設計
分割がまとまらないなら「3年以内の分割見込書」を添付
納税は現金一括が原則。足りなければ売却・借入・延納・物納を比較
第5章 ― その後(名義変更と出口)
相続登記(取得を知って3年以内。過去分は2027年3月末まで)
預金の払い戻し・名義変更(戸籍一式・協議書などを金融機関へ)
空き家の出口を検討(売る→貸す→解体の順で比較。いきなり解体しない)
売却するなら、取得費加算の特例(申告期限から3年以内)と空き家3,000万円控除を比較(併用不可)
生命保険金の請求(死後3年で時効)
次の世代への対策を開始(相続は必ず、また巡ってきます)
全体を貫く「5つの鉄則」
60本のコラムを通じてお伝えしてきたことは、突き詰めるとこの5つです。
相続対策は、元気なうちが主戦場。認知症と死は、対策の扉を閉じる
もめるのは資産家ではなく普通の家庭。財産の大半が不動産だから
期限を制する者が相続を制する(3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年)
「とりあえず」は禁物(とりあえず共有・とりあえず放置が、次世代の重荷に)
分からないことは、早めに専門家へ。知っているかどうかで、結果は数百万円変わる
このリストを、ご家族との対話のきっかけに
チェックリストを眺めて、「うちは生前の章が、ほとんど手つかずだ」と感じた方も多いはずです。それが普通です。そして、気づいた今が、始めどきです。
まずは第0章の最初の一つ——財産目録づくりから。あるいは、親御さんと「この記事、読んでみて」と共有するところから。小さな一歩が、ご家族の未来を大きく変えます。
これからも、現場で役立つ情報をお届けしていきます。引き続き、よろしくお願いいたします。
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※各手続きの期限・要件は、個別の事情により異なる場合があります。具体的な手続き・税務・法務は、それぞれの専門家にご確認ください。
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